大田クリニック整形外科

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お役立て情報 健康だより

お役立て情報

2020.01.02 [ドクター大田のひとくち健康知識]

無理のないトレーニング

 運動選手が厳しいトレーニングをする目的の一つに、筋肉の超回復があります。超回復とは、筋肉痛が起こるような強い刺激のトレーニングをした後にトレーニングをする前より筋肉量を増加させる回復現象のことです。強い刺激で、筋肉組織が損傷されますが、24から48時間の休息を取るとその刺激に負けないように筋肉が増大されるのです。トレーニングを行うとき、この刺激と休息のバランスが大事です。休息が十分でないと、トレーニングによって筋肉は壊れ障害を起こします。オーバートレーニングです。このオーバートレーニングを起こさず如何にパフォーマンスをあげるかが難しいのです。

私たちが運動するときも注意点があります。大きく分けて運動の種類と強度と量です。私たちはとりあえず健康維持あるいは増進が目的ですから、一般的で安全であることが大事です。その点からも種類としてはまず歩くことでしょう。出来れば腕を大きく振って、少し大股(70から75cm)で踵から着地するようにリズミカルに歩くのがポイントです。歩くことは有酸素運動でスピードや距離を自分でコントロールできますが、階段や坂道は少し運動強度が増します。したがって毎日行うには少し問題があります。ましてや膝や腰に症状のある人は、負担が多すぎるかもしれません。平地で路面の整った場所で行はれることをお勧めします。強度を決めるには心拍数で指示されることがあります。{(220-年齢)-安静時心拍数}×運動強度(k)+安静時心拍数で求められます。

これでは、難しいので、自分の感じで決定する方法(自覚的運動強度)によって、楽ではあるけど少しきつい位(60歳代で脈拍106から110)が適当とされています。つまりだらだら歩くのではなく歩くことを意識して歩くということになりましょうか。次に運動の量です。歩け歩け運動で良く1万歩と言われますが、成人の必要な運動量をカロリー計算すると大体1万歩弱の歩行が必要なのです。先ほども言いましたように歩行は有酸素運動なので、基本的には毎日行ってもいいと思います。ただその日の体調や環境によって調整されてかまわないと思います。運動が苦痛になるとつまりません。1万歩も時間にすると1時間近くになります。昔は20分以上連続でないと効果がないとされていましたが、最近では10分毎に別けて運動しても効果が期待できると言われています。即ち10分かけて出かけ、どこかで十分休憩してまた10分かけて帰るコースでも十分運動になると言うことです。日によって少し遠出したり、近くをごそごそしたり、いろいろなコースを楽しんでください。

スポーツジムやスポーツを楽しむ方は休息を取ることを忘れないで下さい。超回復に限らず、きつい運動の後は筋肉を休ませる必要があります。きつい運動は、週に2・3回がいいと思います。トレーニングの効果は、週1回ではリクレーション(楽しむだけ)、週2回で現状維持、週3会で強化といわれています。

とりあえず外へ出ることからからはじめましょう。何か楽しいことを探してみてください。

健康だより

大田クリニック 健康だよりとは

季節ごとに注意する症状や、健康に関する情報を掲載しているガイドブックです。
当院内にて年4回(1・4・7・10月発行)配布を行っています。
当ページでは、健康だより内に掲載されている一部の記事を紹介しています。

※無断転載は禁止しています。

話の広場

[話の広場]2022新春号より引用

3回目摂取で「第6波に備え」

新型コロナウイルスワクチン

新型コロナウイルス感染症の第5波はようやく落ち着きをみせ、緊急事態宣言の解除以降、ようやく街に活気が戻りつつあります。
そして、新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染者が国内でも確認され、今後の感染拡大が懸念される中、流行の「第6波」に備えるため、ワクチンの3回目の追加接種が始まりました。
3回目の接種について、厚生労働省は2回目の接種終了から原則おおむね8か月以上経過した方から順次実施するとしています。まずは2021年4月までに2回接種を終えた医療従事者を対象に、3回目の接種を開始、その後は2回目接種終了から8か月以上経過した方 (18歳以上)を対象に順次実施する予定です。

■なぜ、追加接種が必要?■

ワクチンを接種すると、「中和抗体」が体内に作られます。抗体とは、体内にウイルスが侵入してきたときに、ウイルスを除去しようとするために生成されるタンパク質です。中和抗体とは特定のタンパク質の活性を中和できる抗体のことで、ウイルスのタンパク質に結合して発症や重症化を防ぐことができます。 しかし、接種してから時間が経過す ると、体内の中和抗体は減ってしまうことが報告されています。完全に失われるわけではなく徐々に低下します。

3回目の接種をすれば、 中和抗体は大きく増えることがわかっています。また、ワクチンによって活性化 される体の防御システム (免疫)は、中和抗体だけではありません。2回目までの接種でできた中和抗体は薄れても、ウイルスを退治する免疫細胞などの働きは残っており、全くの無防備になるわけではありませ ん。 抗体が減っても、入院や重症化を防ぐ効果は持続するという報告もあります。

■感染予防対策の徹底を■

冬は空気が乾燥し、気温が下がり室内の閉めきった環境での活動が多くなることで、感染リスクが高まる 傾向にありますので、マスクの着用など、基本的な感染予防対策は引き続き必要です。そのうえで高齢者や、基礎疾患があってリスクの高い人などは3回目の接種が望ましいと考えられます。

感染予防対策には、いくつもの要素があります。言わば「層」のようなもので、その層をどれだけ積み重 ねることができるかで感染リスクは変わってきます。 なかでもワクチンの追加接種というのは、かなり分厚い層だと言えます。

現在、新規感染者数が抑えられていることに安心している人は多いと思います。しかし、新型コロナウイルスが消え去ったわけではなく、これまで何度も感染拡大の波を繰り返しています。落ち着きを見せ始めた現在も、またいつ感染が再拡大するかわからないということを十分に認識し、感染対策をやめないことが大事です。

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、マスクの着用や手洗い・消毒、密集を避けるといった基本的な感染予防対策が、私たちの生活の中で日常のものとなりました。こうした行動の変化は、冬に流行するインフルエンザやノロウイルス感染症などに対しても効果があります。ここで気を緩めることなく、引き続き、これまで通りの基本的な感染予防対策の徹底を継続しましょう。

[話の広場]2021新春号より引用

健康寿命を延ばそう!

 日本の「平均寿命(0歳のときに何歳まで生きられるかを指します)」は年々延びていて、2019年の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.45歳で過去最高を更新しています。長寿大国として喜ばしいことですが、一方で、「健康寿命」が課題になっています。

 「健康寿命」とは、2000年にWHO(世界保健機構)が提唱した概念で、「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を指します。

 「健康寿命」とは、2000年にWHO(世界保健機構)が提唱した概念で、「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を指します。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2016年の「健康寿命」は男性が72.14歳、女性が74.79歳でした。発表の年度に少しずれがありますが、平均寿命と比べると、男性で約9年、女性で約13年もの差があります。2016年どうしで比較しても、男性で約9年、女性で約12年ありますので、男女ともに「病気や介護の期間」が約10年程度あるということになります。

平均寿命と健康寿命の差

★健康寿命を延ばし、平均寿命との差をなくしていくにはどうしたらいいか

★健康寿命が短くなる要因には、病気や認知症、転倒・骨折などがあります。これらを予防していくことが「健康寿命」につながります。

 そのためのキーワードは「運動」「食事」「社会参加活動」です。

◆適度な運動をしましょう。

◆野菜やタンパク質、カルシウムをしっかりとりましょう。

◆いろいろな社会活動に参加してたくさんお出かけしましょう。

[話の広場]2021新春号より引用

冬の新型コロナ感染対策

~上手な換気で感染拡大を防ぐ~

 新型コロナウィルス感染症が流行してから初めての冬を迎えました。新型コロナウィルスの感染対策では、手洗いなどに加え、「換気」も重要です。換気は感染リスクが高まる「密閉空間」を避けるために有効ではありますが、寒い冬の換気には、急激な温度と湿度の変化に注意する必要があります。そこで、できるだけ室温を下げず効果的に換気するポイントを紹介します。

 新型コロナウィルスの感染経路は、ウィルスが付いた手指で口や鼻、目を触ることで感染する「接触感染」と、感染者のせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)と一緒に出されたウィルスを口や鼻から吸い込むことで感染する「飛沫感染」がありますが、さらに、せきやくしゃみなどをしなくても、話したり笑ったりするときに飛ぶ小さな飛沫(マイクロ飛沫)が空気中を漂い、少し離れた距離にまで感染を広げる可能性があることが分かりました。

 この「マイクロ飛沫」はとても軽いため、換気の悪い密閉空間では長く空気中を漂うことになります。そのため、窓を開けて空気の流れを作り、室内の空気と外の空気を入れ換えることが感染を防ぐ対策として有効だと考えられています。

 厚生労働省では、30分に1回以上、数分間程度、窓を開ける、もしくは常時、風上側の窓とその反対側の窓を5~10cm程度開放することを推奨しています。

■2段階方式の換気■

 冷たい空気を直接部屋に入れないようにするための方法が「2段階換気」です。換気する際に、自宅のリビングや寝室などの生活空間に直接冷たい空気が流れ込むと寒さをより感じてしまいます。

 まず、マンションや一軒家なら使っていない部屋や廊下などに空気を取り入れます。建物全体の温度で外気を暖めたあとに、部屋の窓や扉を開けて生活空間の空気と入れ換えます。「2段階換気」では、外の寒い空気をいきなり入れなくて済むので、寒さを和らげることができます。

 また寒い日や雨が降っている日に窓を開けることができなければ、家のキッチンの換気扇を常に回しておくことでも、部屋の空気は換気できます。

 窓は2ヵ所以上開けると効果的です。風が吹き込む窓と、その対角線上にある窓を同時に開け、空気の出口と入り口を作りましょう。2ヵ所の窓が同じ面にあるなど隣接していると、入って来た空気がすぐ外に出てしまい、室内に滞留する空気が排出されにくくなるため、開けている窓の距離が離れているほど効果的です。部屋に窓が1ヵ所しかない場合は、扇風機を窓に向けて使い、室内の空気を外に出すような流れを作りましょう。

■湿度を保つ■

 窓を開けて換気をすると、湿度が下がるので注意しましょう。新型コロナウィルスもインフルエンザウィルスも乾燥した空間では飛沫が拡散しやすくなり、感染のリスクが高くなります。加湿器の使用や室内に洗濯物を干すなどして、一定の湿度を保つようにすることも換気と併せて大切です。

[話の広場]2020新春号より引用

感染症予防の基本

~うがい・手洗いを心がけましょう~

 新年あけましておめでとうございます。皆様にとりまして、より良い一年となりますようお祈り致します。

 かぜやインフルエンザが流行する時期となりましたが、「うがい」「手洗い」は、様々な感染症を予防するためにとても効果的です。かぜやインフルエンザなど、病気を引き起こす感染症の多くは、手を介して体内に侵入することが多いと言われています。例えば、ドアノブや電車のつり革など、様々な場所にウィルスが付着しています。そういった場所を触った手で、自分の目や鼻、口を触ったり、食事をしたりすることで、ウィルスが体内に侵入してくるのです。このような状況では、手にウィルスが付着することを未然に防ぐことは困難です。そのため、様々な感染症から身を守るためには、手からの侵入を遮断する「手洗い」がとても大切になるのです。

●手洗い●

・流水で手を湿らせ、石けんを手に取りよく泡立てる。

・手のひら、甲、指の間、爪のまわり、手首を両手でこするようにしながら、30秒間を目安に隅々まで洗う。手首も忘れずに洗う。

・清潔なタオルやペーパータオルなどで水分をよく拭き取り乾かす。

 食事の前、トイレの後、帰宅時はもちろんのこと、咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻をかんだ後も手洗いを徹底しましょう。

手の洗い方

●うがい●

 喉は微生物の入り口です。花から入って来た微生物も喉に付着しています。また、口の中などにいる微生物は席やくしゃみなどで周囲を汚染してしまうことがあります。ウィルスや細菌が喉や口の粘膜内に深く入り込んでしまう前に、うがいで洗い出すことはとても有効な予防法です。

・1回目は、「ぶくぶく」をして口の中をきれいにします。

・2回目は、上を向いてのどの奥のほうで15秒程度「がらがら」うがいをします。

・3回目は、仕上げにもう一度「がらがら」うがいをします。

 喉が乾燥していると細菌が付着しやすくなるので、喉を潤すという意味でもうがいは大切です。冬は乾燥しやすいので、外出の際はマスクを付けるなどして乾燥を防ぎましょう。

[話の広場]2018 夏季号より引用

熱中症の予防 経口補水液

 高温多湿の季節、「熱中症」の季節となりました。体内の水分や塩分などの電解質のバランスがくずれ、体内の調節が難しくなる時期です。

  熱中症の初期治療としては、屋外・屋内を問わず暑さを避けること、適度な水分の補給が大切です。早め早めの対処が必要です。

  めまい、ふらつき、たちくらみ、生あくび、汗をふいても出てくる、筋肉の硬直といった軽い熱中症の段階に、もしくはその前兆を感じた時点で対処しましょう。

  体内の水分の補給には、水分だけでなく、塩分や糖分の補給が大切です。最近水分と電解質と糖分を調節し、からだに早く吸収されやすい経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)が市販されており、熱中症や脱水症に有効です。

  従来のスポーツドリンクは経口補水液に比べて、甘さが多く、塩分などの電解質が少なく吸収が良くない欠点があります。

  手元に経口補水液がなく急な場合、家庭で1リットルの水に対して砂糖20~40グラム(大さじ2杯と1/2杯~大さじ4杯と1/2杯)、食塩3グラム(小さじ1/2杯)を溶かして作ります。これにレモンやグレープフルーツの果汁を加えると飲みやすくなります。

  経口補水液の使用量の目安は、乳児:一日体重1Kgに対し30~50ml程度、幼児:一日300ml~500ml、学童・成人:一日500~1000mlです。

  症状の様子もありますが、乳幼児では数時間にかけて、学童・成人では数回に分けてゆっくり飲みましょう。


[話の広場]2018 新春号より引用

インフルエンザ「かからない」「うつさない」

 インフルエンザは寒い冬の時期に流行します。通常の風邪と同じように、のどの痛みや鼻水、咳の症状もありますが、高熱と関節痛、頭痛、筋肉痛などの全身症状が強いのが特徴的です。感染経路は、咳やくしゃみからなどの飛沫感染と接触感染です。

 感染力が強いため、すぐにうつってしまいます。また、発症してしまうと、学校や仕事場をある一定期間、休まないといけません。インフルエンザが疑われる場合は、すぐに医療機関を受診して、診断・治療を受けましょう。早めに治療することは、自分のためだけでなく、他の人へうつさない意味でも重要です。

 インフルエンザに「かからない」、インフルエンザを「うつさない」ための一人一人の対策を実践しましょう。ポイントをあげてみます。

 ①うがい、手洗いを徹底する。帰宅時や食事の前には、石けんをつけて念入りに洗いましょう。

 ②症状のある人は、咳エチケット(咳、くしゃみの時にはティッシュやハンカチで口と鼻を覆い、周囲の人から2m以上離れ、顔をそむけるようにする)の励行をしましょう。解熱後もウィルスをもっていることがあるため、咳やくしゃみなどの症状が続いている場合は使い捨てのマスクを着用しましょう。

 ③室内は加湿器を使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。

 ④睡眠を十分に取り、1日3食バランスの取れた食事をして体力をつけましょう。

 ⑤ワクチンを接種しましょう。接種しても100%かからないとは限りませんが、肺炎の合併など重症化しないといわれています。

インフルエンザ「かからない」「うつさない」ポイント

[話の広場]2017 夏季号より引用

暑い夏を元気に乗り切ろう

~早めに「夏ばて」対策を~

 本格的な夏がやってきました。じっとしていても汗が出て疲れる、食欲がなくなる、寝苦しさから睡眠不足になるなど、「夏ばて」を起こしやすい条件が重なります。元気に夏を乗り切るためには、早めの対策が大切です。

 「夏ばて」とは、高温多湿の状態が続くことで起こる体の変調を指しています。症状の現れ方もさまざまですが、主に食欲不振、全身の倦怠感、入眠困難、気力の低下などがあげられます。

◇夏ばての原因◇

①湿度が高いため、汗の蒸発が妨げられ、熱が体内にこもり、疲れやすくなる。

②汗をかくことで、体内の水分と電解質のバランスが崩れて脱水症状を起こして体調に異常を起こす。

③暑さで胃腸の消化機能が低下し、栄養の吸収が悪くなり食欲が低下する。そしてビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素も不足し疲れやすくなったり、だるくなるーなどの症状が出てくる。
清涼飲料水やアイスなどの冷たいものばかり飲食していると、胃の動きが更に低下し、消化不良を起こし、食欲がなくなるという悪循環になってしまう。

④冷房のかけすぎで冷えた部屋と外気の温度差が大きくなり、冷房のきいた部屋と暑い屋外を繰り返し行き来することにより、体温を調節する自律神経のリズムが乱れ、自律神経失調症を引き起こしやすくなる。

◇夏ばて予防の対策◇

①しっかり食べる

 夏は暑さのため食欲がなくなる上に、食事の内容もあっさりしたものになりがちです。そのため、栄養バランスが崩れ、特に良質なタンパク質やビタミンが不足し、疲れやすくなります。食欲がおちる夏こそ、基本は1日3回、しっかりと食べるようにしましょう。
食欲がないときは、量より質に重点を置いた食事を心がけましょう。特に疲労回復に効果的なビタミンB群が多い豚肉、ウナギ、大豆などの食材ほか、夏野菜やフルーツなどのビタミンCを多く含む食材をとり、水分、ミネラル、ビタミンを補給しましょう。食欲がわかないときには香辛料や香味料で工夫するのもよいでしょう。

②適度な水分補給

 汗をかいた分の水分補給は必要不可欠ですが、冷たいものを一気飲みすると胃腸が冷えて消化機能が低下し、食欲がなくなってしまいます。
入浴前か後にコップ一杯~二杯の常温水を飲むと良いでしょう。水分の補給はのどが乾く前に、こまめに補給すると効果的です。ビールなどのアルコール類は利尿作用があり、その結果、逆に水分不足になってしまいますので注意して下さい。

③エアコンの工夫

 室内外での急激な温度差は体力を消耗し、自律神経も乱れやすくなります。屋内外の気温差は5度以下になるようにし、除湿機能もうまく利用しましょう。エアコンの風が直接当たらないように風向きを変えたり、こまめに設定温度を調節しましょう。

④十分な睡眠をとる

 クーラーをつけっ放しでは体温が下がりすぎるため、寝る前に寝室を28度くらいに冷やしておき、眠るときにクーラーを切るかタイマーオフにセットしておくとよいでしょう。扇風機を併用する場合は、風が直接体に当たらないように注意しましょう。

[話の広場] 2017 春季号より引用

運動不足を感じている方へ

~日常生活の中に運動を取り入れよう!~

 運動不足は健康に良くないとわかっていても、なかなか運動ができない人は多いのではないでしょうか。運動するといっても、「時間がない」「運動する場所がない」「何をしてよいかわからない」など実際に取り組みにくいのも運動です。

 そこで、仕事や家事に多忙で、日ごろから運動不足と感じている人には、日常生活の中で、からだを動かす時間を増やすことをお勧めします。軽い運動でも生活習慣病の予防や治療効果があることが実証されています。良い食生活と同じように、良い運動習慣も継続することが大切ですので、無理せず楽しくからだを動かす習慣を身につけましょう。

 仕事が休みの日に、家事や掃除の手伝いや庭仕事をすることも運動になります。子どもや孫と遊び、一緒に外出すれば、知らず知らずのうちにからだを動かしています。余暇の時間を利用して、散歩、水泳、自転車などの運動ができればより効果的です。

 通勤や買い物の中で歩く時間を増やしたり、エスカレーターやエレベーターを使わないで階段を上るように意識したりするだけで活動量が増えます。テレビを見ているときも、横になって脚を上下させる、電車やバスでは座らないようにする、炊事をしながら、かかとを上げ下げする―なども取り入れてみましょう。

 また、今までより多く歩くように意識してみましょう。毎日10分間の早歩きや、歩幅を少し広げて歩くことも効果的です。10分は歩数にすると約1000歩に相当します。続けているとからだに変化が起きてきます。遠く感じた距離が短く感じ、足の運びも軽やかになったり、歩くことが面倒でなくなります。効果を実感すると楽しみに変わってくるでしょう。

 運動の強さ(きつさ)としては、おしゃべりをしながら散歩ができる程度の「息が切れないくらいの運動」を目安にしましょう。これらの運動は有酸素運動といわれていますが、筋力運動も大切です。自宅でできる筋力体操としては、腹筋運動、片足立ちなどが手軽に行えます。ストレッチは、血行をよくすることで、新陳代謝を高めます。肩こり、腰痛などを改善する効果もあります。

■運動で注意すること■

 一方、普段あまり運動をしない人が突然運動を始めたり、反対に運動をやりすぎると健康を害することがあるので注意しましょう。自分の生活状況に合った運動から始め、慣れてきたら運動の種類を増やしましょう。運動を始める前に医学的な検査を受けることも大切です。

 運動をする時には、動きやすい服装・靴を用意しましょう。水分の補給も大切です。発熱・下痢・睡眠不足など体調が悪いときの運動は避けましょう。気候の変化に応じて帽子や防寒具の準備も必要です。

 運動により筋肉や関節の痛みが起こったり、翌日まで疲労感が残る時には運動の量を減らしましょう。運動により激しい息切れ、動悸、胸の不快感や痛みなどを感じた時は、病気が隠れている場合もありますので医師に相談してください。健康のための運動ですから、無理なく、安全に、楽しく行いましょう。

[話の広場] 2017 新春号より引用

かぜは「ひき始め」が肝心

~十分な栄養と休養、そして保温~

 新年明けましておめでとうございます。厳しい寒さが続いておりますが、体調管理には十分留意して、元気に暖かい春を迎えたいものです。

 さて、皆さんの中には、「なんだか微熱があるようだ」「体がだるくて動くのがつらい」などというときにも、無理して会社や学校に行った経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

 しかし、「かぜは万病のもと」ともいわれるように、「かぜをひいたかな?」と感じたらあまり無理をせず、ひき始めのうちにきっちり対処することが実はとても大事なのです。

 かぜの症状は、喉の痛み、鼻水、鼻づまり、せき、たん、くしゃみ、悪寒、微熱、頭痛など、さまざまです。インフルエンザとは異なり感染力はあまり強くなく、重症化することもほとんどありません。通常のかぜであれば、「かぜかな?」と思った段階でただちに安静にしていれば、数日で回復します。

 しかし、無理をしてこじらせてしまうと、肺炎、気管支炎、扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎などを引き起こしたり、基礎疾患を持っている方は、かぜによって基礎疾患が悪化するケースもあるため注意が必要です。また、かぜではなくインフルエンザの可能性も考えられますから、症状を見極めて適切に対処することが大切です。

 安静にして数日経っても回復せず、症状がかえって悪化してつらくなっていくようであれば、他の病気も考えられますので、医療機関を受診しましょう。急に38℃以上の高熱が出たり、筋肉痛、関節痛などがある場合は、インフルエンザの可能性がありますので、早めに医療機関を受診してください。

■無理せず、安静に■

 悪寒がしたり、微熱があったりなどのかぜのひき始めの症状が出たら、できるだけ早めに帰宅して、早めに寝ましょう。私たちの体に備わっている「免疫」という働きの全勢力をかぜのウィルス撃退に向けるためには、静かに横になって体を休めてあげるのが最も効果的です。

■食事は栄養豊富で、消化のよいものを■

 かぜのときは発熱とともに胃腸の働きが落ち、軽い下痢をおこしたり、食欲がなくなることがあります。何も食べないと体力が低下してしまいますので、食欲に合わせて栄養価が高く消化のよい卵や豆腐、白身魚などを、少量でもかまいませんからできるだけとるようにしましょう。

 また、かぜをひいているときはビタミン類の消費が大きくなるため、ビタミンBやビタミンCを意識して多めにとるとよいでしょう。ひき始めには、体を温めるために温かい飲み物や食べ物がお勧めです。

■しっかり保温■

 発熱により寒気がする場合は布団や毛布を多めにかけるなど十分に温めましょう。逆に、熱が上がって体が熱く感じている場合は、布団や毛布、洋服を薄めにして熱を逃がすようにしましょう、汗をかいたらこまめに下着を着替えましょう。

■水分補給で脱水防止■

 熱があるときは汗で水分が多く失われてしまうため、水分と塩分の補給が大切です。やわらかいお粥を食べたり、スポーツ飲料、経口補水液などでの水分補給を心がけましょう。

[話の広場] 2016 秋季号より引用

健康づくりのための身体活動

+10(プラス・テン)から始めよう

 仕事、家事、通勤、運動など日常生活のあらゆる場面で、今よりも少しでも多く体を動かすことがメタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病や、足腰の機能の衰え(ロコモティブシンドローム)、認知症などのリスクを下げることがわかっています。

 特に高齢者においては、積極的に体を動かすことで生活機能低下のリスクを低減させ、健康寿命(介護を必要とせず、自立した生活が送れる期間)をのばすことができます。また、気分転換やストレス解消につながることで、メンタルヘルスの不調予防としても有効で、生活の質を高めることができると考えられています。

 厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)を策定し、日頃から意識して運動に取り組んでもらおうと、「+10(プラス・テン)で、健康寿命をのばそう!」という取り組みを行っています。これは、「毎日、今より10分多く体を動かそう」という内容で、若い人から年配者まで、全ての世代に共通した呼びかけです。

 「+10」で目指すところは、64歳以下なら元気に体を動かす時間を1日の合計で60分以上の達成。これは歩数に換算すると8000~1万歩に相当します。65歳以上なら、横になるとか座ったままにならないよう、どんな動きでもよいのでじっとしていない時間を1日合計で40分達成することです。10分体を動かすといっても、10分間ずっと動かし続けなければいけないというわけではなく、それぞれのライフスタイルに合わせ、短い時間を積み重ねた合計でも構いません。一つひとつの運動量はわずかであっても、1週間、1年単位でみると大きな効果につながります。

 例えば、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、歩幅を広くして歩く、車をあえて遠いところに駐車するといった時間を足していき、トータルが10分程度になればよいのです。テレビを見ながら、家事をしながらなど、何かをしながらできる体操もあります。なかなか時間が作れないという方にはお勧めです。

 そのほかにも、掃除機をかける、洗濯物を干す、雑巾がけをする、草むしりをするといった日常生活の中で積極的に体を動かしてもよいですし、歩いて買い物に行く、ストレッチやヨガなどもよいでしょう。可能であれば、スポーツクラブや運動施設などでの各種運動や筋肉トレーニングも取り入れましょう。効果はさらにアップします。

 体を活発に動かすことは健康によいとわかっていても、なかなか実践できないものですが、「あと10分多く体を動かす」ということで気軽に始めてみましょう。「継続は力なり」という言葉のように、まずは3ヶ月間継続することをお勧めします。毎日続けることで、自然に活力が出て、体を動かすことが楽しくなるでしょう。

★18~64歳★
元気にからだを動かす時間1日60分

★65歳以上★
じっとしていない時間1日40分

(厚生労働省:アクティブガイド)

[話の広場] 2016 夏季号より引用

防ごう!熱中症

知っておきたい応急処置

 じりじりと熱い太陽が照り付け、急激に気温が上がって来ました。熱中症が心配な季節です。

 熱中症とは、暑さが原因で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、時には死に至ることもある病態です。しかし、早期の段階で発見し、応急処置を行うことで重症化を防ぐことができ、また予防法を知ることにより発症を防ぐことも可能です。

 特に小さなお子さんや高齢者では注意が必要です。「これくらいの暑さは大丈夫」と我慢せず、正しい知識と予防法で楽しい夏を過ごしましょう。

■こんな症状があれば熱中症を疑いましょう■

・めまい、たちくらみ、こむらがえり、ふいてもふいても出てくる大量の汗(重症度Ⅰ度)
・頭がガンガンと痛む、吐き気、嘔吐、体がだるい(重症度Ⅱ度)
・意識がない、呼びかけに対し返事がおかしい、体がひきつける、まっすぐ歩けない、高体温、皮膚乾燥(重症度Ⅲ度)

■熱中症の応急処置「F・I・R・E」■

F(fluid):水分と塩分の補給

 液体(経口補水液、スポーツドリンクなど)の摂取。自分で飲めなければ至急医療機関を受診し点滴をしてもらう。

I(ice):体の冷却

 衣服を脱がせる、冷えた缶ジュースなどで首筋・脇の下・足の付け根など大きな動脈が触れる部位を冷やす、濡らしたタオルを体に貼り付け、扇風機などで冷やすなど。

R(rest):安静

 日陰、風通しのいいところ、涼しいところに移動して休ませる、自動車に乗せてクーラーで冷やす。

E(emergency):緊急事態の認識

 大きな声で呼びかけ、反応を確かめる。ぼーっとしている、言動がおかしいなどの症状があれば、重症のサインなので、ためらわずに救急車を呼ぶ。

熱中症の応急手当

■予防法■

 帽子や日傘により暑さを避けることが最重要です。また、こまめな水分摂取も非常に重要です。「水分を摂りすぎると汗をかき過ぎてよくない」といった考え方は誤解であり、汗をかくことは体温調整において重要です。汗で失った水分には塩分なども含まれていますので、経口補水液やスポーツドリンクなどで補充するのがよいでしょう。

[話の広場] 2016 新春号より引用

ヒートショックと脱水に注意

-室内の温度差と水分の補給

 新年あけましておめでとうございます。

 寒い日が続いておりますが、冬場の健康管理に十分注意して元気に暖かい冬を迎えましょう。

 冬は急激な温度変化による「ヒートショック」で入浴中に意識を失ったり、乾燥した室内で気付かぬうちに脱水症状に陥ったりする人が増加しますので、注意が必要です。

 ヒートショックとは、急激な温度変化が身体に影響を及ぼす現象のことを言います。そして家の中で急激な温度差があり、一番ヒートショックの危険性が高い場所は冬場の浴室と言われていますので、冬の入浴は最も注意が必要と言えます。

 寒い脱衣所で衣服を脱ぎ、裸になると、急激に体の表面全体の温度が下がってしまいます。すると血管は収縮するため血圧は上がります。血圧が急激に上がると、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞、心筋梗塞などを起こす危険性が高まります。そして、次に熱いお湯に入ると、今度は一気に血管は拡張するため血圧が下がります。

 この時、めまいや湿疹といった症状が起こる危険があり、時には意識喪失が原因でおぼれてしまうケースもあります。

 このように、急激な温度差によって血圧は大きく変動し、その度に血管は大きな負担がかかりダメージを受けてしまいます。

 高血圧や糖尿病、動脈硬化などの持病のある方、高齢者の方などはさらに血管が硬くなっていたり、もろくなっていることもあるため、ヒートショックによって脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの危険性がさらに高くなると言われています。

 ヒートショックを予防するためには、できるだけ室内の温度差を減らすことが大切です。肌の露出が多くなる洗面所やトイレは暖房器具で暖めておく工夫をしてみましょう。風呂の温度は熱すぎないよう41度以下にして深夜や早朝、食後1時間前後や飲食後の入浴は避けましょう。

■冬の脱水にも注意■

 冬の季節であっても、脱水症状にも注意が必要です。脱水症状と言えば夏に多く引き起こされやすいというイメージですが、密閉された部屋で常時、暖房器具を使う冬は空気が乾燥し、肌から水分が蒸発しやすくなります。汗をかく夏と違い、脱水状態であることを自覚しにくく、気づかずに放置すると血流が悪化して心筋梗塞や脳梗塞につながる恐れもあります。

 脱水状態を予防するためには、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給をすることを習慣にしましょう。「トイレに頻繁に行くのが面倒」と、水分摂取を控える高齢者の方もいますが、就寝中は特に乾燥が進むので、寝る前に水を1杯、夜中トイレに起きた後も1杯飲むと良いでしょう。利尿作用があるアルコールやカフェイン入りの緑茶やコーヒーは逆に水分が失われかねません。白湯やスポーツドリンクのほか、体調を崩している時は経口補水液もよいでしょう。

 室内の湿度は50~60%前後に保ちましょう。加湿器がなくても、洗濯物や濡れたタオルを干すと湿度が上がります。数時間に1回は外気を入れ替えて乾燥を防ぎましょう。

[話の広場] 2015 秋季号より引用

「サルコペニア」とは?

-加齢に伴う筋肉量の減少

 高齢化社会の進展に伴い、現在、「サルコペニア」という言葉が注目されています。サルコペニアはギリシャ語の「サルコ=筋肉」と「ペニア=低下・減少」を組み合わせた言葉で、加齢による筋肉量の減少を意味します。

 筋肉量の減少がある一定レベル以上に進行すると、身体機能が低下して転倒による骨折、入院、寝たきりにつながる可能性があります。サルコペニアは特別な病気ではなく、誰にでも起こり得ますので今後、高齢化が進む日本では、深刻な健康問題といえます。

 サルコペニアの最も大きな要因は加齢です。筋肉は20歳代後半~30歳代をピークに徐々に減少していきます。また、ほとんど家の中にいて体をあまり動かさない人や入院をして体を動かさない環境にある場合、さらに食事の摂取量が少ない低栄養の場合は筋肉量の低下は加速します。

 筋肉量の減少は、まず足から始まり、ちょっとした段差でつまづいたり、転倒しやすくなります。日常生活の歩行、起き上がる、階段を上り下りするといった動作が、以前に比べて少し大変だと感じたり、ちょっとした段差にもつまづくようになったら要注意です。

 また、最近では「サルコペニア肥満」も注目されています。サルコペニア肥満は筋肉量が減少したサルコペニア状態に加え、栄養過多などの原因が重なって脂肪が増えている状態のことです。高齢者だけでなく、中高年にも起こるのが特徴です。特に、若いころに食事制限によるダイエットを繰り返した人は、脂肪よりも筋肉が減って基礎代謝が落ちているため、たとえ食事内容が変わらなくても脂肪が蓄積し、サルコペニア肥満のリスクが高まります。サルコペニア肥満の人は、そうでない人に比べて糖尿病など生活習慣病のリスクが高くなることが知られています。

■サルコペニア対策■

 サルコペニアへの対策の基本はやはり運動と食事です。運動はジョギングなどの有酸素運動と筋肉トレーニングが有効です。特に行いたいのは筋トレです。近年の研究で、何歳になっても筋トレをすることによって筋肉の減少を抑えたり、増加に役立つことがわかっていますので、日常生活の中で、つま先立ちやスクワットをしたり、椅子に座った状態でもも上げをしてみるなど、体に少し負担をかけてみましょう。また、エレベーターでなく階段を利用する、駐車場でなるべく出入り口から遠くに車を停め、歩く距離を増やしてみるなど、できる範囲で運動量を増やしてみましょう。筋肉が衰えている人ほど効果が出やすいので、早速実践してみましょう。

■タンパク質の不足に注意■

 運動量とともに重要なのは食事です。特に重要なのは、筋肉の材料となるたんぱく質です。たんぱく質は肉や魚、大豆、卵などに含まれます。体内ではたんぱく質の合成と分解が常に行われています。体の中のたんぱく質量を保つためには、毎日の食事で不足しないように摂取することが大切です。高齢者は食が細くなりがちですので、たんぱく質が不足しないよう、肉や魚などをしっかり食べましょう。

[話の広場] 2015 春季号より引用

“生活不活発病”にご注意

-活動の制限と心身の機能低下

 東日本大震災から4年余りが経過しましたが、今なお被災地では避難生活を余儀なくされている方も大勢います。そして宮城県南三陸町が実施した避難生活を強いられている方の健康状態を調査した結果によると、介護を必要とする人が増え続けているといいます。その背景の一つとして、いわゆる“生活不活発病”が考えられます。

 震災で避難したり、仕事を失うなど住環境や生活リズムが大きく変化して、“不活発な生活”を送ることで、筋肉や骨などが衰えたり、心臓や呼吸器などにも影響が生じ、その結果、歩行困難や寝たきりにつながってしまう人が増えているというのです。

 「生活不活発病」とは、過度に安静にすることや活動性が低下した結果、生活が不活発となり、心身の機能が低下することで、特に高齢の方や持病のある方は起こしやすい傾向があります。

 生活不活発病は放っておくとさまざまな症状につながっていきますが、大きく分けて体に影響するものと精神に影響するものがあります。

 体に影響するものとしては、足腰が弱くなり「動きにくくなる」状態があります。さらに胃腸の働きが低下し、食欲がなくなったり、心肺機能が衰え、動悸・息切れがすることもあります。

 精神的に影響するものとして、もの忘れが激しくなるなど認知症のような症状が出たり、精神が落ち込み、うつ状態になることもあります。

 これらの複合的な要因により「動かない」状態が続くと、生活不活発病が起き、全身の機能が衰えます。そのことでさらに動きにくくなり、ますます「動かない生活」に陥り、症状がさらに悪化するという悪循環に陥っていきます。活動量が落ちていることに早めに気づき、悪循環を断ち切ることが大切です。

 生活不活発病の“悪循環”を“良循環”に変えるためには、本人がやりたいことを見つけ出すことから始まります。本人がやりたいことを見つけることで自発的に体を動かすようになり、生活不活発病の症状も改善し、全身の機能も回復していきます。動きやすくなることで、さらに新しい目標が生まれ、活動の範囲が広がり、ますます動くようになっていきます。

 このような“良循環”を作り出すことが生活不活発病改善のカギです。そのためには、ご家族など周囲の人も本人ができることを奪うような過度な手助けを控えて、本人がやりたいことを見守る姿勢も大切です。

■予防のポイント■

○毎日の生活の中で活発に動くように心がけましょう。

○家庭・地域・社会で、楽しみや役割をもちましょう。
(遠慮せずに、気分転換を兼ねて散歩やスポーツや趣味なども)

○歩きにくくなっても、杖や伝い歩きなどの工夫を。

○身の回りのことや家事などがやりにくくなったら、早めに相談。

○「無理は禁物」「安静第一」と思い込まない。
(疲れやすい時は、少しずつ回数多く。病気の時は、どの程度動いてよいか相談を)

[話の広場] 2013 秋季号より引用

インフルエンザ対策

予防はワクチン、治療は48時間以内

-流行前に予防接種を

 毎年寒くなるにつれインフルエンザとかぜが流行し始めます。特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は注意が必要です。

 インフルエンザを予防するうえで最も効果的なのはワクチンの「予防接種」を受けることです。インフルエンザの発症そのものや重症化を抑制する効果が期待できます。

 特に乳幼児や高齢者と、心臓病、糖尿病、喘息などの持病をお持ちの方は、重症化の恐れが高い「ハイリスク群」といわれていますので、流行前の予防接種をお勧めします。

 ワクチンは予防接種後、効果が現れるまで2週間ほどかかります。その後は5ヶ月ほど効果が持続します。インフルエンザ流行前の12月上旬頃までに接種を受けることが理想的です。

 また健康な大人でもできるだけワクチンを受けることが望まれます。それは本人の予防だけでなく、インフルエンザが減ることで、間接的にリスクの高い人たちをインフルエンザから守ることになるからです。

■外出後はうがい、手洗いの徹底を■

 日常生活では、外出後の手洗い・うがいを徹底して予防します。まず、手洗いで付着したインフルエンザウィルスを洗い流します。手洗いはあらゆる感染症予防の基本。石けんで念入りに洗いましょう。

 うがいはウィルスが体内に入る前に洗ってはき出すために行います。のどに適度の湿り気を与えることにもなります。10~15秒間、数回繰り返してください。ウィルスを避けるため、できるだけ繁華街や人ごみへの外出を控えるようにします。外出の際のマスクを忘れずにしましょう。

 室内では加湿器などを利用して、のどの乾燥を防ぐようにします。乾燥することにより、のどの防御機能が低下してしまうからです。また、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠で、体の抵抗力を高めるようにしてください。

■「インフルエンザかな」と思ったら■

 急な発熱などの症状から「インフルエンザにかかったかな」と思ったら早めに医療機関を受診しましょう。

 基本的に水分をしっかり摂って、安静にして睡眠をとります。せきやくしゃみなどが出る場合はマスクをして、家族など周囲への感染を防ぐことを心がけます。最近では「インフルエンザ迅速診断キット」が普及し、100%ではありませんが、ウィルスの有無やその種類を短時間で調べることができるようになりました。インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬が用いられますが、インフルエンザの症状が出てから経過した時間によって、あるいは症状によって、どんな薬を使うかが違ってきます。

 抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用を開始した場合、より一定の効果が期待できます。そうした意味からも、インフルエンザが疑われたら、すぐに医療機関を受診してください。

◆インフルエンザ流行前に◆

  □インフルエンザワクチンの接種
  (特に65歳以上の高齢者、持病のある方など)

◆インフルエンザが流行したら◆

  □うがい、手洗いの励行

  □外出時にはマスクを着用

  □室内では加湿器などを使用して適度な湿度に

  □十分な休養、バランスの良い食事

[話の広場] 2013 春季号より引用

必要な栄養は毎日しっかり

低栄養、やせすぎに気をつけよう

-高齢者は「偏食・少食」に注意

 健康のために食生活で気をつけたいことと言えば、一般的には、糖尿病などの生活習慣病を予防するために、例えば「食事の量を控える」「肉類は控える」などがあげられます。肥満が気になる方には野菜、魚、海藻などを使った低カロリー食が勧められる一方で、高齢者の場合は、食欲の低下や食事量の減少などによる「やせすぎ」「低栄養」に注意する必要があります。

 人は誰でも年をとるにつれ、身体の機能が衰えてきます。足腰が弱くなっていくように、体の内部(内臓)の機能も低下するので、食べたものを消化・吸収する力や噛んだり飲み込んだりする力も衰え、その結果、食べる量が減ったり、食べるものが偏ったりします。そこで問題となるのが「低栄養」という状態です。

 低栄養とは、健康維持に必要な食事の要素である「タンパク質」と「エネルギー源」が不足した状態です。「高齢者は食が細いもの」と思って、少食や偏食を放っておくと、栄養不足になり、体力が低下して、かぜををひきやすくなったり、筋肉が減少して転倒や骨折を起こしやすくなったりします。特に高齢期はささいなことがきっかっけで虚弱状態に陥り、いったん低下した機能を回復するのも時間がかかるため、注意しないと要介護状態になってしまうこともあります。これを防ぐためには、高齢者の食生活は低栄養の予防にも注意していく必要があります。ただし、高血圧や糖尿病、腎臓病がある方は、医師や栄養士などの指示に従ってください。

【たんぱく質を積極的にとろう】

 低栄養を予防するためには、大豆製品などの植物性たんぱく質だけでなく、体内での利用効率が良い動物性たんぱく質の摂取が不可欠です。植物性・動物性の両方をバランスよくとると同時に、肉と魚は1対1の割合で、牛乳は1日コップ1杯を目安に摂取しましょう。

【エネルギー源をしっかりとろう】

 ご飯や麺、パンなどの主食は、体を動かすためのエネルギー源として不可欠なため、しっかりとるように心がけましょう。

【食べたいときに食べたいものを】

 食欲がないときは、食べられるときに好きなものを食べるなど、臨機応変に考えることも大切です。10時や3時の間食にチーズやプリンなどをとり、不足しやすいたんぱく質を補っても良いでしょう。

【食欲がないときはおかずを先に】

 食欲がないからといって欠食するのは避けましょう。どうしても食欲のないときは、先におかずを中心に食べ、ご飯を残すようにしましょう。

【水分摂取を心がけよう】

 高齢になると、体の細胞内の水分量が減少することや、のどの渇きを感じにくくなることなどから、脱水を起こしやすくなってきます。食事以外でもこまめに水分補給をしましょう。

 低栄養そのものは病気ではありませんが、老化を促進させる要因であることが最近の研究で分かっていますので、その兆候が見られたら早めに食生活を見直していくことが重要です。

[話の広場] 2013 新春号より引用

長寿の秘訣は生活習慣にあり

ブレスローの7つの健康習慣

-今日から実践しましょう

 今冬もインフルエンザやノロウィルスが流行しています。ぜひ予防を心掛けてこの冬を乗り切り、暖かい春を迎えましょう。
 さて、病気の発症にはさまざまな要因が影響していますが、それらの要因は、①加齢などを含めた「遺伝要因」、②病原体や有害物資、ストレスなどの「外部環境要因」、③食習慣や運動習慣といった「生活習慣要因」の3つに分けることができます。このうち一番重要なのは生活習慣です。
 それでは生活習慣、生活環境とは具体的にどのようなものでしょうか?それが分かれば健康・長寿へのヒントが見えて来るかも知れません。
 生活習慣について、ここで米国・カリフォルニア大学のブレスロー教授が提唱した「ブレスローの7つの健康習慣」といわれる長寿の秘訣をご紹介しましょう。
 これはブレスロー教授が、生活習慣と身体的健康度(障害、疾病、症状など)との関係を調査した結果に基づいて提唱されたものです。1973年に発表され、予防医学・社会医学の分野で広く知られるようになりました。そして、この7つの健康習慣の実践の有無によって、その後の寿命に影響することが分かってきたのです。
 「7つの健康習慣」は、どれも特別なことではありませんが、同時に「分かっているけどなかなか・・・」と実行できないことでもあります。また、仕事や育児など、さまざまな理由で実践が難しい場合もあるでしょう。
 しかし、生活習慣病を予防し、健康を保持するためには、各人が主体的にこれらに取り組んでいく必要があります。従って、時々は日頃の生活を振り返り、「7つの健康習慣」が実践できているかを確認しましょう。そして、もしも実践できていない場合には、1つでもできるところから実践してみましょう。

①適正な睡眠をとる

 睡眠は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関係することも分かってきました。

②喫煙をしない

 タバコは百害あって一利なし。

③適正体重を維持する

 肥満は生活習慣病の元になるだけでなく、腰痛や膝関節痛、睡眠時無呼吸症候群などにも関係しています。

④過度の飲酒をしない

 アルコールも適量を超えると全身のさまざまな臓器に悪い影響が出ます。

⑤定期的に運動する

 全身持久力を維持するためにウォーキングなどの有酸素運動や体を支えるための筋力を鍛えるための筋トレ、柔軟性を高めるためのストレッチを組み合わせましょう。

⑥朝食を毎日とる

 エネルギーが空のままでは頭も体も動きません。元気な一日は朝食から始まります。

⑦間食をしない

 どうしても間食をしたい時には、一日の食事で不足しがちなカルシウムや食物繊維がとれるように、ヨーグルト製品、果物がお勧めです。

[話の広場] 2012 秋季号より引用

100歳まで元気に歩こう

-ロコモティブ・シンドロームに注意

 いつまでも元気に歩くためには、骨や関節、筋肉などの「運動器」の健康を保つことが大切です。足腰が健康ならば何歳になっても元気に歩くことができますし、将来の介護や寝たきりの予防にもつながります。
 ところで、みなさんは「ロコモティブ・シンドローム(ロコモ)」という言葉を聞いたことがありますか?「メタボリック・シンドローム(メタボ)」なら知っているけれど、ロコモなんて聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。
 ロコモティブ・シンドロームは日本語で「運動器症候群」といいます。運動器とは、体を動かすために必要な「筋肉」「骨」「軟骨」などの総称です。これらが連携して働くことで、スムーズな歩行が可能になります。
 いずれかの運動器の状態が悪くなったり、連携がうまくいかなくなったりすると、運動器全体がうまく機能しなくなり、痛みやふらつきから転倒・骨折の危険が高まります。その結果、歩行が困難になると、最終的には要介護の状態や、寝たきりにつながることがあります。このようなリスクが高まった状態を、近年、ロコモティブ・シンドローム(ロコモ)と呼ぶようになったのです。
 ロコモの原因は、「骨や関節の病気」と「筋力・バランス能力の低下」の2つに分けられます。骨や関節の病気として代表的なものには、「骨粗鬆症」、膝関節や股関節などに起こる「変形性関節症」、背骨の中の神経が圧迫され働きが低下してしまう「脊柱管狭さく症」などが挙げられます。

・骨や関節の病気
(骨粗鬆症、変形性関節炎など)
・筋力の低下
・バランス能力の低下
     ↓
痛み、ふらつきなど
     ↓
歩行障害、要介護、寝たきり

 筋力やバランス能力が低下すると、ふらついたりつまずいたりすることが多くなり、転倒・骨折のリスクも高まります。しかし、骨や関節の病気と異なり気づきにくいため、対策が遅れてしまいやすいという問題があります。
 高齢者では、1つの運動器の状態が悪くなっただけでも、それが連鎖的に影響し、歩行に支障を来すことがあります。そこで、歩く能力を全体的にとらえた予防対策に取り組む必要があると考えられ、ロコモの考え方が提唱されました。
 骨や関節の病気がある場合、まずその病気を治療することが必要になりますが、病気が治ればそれでよいというわけではありません。歩く能力全体に注目し、能力やバランス能力などを総合的に改善していくことが大切なのです。
 たとえ高齢であっても、適切な運動で筋力も骨も強化されます。特に筋肉は鍛えることで十分な改善が望めます。筋力が向上すればバランス能力も改善し、ふらつきやつまずきが起こりにくくなります。運動は、いくつから始めても効果が期待でき、遅すぎるということはありません。「年だから」とあきらめず、自分の体力に合わせて、できるところから始め、継続していくことが大切です。

[話の広場] 2011 春季号より引用

災害への備えを忘れず 「薬や病歴などを一覧表に」

-近隣との連携も重要

 平成23年3月11日、東北地方太平洋沖において発生した大地震、大津波、そしてそれに伴う原発事故による未曾有の大災害で被害を被られた皆様に心からお見舞いを申しあげます。一日も早く復旧されますよう、お祈り申しあげます。
 さて、今回の大災害を機に突然の災害で被るけがや病気にどう備えるべきか考えた方も多いのではないでしょうか。日頃からどんなものを家に常備し、持ち歩くよう心がけるべきでしょうか。

■情報をまとめる■

 持病のある人の備えとしては日頃服用している薬のリストや病歴、かかりつけ医の連絡先などの情報を一枚の紙にまとめ、非常時に持ち出せるようにしておきましょう。自分の名前、住所、血液型のほか、家族の連絡先なども忘れずに記載しておいてください。

■救急箱■

 まずは家庭にある救急箱の中身を再点検してみましょう。救急箱は急を要さないけがや発熱のために常備しておく市販薬、普段から服用している薬、ガーゼや包帯などの衛生用品が中心となります。飲み薬だけでなく打撲や切り傷などの負傷に備えて湿布や消毒液、ばんそうこうなども用意しておくほか、おなかが弱い家族がいる場合は、整腸薬などもあるとよいでしょう。
 また被災地では、疲れや衛生状態の悪化などでインフルエンザやかぜが流行しやすくなります。予防に必要なマスク、うがい薬や消毒剤なども準備しましょう。
 平時からよく遣う常備薬などは救急箱にしまい、入りきらないものは、そばにまとめておくか、非常持ち出し袋などに入れておきましょう。

■高齢者・要介護者■

 災害時は家族と離れ離れとなり、孤立してしまう恐れがあります。特に医療や介護が必要な高齢者は「災害弱者」となりやすい傾向があります。家族と連絡が取れなくなる事態を想定して、日頃から隣近所の人に状況を伝え、非常時の手助けを頼んでおくことが重要です。
 また高齢者の中には介護保険を使っている人も多いので、担当のケアマネージャーの連絡先も記しておくとよいでしょう。認知症の人の場合は自分で氏名や生年月日を言えないこともあるので、保険証のコピーや顔写真なども用意しておくと本人確認に役立ちます。
 要介護者のいる家庭では、屋内の安全対策も大切です。ベッド周辺には落下の危険があるものを置かないようにしましょう。出入り口周辺には崩れそうな家具は置かず、逃げ道が確保できるようにしてください。杖や車椅子はあらかじめ置き場所を決めておくとよいでしょう。

【まとめておきたい情報】

・氏名   ・生年月日
・住所   ・血液型
・家族の連絡先
・飲んでいる薬の種類
・病歴など ・かかりつけ医
・ケアマネージャーなどの関係機関

[話の広場] 2010 夏季号より引用

骨粗鬆症対策 「骨を生活習慣で強くしよう」

-食事・運動・日光

 高齢化社会を迎えて、今まで生活習慣病と言われてきた高血圧、糖尿病、高脂血症などの疾患に加えて、骨折の原因となる骨粗鬆症が注目されるようになりました。現在、65歳以上の方の人口は2000万人にも達していますし、骨粗鬆症の推定患者数は約1000万人とみられています。また50歳以上の女性では全体の30%前後の方が骨粗鬆症と推定されています。これだけ多くの方が骨折の危険にさらされているのです。

 骨粗鬆症とは加齢に伴い、骨に鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。

 骨粗鬆症は、ガンや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が直接生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗鬆症による骨折から、寝たきり状態になってしまう人も少なくありません。血圧やコレステロール値を気にするように骨密度も気にかけ、骨粗鬆症を予防しましょう。

 骨粗鬆症の発症には日常生活が大きくかかわっています。生活習慣の改善を行うと、骨が強化されるだけでなく、薬物療法の効果を増強させることも期待できます。予備軍の人では、生活習慣の改善だけで骨量が維持できることもあります。骨を強くするためには、まず喫煙者は喫煙をやめ、過度の飲酒は控えます、そして「食事」「運動」「日光」の3つがポイントとなります。
 できるだけ早い時期からよい生活習慣を取り入れ、骨粗鬆症と骨折の予防に役立てましょう。

■食事=骨を強くする■

 骨を強くするように働く栄養素は「カルシウム」「ビタミンD」「ビタミンK」の3つです。特にカルシウムとビタミンDは、一緒にとるとカルシウムの吸収率を高める効果があります。もうひとつ、特に高齢者にとって大切な栄養素が「タンパク質」です。カルシウムと同様に骨の材料となるので、意識してとりましょう。カルシウムは乳製品や魚介類に多く含まれます。カルシウム摂取量の目安は年齢にかかわらず1日800mg程度必要です。

■運動=日常的に骨に体重をかける■

 運動不足は骨量の低下を引き起こす原因となります。さらに骨にカルシウムを蓄えるには、〝骨に体重をかける〟ことが必要です。「階段の上り下り」「散歩・ウォーキング」、家の中では「イスを利用してのスクワット」「片脚立ち」などを行うと、骨を強くする効果が得られます。
 ただし、骨に一時的な負荷をかけ過ぎると圧迫骨折を引き起こす危険性があるので、運動を始める前には医師に相談するようにしましょう。

■日光=外出時に浴びる■

 カルシウムの吸収を高めるビタミンDは、日光が皮膚に当たることで活性化するため、適度に日光に当たることが大切です。長時間浴びる必要はなく、夏なら木陰で30分程度、冬なら手や顔に1時間程度浴びれば十分です。昼間に買い物に出かけたりして、生活の中で上手に日光を浴びるようにしましょう。

[話の広場] 2009 夏季号より引用

「生活習慣病の温床 皮下脂肪と内臓脂肪」

~どちらも溜め過ぎに注意~

 体につく脂肪は、大きく分けて「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。内臓脂肪は、おなかの臓器の周りにつく脂肪で、男性にたまりやすく、健康に悪い影響を与えやすいのが特徴です。そして皮下脂肪は、皮膚の下につく脂肪で、女性にたまりやすく、体への影響は内臓脂肪より小さいのが特徴です。

 内臓脂肪も皮下脂肪も過剰なエネルギーを備蓄することに変わりはありませんが、皮下脂肪は、たまるときも燃えるときも非常にゆっくりです。それに対して内臓脂肪は反応が非常に早く、たまる時は早期にたまって、空腹になるとすぐに燃えます。分かりやすくお金で例えると、内臓脂肪が出し入れの簡単な「普通預金」、皮下脂肪は「積立預金」のようなものです。

 また、内臓脂肪と皮下脂肪では、燃える時に出てくる遊離脂肪酸という物質の行く場所が異なります。皮下脂肪は全身をかけめぐって筋肉などで使われますが、内臓脂肪から出てきた、燃えた遊離脂肪酸は、肝臓に直結している門脈という血管から直接肝臓に入っていき、高脂血症の原因になる脂肪をつくったり、糖尿病の原因になる血糖をつくったりしてしまいます。

 内臓脂肪はメタボリックシンドロームをはじめ多くの生活習慣病の温床として知られるようになりました。内臓脂肪は単なる「あぶら」のかたまりではありません。体に悪影響を与えるさまざまな物質を分泌し、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を引き起こしています。さらに動脈硬化が進行することで、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気にもつながります。

 一方、皮下脂肪も、過剰にたまると月経異常や睡眠時無呼吸症候群などの原因となることがわかってきました。皮下脂肪で多くつくられる「レプチン」というホルモンには、月経開始の指令を発する役割があります。しかし、皮下脂肪の蓄積でレプチンが過剰になると、常に月経開始の指令が出ている状態になり、合図の役目を果たさなくなるため、「無月経」などが起こることがあります。

内臓脂肪を減らすために食生活を見直すことは、もちろん大切ですが、最も効果があるのは運動です。毎日の運動が大事で、日常の生活の中で、できるだけ街を歩いたりエスカレーターに乗らないで階段を上ったりするなど、小さな心がけが大切です。特別激しい運動をするとか、わざわざスポーツジムに行ってというほどの運動が必要とは限りません。毎日ちょっとでも機会があれば筋肉を動かす生活習慣をつける。それが一番大事といえます。

内臓脂肪 皮下脂肪
男性に多い。 女性に多い
内蔵のまわり。 太もも、お尻など。
付きやすく、落としやすい。 付きにくく、落としにくい。
肝臓に取り込まれ、
体に悪い影響。
肝臓に取り込まれず、
体を循環。
短期的エネルギーを貯蔵。 長期的エネルギーを貯蔵。

特集

[特集]2022新春号より引用

肩こりと頭痛

頭痛でお悩みの方は多いと思います。症状もつらく煩わしく日常生活に支障を与えると言う点では大きな社会的損失と言えると思います。特に最近はコロナ禍でストレスも多く、またテレワークや外出自粛の影響でパソコン作業やスマートフォンを使用する時間が多くそれらをきっかけに増悪する頭痛も増えているようです。 頭痛には様々な種類があり、中には生命を脅かす急性の頭痛 (くも膜下出血や髄膜炎) もありますが、頻度的には大部分は命に別状のない頭痛です。慢性的な頭痛として有名なものに「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があげられ、それぞれ発生機序も治療法も異なります。今回は「(筋)緊張型頭痛」についてお話をしたいと思います。

〈緊張型頭痛とは〉

最近首や肩のこりが気になったり、頭痛の頻度が増したと感じる事がありませんか?では肩こりが関係する頭痛とはどんな頭痛でしょうか?それは「〈筋〉緊張型頭痛」と呼ばれます。 症状としては、「後頭部から頭全体を締めつけられるような痛み、後頭部から首の後ろや肩に痛みや張りを感じその後に頭痛がする、めまいを伴いふらつき感がある、体がだるくなる、目の奥が痛くなる」などがあげられます。痛みの程度は人によって異なり痛みは数十分程度で治まることもあれば1 週間以上続く事もあります。慢性頭痛の中では最も頻度が高く、女性に多く日本では約2000万人の方が緊張型頭痛で悩まされていると推測されます。気温の低い冬に増加し、なで肩で首の細い方に多い傾向も知られています。

〈原因〉

原因として頭や首の筋肉の過度な緊張と血流障害が考えられています。肩こりに関係する筋肉には「首の後ろから肩、背中の範囲を覆っている僧帽筋」「首の後ろの後頸筋群」「頭の左右両側の側頭筋」という幅広い筋肉群があげられます。これらの筋肉群が”こる”ことにより痛みが生じます。市販の頭痛薬を飲むと「痛み」は軽くはなりますが「こり」に対しての効果はないので繰り返し状がでて慢性化するようになります。車の運転やパソコン操作など長時間同じ姿勢の(特に首がうつむいている方に多く、夕方や仕事の終わる時間帯に症状が現れる事が多いようです。特にパソコンの端末を注視する結果起こる「頭痛、肩こり、眼精疲労」には「VDT(コンピューター端末)症候群」と別称まであります。 肩こりが直接頭痛を引き起こすという訳ではありませんが、肩こりが酷いということはそれだけ肩や首の周りの筋肉が緊張し血流不足を引き起こしていると言えます。つまり日常生活の中で肩こりが気になる人は悪化すると緊張性頭痛につながる可能性が高いと考えて良いと思います。

〈治療〉

やはり原因となる筋肉の緊張を和らげ、血液の障害を改善してあげることが重要です。環境の工夫や姿勢の改善、そして首や肩の周りのストレッチもお勧めです。症状が強い時は消炎鎮痛剤を使用します。内科では鎮痛剤に加えて筋肉のこりが強い場合は筋弛緩剤を併用する場合もあります。症状が強い方には麻酔科やペインクリニック科で神経ブロック療法(痛みの発生ポイントに直接注射をするトリガーポイントブロックや、交感神経の緊張を緩和する星状神経節ブロックなど)を行うのも有用です。星状神経節ブロックは頭や首の血流が改善してすぐにぽかぽかするのを実感でき、また偏頭痛や群発頭痛でも効果が期待できるとされています。精神的ストレスが大きく関与している場合には心療内科などで抗不安薬や抗うつ薬を処方する選択肢もあります。

〈予防策・改善方法〉

首の筋肉や目に負担をかけないような生活習慣の改善が予防には重要です。首に負担のかからない姿勢を心掛け、長時間同じ姿勢にならないようにします。 睡眠時の枕の高さや固さの工夫や精神的ストレスを回 避する努力も意味があります。肩こりの予防と改善にはマッサージやストレッチが効果的で表面の筋肉だけでなく内部の筋肉をほぐすことが大切です。また「同じ姿勢で長時間画面を見る」ことを避けることも予防には効果があります。 仕事で画面を注視する必要がある場合も、30~60分ごとに画面を見ることを中断し立ち上がって両腕を上に伸ばして全身を動かしてみましょう。 蒸しタオルなどを使って肩や首を温め筋肉をほぐすのも効果があります。 肩こりのストレッチは、緊張し凝り固まった筋肉の柔軟性を高め、筋肉疲労、血行促進、ストレス解消に効果があります。ゆっくりとした動作と呼吸を行うのが基本です。(反動をつけないようにして痛いのを無理して力を入れないよう気をつけましょう。)

〈最後に〉

多くの頭痛は命に関わらない良性のものがほとんどですが、症状により治療法あ異なってきますし、上述したように生活習慣の工夫で予防や改善も期待できます。しかしながら必ずしも「肩こり=緊張型頭痛」とは限りませんので、つらくなる前に早めに一度医療機関受診をお勧めします。

[特集] 2021春季号より引用

腰椎すべり症

 人間の背骨は頸椎、胸椎、腰椎と円盤状の椎骨が重なり、その内部背側の空間(脊柱管)には太い骨髄神経が脳からつながり、足や腰の感覚や運動に対して信号の入出力の役目を担っています。また脊髄からは全身に分布する神経が分岐し椎骨の間から伸びています。加齢によって腰椎や周辺組織が変成して不安定になり、椎体が前方にすべってしまう病態を「腰椎すべり症」と呼びます。その偏移により脊柱管事態や分岐し神経の通り道が狭くなり神経が圧迫されると痛み、しびれや運動障害などのさまざまな症状の原因となります。

〈種類〉

 腰椎すべり症は、「変性すべり症:加齢に伴う椎間板や靱帯、椎間関節などの椎体を安定させる組織の変性が原因」と「分離すべり症:椎体と関節を支える椎弓が分離することが原因」の2種類に大別されます。二者の中で変性すべり症の頻度が高く中年以後の女性に多い傾向があり女性ホルモンの減少や骨粗鬆症の合併も関与していると考えられています。分離すべり症は思春期のスポーツなどによる疲労骨折である腰椎分離症に引き続いて生じる事が多く第5腰椎に好発します。

〈症状〉

 主な症状は腰痛と座骨神経(下肢ののしびれや痛み)です。長時間の歩行で徐々に臀部や大腿に痛みやしびれが生じ最悪の場合は歩行を続けられなくなりしゃがみこむ事もあります。しばらく休むと歩けるようになりますが、またしばらく歩くとしびれてくるいう特徴があり「簡潔性跛行」と呼ばれます。他には神経の圧迫により排尿障害や排便障害(膀胱直腸障害)を起こす場合もあります。

 これらの症状は脊柱管狭窄症の症状と非常に似通っています。腰部脊柱管狭窄症と同様に腰椎すべり症でも腰を反ると症状が悪化することが多く身体を丸めると症状が和らぐ傾向があります。軽度の腰痛すべり症では無症状であることも多く症状が出現するようになって初めて検査を受けた時点ですでに腰椎すべり症がかなり進行してしまっていることも少なくありません。

〈診断〉

 腰椎のレントゲン撮影を行う事により、前後方向への椎体のずれがないか、また前屈位や後屈位での撮影で不安定性があるかなどの判定を行います。脊柱管内の脊髄の圧迫や腰椎の間からでる神経根の圧排については単純レントゲンでは判定できず腰椎MRIやCTが有用です。またMRIではさらに椎間板の変性の程度や神経圧排の方向などの情報も得る事ができ治療方針の決定に役立ちます。また似たような症状を示す「椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍」などとの鑑別にもこれらの画像診断が有用です。

〈保存的療法とリハビリテーション〉

 痛みに対する対処療法として消炎鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬、ろきそにんやセレコックスなど)の内服や神経障害性疼痛の薬、神経の血流改善目的でプロスタグランジン製剤などが症状の緩和に有効な場合があります。痛みが強い時は神経ブロック注射、あるいは物理療法や装具療法などを症状に応じて選択します。物理療法(温熱療法や牽引療法)は腰の血液循環と神経の働きを改善させ痛みを軽減させる事を目的にしています。装具療法(コルセット)では腰椎の動きを安定させ神経の圧迫や腰椎への負荷を軽減させることで症状の緩和をめざします。

 ストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリテーションでは腰椎を安定させるために「腰部多裂筋」などのインナーマッスルを中心とした筋力トレーニングを行い、腰椎の正中化をはかり安定性を向上させます。また下肢の可動域制限や肥満などが姿勢に悪影響を与えている場合も多く、このような場合は全身の姿勢から必要な機能改善を評価したアプローチや指導も行います。

〈手術療法〉

 保存療法でなかなか症状の改善がみられない場合や神経症状の合併、下肢の麻痺や筋力低下が進行した場合、馬尾神経障害や膀胱直腸障害、排便障害などが継続して存在する場合には外科手術を考慮する事があります。手術方法は関節の不安定性の程度にもよりますが、椎間関節に不安定性が認められない場合には「椎弓切除術」や「拡大改装術」などで神経の圧迫を解除する事を主眼にします。

 ただし、脊椎の不安定性が強い場合は関節を固定するための「脊椎椎体間固定術(PLIF)」や「椎体後側方固定術(PLF)」などの手術が考慮されます。

〈予防〉

 腰椎や椎間板の背骨にかかる負担を出来るだけ少なくすることが効果的です。そのための第一が正しい姿勢を維持することです。第二が日常生活で腰に負担のかかること(体重増加や不安定な姿勢)をできるだけ避けること、そして第三が腰を支える筋力を普段から鍛え、さらにその柔軟性を維持することです。

 腰を支える筋力とは「腹筋と背筋」です。この二つを同時に鍛えることにより、背骨を支える力が増し、無理な力が加わってもずれる危険性が減少します。

[特集] 2020 新春号より引用

背中や腰の曲がり

脊椎圧迫骨折と脊柱管狭窄症

 年齢とともに(特に女性では)背中や腰が曲がり、前屈みの姿勢になる人が増えてくる事を当たり前の事実と理解されている方が多いと思います。「なぜ年を重ねると背中や腰が曲がるのでしょうか?」

 農作業など前かがみの姿勢をする生活習慣のせいかと勘違いされている方も多いと思います。

 ひとつの原因として一般的には高齢になると、背筋や腹筋など体をまっすぐに保つ筋力が低下するため背中や腰が次第に曲がる傾向(円背)があります。もう一つ背骨自体に変形を起こす疾患の代表として脊椎圧迫骨折と脊柱管狭窄症があげられます。

 あまり背中が曲がると肺や腹部臓器が圧迫されるために、呼吸に悪影響がでたり、逆流性食道炎が悪化し胸焼けや胃のつかえを感じることがあります。

〈脊椎圧迫骨折〉

 骨の強度は年齢とともに低下しますが、特に女性では閉経後にホルモンの影響で骨密度が低下し骨がもろくなる事(骨粗鬆症)が大きな問題になります。

 骨がもろくなるため背中や腰の骨(脊椎:胸椎や腰椎)が、くしゃみをしたり、重い荷物を急に持ち上げたり尻もちをついた衝撃で、つぶれるような骨折を起こすことがあります(脊椎圧迫骨折)。その結果、背骨を形成する事により背中が曲がり、身長が縮んでしまいます。

 強い痛みを伴いしばらく起き上がれない場合もありますが、中には御本人が気づかない間につぶれている場合もあり「いつの間にか骨折」と表現されることもあります。痛みがなくても最近背が縮んだとか背中が曲がってきたと感じている方は骨密度検査と脊柱のレントゲンをお勧めします。

 脊椎圧迫骨折は、寝返りをうつときや起き上がるときに痛みが強く出るのが特徴です。骨折時に痛みがほとんどなく、初期段階ではレントゲンを撮っても骨折だと気づかずにその後徐々に変形が進んでいく場合もあります。背中が曲がってきても「年齢のせい」と見過ごしており、後日レントゲンで多発の脊椎圧迫骨折を指摘されることも珍しくありません。

〈骨折の診断〉

 診断は、背中や腰の痛みといった症状、レントゲン、CT、MRIなどで調べます。圧迫骨折は、骨折したときに痛みがないこともあり、痛みが出始めた時点でレントゲンを撮っても、最初は骨がつぶれていないので骨折がわからないこともあります。

〈骨折の治療〉

 大きく分けて2つあり、手術をしない「保存療法」と手術を行う「外科的療法」があります。

 保存療法では、コルセットやギブスを装着して通常通り生活する場合や、入院してベッド上で安静にしている場合があります。また、痛み止めの処方や、骨粗鬆症に対しては骨を強くする治療を行います。多くは自宅でも治療が可能ですが、痛みのために動けないような場合は、入院治療が必要になります。

 外科的治療には、金属製のねじなどで背骨の固定や、背骨を安定化させる物質を充てんし、痛みを軽減させる方法などがあります

 いずれの場合も、リハビリテーションを行い機能回復をはかります。骨も筋肉も動かなくなることでどんどん弱ってしまうため、安静にしすぎないことも大切です

 脊椎圧迫骨折がある場合は、骨折の治療と並行して骨粗鬆症の検査と治療を始めます。骨がもろくなっているということは、いつ全身のどこの骨が折れても不思議ではない状態にあるということです。再度脊椎圧迫骨折を繰り返す場合や転倒して大腿骨骨折を起こすと大きな機能障害につながるので注意が必要です。

〈脊柱管狭窄症〉

 脊柱管狭窄症と言う病名もしばしば耳にすると思います。背骨の中に神経が通るトンネルのようなもの(脊柱管)があり、そのトンネルが経年変化などで狭くなり、神経(脊髄)を圧迫することで痛みを発生させる病気です。

 若い頃から腰に負担がかかる職業に携わってきた人や、逆にあまり筋肉を使わずにいたために筋力がていかしている人がなりやすい傾向があります。

 主な症状は下肢のしびれや痛みです。多くの方は長く歩くとだんだんしびれと痛みが出てきて歩けなくなり、しゃがみこむ場合もあります。しばらく休むとまた歩けるようになりますが、またしびれてくるというのを繰り返します(間欠性跛行)。ひどくなると10mも歩けない方や立っていられない方もおられます。腰部脊柱管狭窄症の患者さんは、前かがみになると痛みやしびれが軽減することから、自然と腰が曲がった姿勢となってしまいます。押し車を押していたら歩けるけど無しだと歩けないという方がその典型です。また自転車は前屈姿勢でこぎますので、自転車なら問題無いけれど、普通に歩くと歩けないという傾向もしばしばみられます。(逆説的に言えば背中を曲げた前かがみの姿勢の原因として背骨に脊柱管狭窄症が隠れている可能性も考えられます。)

 痛みやしびれに対しては非ステロイド系消炎鎮痛剤の内服薬や貼り薬、塗り薬などの薬物療法や、また痛みの伝達や炎症を抑える目的で局所麻酔薬を用いる神経ブロックも時に有効です。神経の血流を改善する目的でプロスタグランジンなどの薬剤を用いることもあります。

 排泄障害などの強い神経障害がある場合や姿勢の改善や薬物療法をしばらく継続してみても症状の改善が得られず、日常生活に支障を伴う場合は手術も検討されます。

 手術は狭くなった脊柱管を広げ、神経の圧迫を取り除く除圧を目的として行いますが、圧迫の程度や範囲、部位、また症状によて手術方法が異なります。

[特集] 2019 新春号より引用

ロコモティブシンドローム

ロコモ度チェックとロコトレ

 最近、「フレイル」とか「ロコモ」とか聞き慣れない外来語を耳にする機会が増えたと感じている方も多いと思います。これらの話題が出るようになったのは日本の社会が超高齢化社会に突入したことと深い関係があります。

 ロコモ(ロコモティブシンドローム、運動器症候群)とは、「骨」「関節」「筋肉」などの運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態の事です(病名ではありません)。分かりやすく言うと足腰が弱って歩行や立ち座りなどに支障が出始めた状態で進行すると移動や歩行が困難となり介護や介助が必要になります。

 昔から「人間は加齢とともに足腰が弱る」と言う事は誰でも常識として御存知だと思います。このようなあたりまえの事が話題になりその予防法まで議論されるのは、ただ寿命を伸ばすだけでなく「健康年齢、健康寿命が重要である」と言う認識が広まったのと、人口構成が逆ピラミッド型になり増加していく高齢者をささえる若い世代の人口が減り「長生きするなら自分の事は自分でやらなければ」と言った切迫して社会情勢が背景にあると思います。最近の統計で40歳以上を対象とした調査によるとロコモは予備軍まで含めると日本に4700万人前後いると推測されます。要支援・要介護になる原因として、「脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、認知症、骨折・転倒」が上位をしめます。 この中で「骨折・転倒」についてはロコモティブシンドロームと深い関係があります。だからこそ寝たきりや要介護を減らして健康寿命を伸ばしていくためには「ロコモ対策」が重要となります。

~ロコモのチェック~

(1)片足立ちで靴下が履けない
(2)家の中でつまづいたり滑ったりする
(3)階段を上がるのに手すりが必要である
(4)家の中でのやや重い仕事が困難である
(5)2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
(6)15分くらい続けて歩くことができない
(7)横断歩道を青信号で渡りきれない

【ロコモ度チェック】

 ロコモティブシンドロームは高齢者の問題だと思われがちですが、早いうちから注意が必要です。特に若いころから運動習慣がない場合は年齢相応以上に筋力やバランス能力の低下が進んでいることがあります。「自分は大丈夫」と思っている人も、上記の「ロコモ度テスト」をチェックして、ご自分の体について振り返ってみましょう。

 この中で1つでも当てはまる項目がある場合、ロコモティブシンドロームの可能性があります。

【ロコモの誘因】

 多くの都市生活者は明らかに運動量も少なく不適切な生活習慣のため栄養の偏りや肥満またはやせ過ぎなどの問題を抱えています。運動習慣のない生活の結果、徐々に運動器は衰えそれに加えて体重が増加すると膝や腰などの関節や背骨に大きな負担がかかり腰痛や膝の痛みの原因となります。逆にやせ過ぎによる筋肉量の低下は転倒や骨折につながる危険があります。骨折や痛みで思うように身体を動かせなくなった結果、悪循環で筋力も落ち寝たきりにつながる場合も多く見受けられます。

 関節の痛みや運動器の機能障害は年齢をかさねるにつれて増えていきますが「年だから仕方がない」と軽く考えずに、「骨粗鬆症」「変形性関節症」脊柱管狭窄症」などの骨や関節の病気が影響している場合がありますので、腰や膝に痛みがある方は病気が隠れていないか医療機関で一度調べて下さい。

【ロコモ対策】

 ロコモティブシンドローム対策として足と腰の周りの筋肉をつけることが大切です。筋肉は年齢がいくつになっても増強することができます。筋肉をつけるために重要なのは運動の継続です。足腰の筋力を強化しバランス能力を向上するためのトレーニングとしては「片足立ち」と「スクワット」があげられます。またウォーキングやストレッチなどの軽い運動でもかまわないので日々楽しみながら続けていく習慣が重要です。楽しく充実した日々を過ごすためにも、ぜひ一度ロコモティブシンドロームについて考えてみてください。

[特集] 2018 新春号より引用

目指そう!健康長寿

オーラルフレイルの予防

 「オーラルフレイル」とは、直訳すれば「口腔機能の虚弱」です。近年、口腔機能の維持が健康長寿に深く関与していることが分かってきています。

 高齢者では、食べづらい状態や飲み込みづらい状態になると、柔らかい物を選んで食べるようになり、ますます噛む力が衰えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。

 さらに、このような状態が続くと、栄養の偏りや食欲・食事量の低下による筋肉量や体重の減少など、介護が必要となる全身の虚弱につながるケースもありますので注意が必要です。

 噛むことや飲み込む力を維持するためには、食事の際は奥歯できちんと噛むなど、口の筋肉をしっかり使うことが大切です。また、口の周りの筋肉や舌を使う「パタカラ体操」も有効です。「パタカラ、パタカラ・・・」と連続してできるだけ大きくはっきりと声を出す口体操をすることで、唇や舌の機能を強化することができ、オーラルフレイルの予防に役立ちます。

[特集] 2018 新春号より引用

「一無、二小、三多」のススメ

 長年積み重ねてきた習慣をいきなり変えてしまうことは難しいと思いますが、ここでは今日からすぐにできる生活習慣の改善法「一無、二小、三多」をご紹介します。

◎一無:禁煙

 「一無(いちむ)とは無煙・禁煙のこと。タバコは百害あって一利なし、身体に悪影響を及ぼす代表格です。一番初めに止めることから始めてみましょう。

◎二小:小食・小酒

 「二小(にしょう)は、小食・小酒のことです。食べ過ぎ・飲み過ぎを控えることは、身体の機能を健康な状態に維持していく上で重要です。

 そして、アルコールは1日20gまで(日本酒に換算して一合程度)の摂取が望ましいとされています。ほどほどを心掛けましょう。◎二小:小食・小酒

◎三多:多動・多休・多接

 「三多(さんた)とは、体を多く動かし(多動)、しっかり休養を取る(多休)、多くの人・事・物に接する生活(多接)のことです、多くのものに触れ、メリハリのある生活を過ごすことが健康長寿には欠かせない要素ではないでしょうか。

[特集] 2017 夏季号より引用

注意したい日焼け

 最近は日焼けを気にする方も増加してきましたが、もともと欧米では日光を浴びて日焼けすることは健康的なイメージがあり裕福なマダムの証拠のように歓迎されていました。

 若い頃は色が黒い方が活動的で健康的に見えるとか、やせてスタイルが良く見えると意識的に日焼けをしようとする方が多いようですが、後になってしみやそばかすなど(皮膚の老化促進)に悩まされ、また白内障や皮膚がんの発生など紫外線の浴び過ぎによる重大な弊害の原因となることがあり、日焼けには注意が必要です。

 特にこれからの夏場は紫外線の量が多く、海やプールなど外出の頻度も増える時期ですので今回は日焼けについて御一緒に考えたいと思います。

〈日焼けの分類〉

1.サンバーン

 紫外線に当たった2~6時間後に皮膚が赤くなり、痛みは6~48時間の後が最もひどくなります。やけどに近い状態で痛みも伴います。サンバーンは紫外線UVBが表皮を透過し真皮乳頭体まで達した結果、乳頭体内毛細血管が充血し皮膚の色が赤くなった状態を指します。その際紫外線量がメラニン色素の防御能力を超えていると、表皮細胞が傷を受け発熱や水疱、痛みが起きます。医学用語では日光皮膚炎と呼ばれます。

2.サンタン

 24~72時間の間に色素沈着が進行し、色が黒くなります。サンタンは紫外線量UVAがメラノサイトに働きかけ、メラニン色素の生成を促すために生じ、紫外線を浴びてからしばらく後で皮膚が浅黒く変色します。UVAは真皮の深部まで到達しシワ、タルミの原因になります。

〈治療〉

 日焼けは基本的には「やけど」ですので、まず冷やすことが最優先です。海などでひどく日焼けしたと感じたら冷たいシャワーをある程度の時間かけるか、水風呂に入ってください。それでもジンジンするときは、氷をタオルに巻いて冷やします。その後、清潔なガーゼで保護し、医療機関を受診して下さい。

 水ぶくれは絶対につぶしてはいけません。水ぶくれをつぶすと皮膚のバリアが壊れ、細菌が入り二次感染を起こしてしまう可能性があります。また、化膿するとあとが残る原因にもなります。

〈予防〉

 紫外線がもっとも強いのは、午前10時~午後2時頃です。紫外線を怖がりすぎるのも考えものですが、特に日差しの強くなる夏のこの時間帯に外出する時は、帽子、サングラス、長そで、長ズボンの衣服で直接紫外線が皮膚に当たらないようにしましょう。また日焼け止めクリームをつけるのも大変有効です。日焼け止めクリームは女性用という認識が強いようですが、男性やお子様にもつけて、紫外線からしっかり肌を守ることが大切です。特に屋外では額や鼻、肩など、皮膚が弱く紫外線が当たりやすい部分には事前に念入りに塗る慎重さが重要です。

 また紫外線は皮膚だけではなく目からも吸収されます。帽子は20%、サングラスは90%目への紫外線を減少させる効果があるという報告もあります。

 紫外線からのガードを考えながら暑い日焼けの夏を乗り切りましょう。

[特集] 2017 夏季号より引用

ペットボトル症候群の正体

 「ペットボトル症候群」の正式な名称は、「ソフトドリンク・ケトーシス」といいます。糖分の多いソフトドリンクを継続して多量に摂取することで血糖値が上昇し、血糖値を一定に保つために必要なインスリンの働きが一時的に低下するために起こります。

 喉が渇いた際に甘いソフトドリンクを飲むと、飲料中の糖によって血糖値が上昇します。血糖値が上がると、それを薄めようとしてさらに水分を欲して喉が渇きます。喉を潤すのに水やお茶を飲めば問題ないのですが、このような状況で次から次へとソフトドリンクを飲むと、さらに血糖値が高くなって喉が渇くという悪循環に陥ってしまいます。

 症状としては、喉が渇く、尿量が増える、だるい、疲れやすい、イライラする、吐き気がするーなどがよくみられます。重症になると意識がもうろうとすることもあります。

 ペットボトル症候群を防ぐため、あるいは生活習慣病の予防のためにもソフトドリンクを飲むのであれば過剰にならないように気をつけましょう。

[特集] 2017 春季号より引用

脚の腫れ、痛み、むくみ、呼吸困難、胸痛、動悸など

静脈血栓塞栓症

 「エコノミークラス症候群」という病気を、聞いたことがありますか?以前にかなり話題になりましたので、知っている方は多いと思います。

 「エコノミークラス症候群」とは、飛行機の中に長時間、同じ姿勢でいることによって発症する「静脈血栓塞栓症」のことです。

 飛行機だけでなく、長距離バスや車内でもみられることから、ロングドライブ症候群ともいわれています。その他、手術のあとや病気やけがのために寝たきりの状態が長く続き時に起こりやすくなります。

 また最近では、東日本大震災や熊本地震で、避難生活を余儀なくされた方にも多く発症して話題になりました。

 下肢の浅いところにある表在静脈ではなく、太ももやふくらはぎの筋膜の中にある静脈を深部静脈といいます。その深部静脈内で血液のかたまりである血栓ができると(深部静脈血栓症)、それが心臓の方に飛んで、右心房、右心室を通りすぎて肺の動脈をふさいでしまう肺血栓塞栓症(肺塞栓症ともいいます)を発症してきます。

 深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症は一連の病態であるために、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼びます。

 肺血栓塞栓症を発症すると、時に致命的で予後不良です。以前は欧米で多い病気といわれてましたが、最近日本でも増加し、肺塞栓症の死亡率はここ10年で約2倍に上昇しています。そして、死亡例の約4割が発症1時間以内といわれていますので、早急に診断する必要があります。

要因と危険因子

 「静脈血栓塞栓症」が起こる要因には、①血液の凝固能の亢進(血液がかたまりやすくなる)、②血液の停滞(血のめぐりが悪くなる)、③血管内皮の損傷(血管壁の傷や損傷)があげられます。高齢の人や過去に血栓ができたことがある人も注意が必要です。

 具体的な危険因子として、血液凝固能の亢進には、妊娠やがん、経口避妊薬の使用、喫煙、脱水などがあり、血液の停滞には、長時間の旅行、臥床、肥満、妊娠などがあります。また、血管内皮の損傷には、外傷や骨折、カテーテルの挿入などが誘因となります。

深部静脈血栓症

 深部静脈血栓症の症状は、下肢の腫れや痛み、発赤、浮腫、表在静脈の拡張などです。診断には、診察所見の他にエコー検査やCT、MRIなどの画像診断、D-ダイマーという血液検査などが行われます。

肺血栓塞栓症

 肺血栓塞栓症の症状は、呼吸困難、胸痛、動悸、失神、冷や汗などがあげられます。診断は、心筋梗塞などの心臓病や肺の病気でないことを確認するとともに、造影CT検査や血流シンチグラム、カテーテルによる肺動脈造影などが用いられます。

【POINT】
深部静脈血栓症は症状が出ないまま進行するケースが多くあります。また肺血栓塞栓症はいったん発症すると呼吸ができなくなったり、死に至ることもある危険な病気です。

深部静脈血栓症の治療

 深部静脈血栓症の治療には、抗凝固療法や血栓溶解療法などの薬物療法や手術療法があります。手術療法には、血栓を取り出す前に下肢の血栓が肺動脈まで流れるのを防止するため、前もって下大静脈フィルターを置く場合があります。

予防が重要

 「静脈血栓塞栓症」は予防が重要です。まずは、安静にしないこと。よく歩くこと。活動的な日常を送りましょう。入院中など歩けない場合では早期離床を目標として、ベッド上での足の運動やマッサージ、足あげなどを行いましょう。

 長時間の飛行機やドライブでは、定期的に運動をして血のめぐりをよくしましょう。また、普段から水分を適度に取って脱水にならないよう注意しましょう。

 理学的予防法としては、下肢を適度に圧迫して血流を増加させる弾性ストッキングや下肢にカフを巻いて、断続的にポンプで圧迫する間欠的空気圧迫法などがあります。

 また、リスクの程度に応じて抗凝固療法などの薬物療法が行われる場合もあります。

[特集] 2017 春季号より引用

ばね指の正体

 ばね指は、いわゆる手指に起こる腱鞘炎の一つです。この腱鞘炎は、指を動かす腱とそれを包んでいる腱鞘がこすれて、腱と腱鞘が膨れあがり、腱の通り道が狭くなって、指を動かす際に痛みをきたす症状です。

 症状は、指のつけ根や指先の痛みのほか、指の曲げ伸ばしの際に指が引っかかったように止まったりすることがあります。この引っかかるのが、「ばね」に似ているので、こう呼ばれます。悪化すると腱が滑らなくなり、指が曲がったまま動かなくなることもあります。

 ばね指が最も起こりやすいのは親指で、全体の約半数を占めます。次に多く見られるのは中指で、以下、薬指、人さし指、小指の順になっています。

 治療は手を使い過ぎないようにすることが原則となります。さらに痛みや炎症をとめる薬を飲んだり、塗り薬や湿布を使います。また、腱鞘内への炎症止めの注射を打ちます。注射の効果が十分でなく、症状が強い場合は、腱の通りがよくなるように、炎症のある腱鞘を切開する手術が行われます。

[特集] 2017 新春号より引用

目指そう!健康長寿

低栄養を防いで健康維持

 肥満は、生活慣習病のリスクを増大させることから、食べすぎには注意が必要です。しかし一方で、高齢者の「低栄養」も問題となっています。

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、65歳以上の2~3割が低栄養状態であるという調査結果があります。高齢者が低栄養になりやすい理由として、食欲不振や咀嚼力・嚥下力などの身体機能の低下のほか、独居や高齢者のみの生活では、食事回数が減ったり、食事内容が偏りがちになるといった生活環境の変化も原因となります。

 低栄養状態に陥ると、筋肉量や筋力、免疫力、認知機能などに悪影響が出てしまいます。いつまでも自立度の高い生活を送るためにも、1日3食の食事はもちろんのこと、単品メニューにせず、バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に高齢者には、さっぱりしたものだけを食べがちですが、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などのたんぱく質を多く含む食品を毎日1品入れることを心がけましょう。

[特集] 2016 秋季号より引用

◇膝の痛みの原因と対策◇

「変形性膝関節症」とは

 日頃の診療の感想として「人間の身体って本当に精巧で良くできているな」と感じます。

 機械は使いはたし部品が壊れると自然に修理される事はありませんが、人間の身体には自己修復の能力がありかなり悪い状態から回復するのを目にするたびに感動を覚えます。

 とは言え、同じパーツを何十年も使い続ける訳ですから経年変化や度重なる損傷やトラブルの結果、困るような不具合も生じて来ます。特に60歳以上の方でお困りなのは膝の痛みです。

 「階段や坂の上り下りがつらい」「痛くて正座ができない」「歩くだけでも痛い」と言った膝の悩みを抱えている人は多いと思います。膝が痛む原因は若い頃には運動などによる外傷がなどが多いようですが、40歳代以降になって大きなきっかけもなく痛み出す場合は「変形性膝関節症」の頻度が高いと考えられます。

 人間の関節は緻密で複雑な構造をしており精密な機械に例えられますが、膝も長年使用しているうちに衝撃を緩和してくれる部分(半月板や関節軟骨)が次第に擦り減ってしまい、その結果痛みや膝の変形、進行すると歩行が困難になって日常生活に障害をきたすようになります。また膝関節に水がたまる腫れを感じる事も多いようです。男女比は1:4で女性に多く、高齢者になるほど罹患率高くなります。

 四本足の動物と比べて二足歩行の人類は全体重を膝で受け止めており、かつ加齢や過去の古傷、運動による損傷や運動不足による筋力の低下、肥満による負荷の増大など悪化要因は多々あります。また日本人の場合、畳での生活や正座、和式便器と言った最も膝関節に負担のかかる姿勢が日常生活で存在することが大きな悪化要因となっています。

【症状】

 初めの頃は長時間歩行した後や階段の昇降時に膝に痛みを感じる程度ですが、病気が進むにつれて痛みの程度も増し関節の屈曲障害も加わるため膝の裏がつっぱって真っ直ぐに伸びなくなり正座がしづらく膝の曲げ伸ばしの角度も悪くなります。さらに悪化すると短距離の歩行や安静時にまで痛みを生じ歩くのもつらく日常生活に支障を生じてきます。

【検査】

 レントゲン撮影や必要に応じてMRI撮影を行い、膝関節の骨の隙間を測定します。関節内の軟骨や半月板はレントゲンでは写らないため、骨同士のすき間の厚みが軟骨の厚みということになります。これが半分程度になっていればかなり進行期の変形性関節炎です。更にすき間が無くなってしまい骨同士がぶつかって見えるようになあると末期と判断します。

【保存的治療】

 治療として、破壊されている膝関節への負荷を減らすために体重コントロールをして、膝関節を支えるために大腿の筋力トレーニングなど努力します。  膝関節の炎症や痛みに対する治療としては経口鎮痛薬、湿布などの外用薬を、時にはヒアルロン酸やステロイドなどの膝関節内への注射も行います。

【外科的治療】

 進行期以上の膝関節症では、上記のような治療にも関わらず痛みが取れず歩行が困難な場合も多く、主な外科治療として関節鏡(内視鏡)手術や高位脛骨骨切り術、人口関節置換術があげられます。

 手術方法は破壊された部品を交換する人工膝関節置換術がもっとも効果的で長期成績も安定しています。人工膝関節置換術には関節全部を取り換える全置換術と悪い方の内側の軟骨だけ取り換える単類型置換術があります。

【予防】

 変形性膝関節症の予防・改善には下肢の筋力アップと膝の可動域を広げる運動が有効です。筋力トレーニングは大腿の前面の大腿四頭筋などの膝を支える筋肉を鍛えることにより、軟骨がすり減って不安定になった膝を安定化する効果が期待できます。具体的なトレーニングとしては椅子に腰かけた状態で膝をのばしたり、寝ている状態で脚を持ち上げるといった膝本体に負担をかけずに行える運動がよいとされています。ストレッチは、筋肉や腱をゆっくり伸ばすことによって関節の柔軟性を維持・拡大するとともに、筋肉の凝りや疲れを和らげる効果があります。回数は大腿の前の筋肉が適度に疲れる回数を設定し徐々に慣れに応じて増やしていきましょう。

 膝の腫れや痛みの強い方は無理な運動療法をせずに早めに整形外科を受診しましょう。

 また前述したように正座や和式トイレなどの膝に負担をかける姿勢はさけて畳の生活から離れて椅子の生活に移行するのが進行予防のためには重要となります。

[特集] 2016 夏季号より引用

水中ウォーキングのすすめ

 無理なく楽しくできる運動としてプールでの水中ウォーキングをしてみてはいかがでしょうか。

 水中ウォーキングのメリットには①浮力があるため、膝や腰に負担がかからない。②有酸素運動によって心肺機能を高め、血流がよくなって血圧を下げる。③水の抵抗と体温より低い水の中で体はより熱を発生させることもあり、多くのカロリーを消費することでダイエット効果がある。④心身のリラックス感やストレスの解消になる。-などがあげられます。

 プールに入る前に、まず準備運動やストレッチをしましょう。そして、いきなりプールに入ると心臓に負担がかかるので、最初の2~3分は水に慣れるようにします。

 前方への歩き方は、背筋を伸ばして、腕は前後に大きくふり、初めは通常の歩幅から、慣れてきたら少し大股で歩いてください。足の裏全体で着くようにして、ももは大きく上げ、両腕で水を大きくかくようにします。水の抵抗があるので、腰が後ろに行かないよう、やや前傾姿勢にすることがコツです。

 他に歩くときにウエストをひねったり、横歩きや後ろ向きもおすすめです。

 運動前に血圧を測定し、呼吸が乱れるような無理な運動はしないでください。途中での水分補給も大切です。

 20分以上1時間位まで、週2~3回位行うと、数ヶ月過ぎた頃には、体重や血圧、血糖値にきっといい効果があらわれてくると思います。

[特集] 2016 春季号より引用

春に多い肌トラブル

 寒い冬がようやく終わり、春の季節となりました。しかし、春は肌の状態がとても不安定になりやすく、一年で最も肌トラブルが起こりやすい季節といわれています。

 この時期に肌荒れ、湿疹、かゆみなどの肌トラブルを起こしやすい人は、次のような要因が関係していると考えられます。

■空気の乾燥

 暖かくなってくると、冬の乾燥した季節から抜け出したと考えがちですが、実は、春はまだまだ乾燥状態にあります。さらに、春は風が強く、肌の水分が奪われやすくなります。

■ストレス

 新年度による入学や就職、転勤などといった急な環境の変化や、朝夕の寒暖差が激しい春は、心身ともに過剰なストレスを受けやすくなります。ストレスによる自律神経の乱れにより、皮脂の分泌量や肌のバリア機能のバランスをうまく保つことができなくなります。

■紫外線

 春になると、紫外線の量が急激に増加します。紫外線は夏だけ気をつけてえいる人も多いと思われますが、4月頃の紫外線量は残暑厳しい9月頃とほぼ同等の量と言われています。

■花粉症皮膚炎

 花粉症の主な症状である目のかゆみ、くしゃみ、鼻水は、目や鼻の粘膜にアレルゲンとなる花粉が付着することで起こります。

 さらに、花粉にアレルギー反応がある人は、まぶたや目の下、首回りなどの皮膚の薄いところに花粉が付着すると、かゆみや赤い湿疹が出ることがあります。

 このように、春は肌トラブルを引き起こす要因が多くあります。肌の保湿、ストレスの上手な解消、紫外線対策、洗顔などの習慣を身に付けて肌の健康を保ちましょう。

[特集] 2016 春季号より引用

痛風、尿酸値にご注意

 「痛風」は名前の通り、「風に当たっても痛む」ほどの激痛が、多くは足の関節(特に親指の付け根が多い)におこる病気です。原因は、血液中の尿酸値が高い「高尿酸血症」です。

 尿酸は、細胞にある遺伝子に含まれるプリン体が肝臓で分解されてできますが、普通腎臓から排出されることによって、ふつうは血液中の尿酸は一定量に保たれています。

 尿酸が多量にできたり、うまく排出できないと「高尿酸血症」となって、それが結晶を作り関節にたまります。その結晶がくずれて、炎症を起こした状態が「痛風」です。

 「高尿酸血症」の人は、日本人では約500万人、そのうちの約1割が「痛風」を起こしてきます。ですから、「高尿酸血症」の人=「痛風」を起こす人ではありません。

 しかし、一度「痛風」を起こしてしまうと、しっかり治療していないと発作を繰り返してしまうやっかいな病気です。

 また「高尿酸血症」は、腎障害、尿路結石、生活習慣病、心筋梗塞など合併症をおこすリスクが高いです。

 血中尿酸値は7mg以上が「高尿酸血症」です。数値の上昇に伴って「痛風」を起こす危険性は増します。それほど高くなくても、食べ過ぎ飲み過ぎが続いたり、ストレス、激しい筋肉運動をしたことをきっかけに起こすことがあります。

 男性に圧倒的に多く、肥満の人、アルコールをよく飲む人、肉や魚(特に内臓)が好物の人、水分をあまりとらない人などが「痛風」のリスクが高い人です。

 一度「痛風」を起こした人は、尿酸の結晶をなくすためにも薬物療法で尿酸値6mg以下を保つことが望ましいとされていますが、もちろん生活の改善が大切であることはいうまでもありません。

[特集] 2016 新春号より引用

「インフルエンザかな?」と思ったら

 毎年のことですが、今年もインフルエンザが流行する季節となりました。インフルエンザと普通の風邪とはどのように異なり、何を注意すべきかについて今回はお話ししたいと思います。

【インフルエンザウィルス】

 インフルエンザウィルスにはA、B、C型が存在しますが、現在流行の中心となっているのはA型とB型です。流行する型は年度により異なりますが、Aソ連型(A/H1N1)、A香港型(A/H3N2)などが有名です。人類を滅亡においやる可能性のある強毒性のトリインフルエンザ(ブタインフル、A型H1N1の亜種)もマスコミの話題となり記憶に新しいと思います。

 普通の風邪と比較して、インフルエンザは感染力が強く流行が始まると短期間で爆発的な流行(大流行はパンデミックと呼ばれ過去には香港かぜ、スペインかぜなど世界中で多数の死者を出した歴史があります)を起こす特徴があります。流行する時期は日本では11-4月の冬期が多いのですが、外国や沖縄では夏に流行期があった事例もあります。これが学校では学級閉鎖、職場では勤務停止などの流行予防のための措置が取られる理由です。重症化する場合があり、乳幼児や学童ではインフルエンザ脳症により意識障害や死亡例がまれに存在し、また高齢者では続発する肺炎や脱水による死亡も少なくありません。

【症状の特徴】

 感染後、1-5日前後の潜伏期間の後に症状があらわれます。「発作は急激で症状が重い」といった特徴があります。鼻水、くしゃみ、咳、痰、喉の痛みなどの上気道炎症状を伴う事が多いため普通の風邪と混同されがちですが、インフルエンザウィルスは感染後体内での増殖スピードが速いため、症状が急激に進行します。

 一番の特徴は急な発熱と、関節痛、頭痛、全身の倦怠感です。悪寒やふるえを伴う場合も多いようです。まれに熱があまり上がらない場合もあり、熱の割に倦怠感や関節痛が強い場合はやはり感染を疑います。

【感染が疑われたら】

 「インフルエンザかな?」と思ったら、早めの医療機関受診が大切です。その理由として以下の点があげられます。

 ①迅速診断キットによって早期の確定診断が可能な点。
 発症直後ではウィルス量が少ないために発熱後12-24時間経過後に診断キットを使用することが推奨されています。鼻の奥や喉の粘液を綿棒でとって検査をしますが、15-30分前後で判定可能です。

 ②診断確定すれば、適切な抗ウィルス薬の投与により自分自身が楽になるだけでなく、周囲への感染拡大も抑制できる点。

 ③感染経路は飛沫感染で、くしゃみや咳で唾液や鼻水とともに遠くまでウィルスが飛び散るため、ウィルスを排泄している間は感染拡大予防のために仕事や学校は休まなくてはいけない点(目安は発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日または3日です)。また伝染力が強いためマスクの着用や隔離など家族への感染にも注意が必要です。

【治療】

 以前はインフルエンザにかかったら、解熱剤を使用し自然に治るまで1週間前後おとなしく寝ているだけでしたが、ウィルスの増殖そのものを阻止する「原因療法」としてノイラミニダーゼ阻害薬であるタミフルが2001年に登場してから大きく治療が変わりました。現在では他にも数種類の抗インフルエンザ薬が開発され剤型もカプセル、吸入粉末剤、錠剤、注射薬が存在します。

 解熱と治癒までの期間を短縮でき自覚症状を軽減し重症化を抑制できる効果が期待されています。インフルエンザウィルスは増殖速度が速く、症状が出現してから48時間以内に増殖のピークが来る事が知られており、これらの抗ウィルス薬はなるべく早期に、遅くても48時間以内に服薬するのが効果的です。

 他にも「対症療法」も重要で安静と保温、水分や栄養の補給を心掛けたいものです。特に高齢者や持病のある方の場合は脱水症状及び心不全や肺炎の悪化に注意をする必要があります。

 高熱については解熱鎮痛薬が使われますが、副作用が少ないアセトアミノフェンが安全であり、アスピリンやボルタレンなどの解熱剤は危険なのでインフルエンザの場合は使用しないように言われています。そういった意味では市販の薬や家にある薬を自己判断で使用する場合は危険を伴う可能性があると言えるでしょう。

 また気道感染で黄色痰などの細菌の二次感染を合併していると考えられる場合は抗菌剤を併用したり、また咳止めや痰切り、鼻水の薬も使用します。

【ワクチンと感染予防】

 他の風邪とは違いワクチンの存在している点が心強いです。摂取後2週間後くらいから効果が現れ5ヶ月程度効果が持続します。本年度からA型2種類、B型2種類の四価ワクチンとなりさらなる予防効果が期待されます。

 ワクチンは専門家が多方面の調査を行い、その年度にどの型のインフルエンザが流行するかを予測して生産をしますが、予想が外れる年も存在するのが現状です。

 最近では、高齢者に公費で補助がでる自治体が多くなってきました。ワクチンの供給は10月初めから始まります。その年度の流行状況によって事情は左右されますが流行の始まる前の10-11月に接種するのが適当です。

 接種回数は一般的には13歳未満は原則として2-4週間の間隔をおいて2回、13歳以上の方は1回ですが、受験などの特殊な事情のある方や、ステロイド内服中や抗がん剤使用中の方また基礎疾患があり感染に注意しなければならないハイリスク群の方は成人でも2回の接種をお勧めしています。

 インフルエンザウィルスの活動は湿度が60%を超えるとかなり低下する事が知られています。予防対策として部屋の加湿も重要です。部屋の換気に加えて、加湿器を使用する事も効果的です。またマスクの着用も推奨されています。(インフルエンザウィルスは大変小さいためマスクで侵入を予防する事はできませんが、マスクを着用した状態では自分の吐いた息の温度と湿度が保たれた状態でまた息を吸い込むため、喉や鼻を良い状態に保てます。)他には寝不足や疲れを残さない、頻繁にうがいをして喉を湿らせるなどの習慣も効果的です。外出後は身体や顔にウィルスが付着している場合もあり、うがい、手洗い、洗顔も大切です。

【最後に】

 ワクチンは「個人がかからない」と言う意味だけでなく、「集団での大流行を予防する」と言った非常に重要な意味を持ちます。また一人一人がかからないように注意し、もし自分がかかった時にうつさない努力や対策を実践することがエチケットです。流行のピークはこれからの1月から2月です。予防接種をうけているからといって安心しないで、十分に注意をしてこの時期を乗り切られる事をお祈りしております。

[特集] 2016 新春号より引用

目指そう!健康長寿

~散歩のススメ~

 日本人の平均寿命は世界トップクラスですが、単に長生きをするだけでなく、介護が必要ない自立した健康的な生活を送る「健康寿命」をいかに延ばすかが大きな課題となっています。

ご高齢でも元気な人は、足腰が丈夫なことがよく見受けられます。身体機能には、「使えば発達し、使わなければ衰退する」という原則があります。体力に自信がないという人は、まずはご近所を散歩することから始めてみるのも良いでしょう。

 週3回以上、15分以上の散歩を習慣としている人では、要介護の状態になりにくく、認知症を予防できるというデータもあります。散歩を習慣の一つとして日々の生活に取り入れば、それも立派な運動と言えます。

 ただし、特に寒い季節に散歩する際には、いつもよりたっぷりと時間をかけてウォーミングアップのためのストレッチを忘れずに行いましょう。

[特集] 2015 秋季号より引用

足のしびれの原因は?

~背景にさまざまな病気~

 足のしびれる原因にはいろいろあります。急性に起こったしびれでは、正座をした時に感じる一時的で心配ないしびれから、脳卒中によるしびれのように緊急性を要するしびれまでさまざまです。

 慢性的に起こるしびれの原因としては、「腰部脊柱管狭窄症」、「椎間板ヘルニア」などの整形外科領域の病気、「閉塞性動脈硬化症」、「バージャー病」などの血管が原因の場合、「糖尿病性神経障害」、「帯状疱疹後」、「膠原病」などの内科的要因が関係しているものなどがあります。

 また、パニック障害や過換気症候群など、精神的な要因で怒ることもあります。

 しびれを起こすいくつかの代表例をあげます。

①腰部脊柱管狭窄症

 背骨の後方にある骨に囲まれた穴が「脊柱管」で、その中を神経の束が通っています。加齢や長いあいだ腰に負担をかけることによって、骨の変形をきたし神経を圧迫するために起こります。

 症状として、腰痛や下肢の痛み、しびれ、間欠性跛行(歩いていて痛みやしびれによって歩くことができなくなりますが、しばらく休むことによって楽になり再び歩けるようになる症候)があげられます。

 運動療法、温熱療法などの物理療法、薬物療法、コルセット、ブロック療法が行われますが、重症例では手術になります。

②腰椎椎間板ヘルニア

 背骨の骨と骨をつなぐ椎間板に亀裂ができて、椎間板の組織の一部が飛び出して神経を圧迫することによって起こります。

 腰痛と下肢の痛み、しびれなどが出現し、治療としては薬物療法や物理療法など保存的に行いますが、症状等によっては外科療法が必要になります。

③閉塞性動脈硬化症

 下肢の動脈に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりして足への血流が極端に減ることによって、足の痛みとともに歩行障害が出現する病気です。

 症状は重症度によって、Ⅰ度:軽症でまだ明らかな症状がない、Ⅱ度:一定距離歩くと足の痛みが出現し、数分休むとまた歩けるようになる間欠性跛行の時期、Ⅲ度:歩かなくても痛みを感じる安静時陣痛時期、Ⅳ度:細胞が生きて行くための血流がないため潰瘍ができたり、壊死を起こしてしまう時期の4段階に分けられます。

 両腕と両足の血圧を同時測定するABI検査が、この病気の可能性を探る検査として有用です。

 薬物療法やカテーテル治療、バイパス手術などの血行再建術が行われますが、壊死した部位などは切除を余儀なくされます。

 動脈硬化は生活習慣病です。糖尿病、高血圧、脂質異常、喫煙、肥満が主なリスクファクター(危険因子)ですので、それらのコントロールが重要です。

④糖尿病性神経障害

 糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症とともに糖尿病の三大合併症のひとつです。

 長いあいだの高血糖の持続によって、運動神経、知覚神経が障害され、しびれや痛みが起こって来ます。症状は足の先端の方に強い特徴があります。

 自立神経障害として、起立性低血糖や神経因性膀胱、消化管運動障害が現れる場合があります。

 治療は神経障害進行に関わる代謝異常改善薬、循環改善薬、鎮痛薬などが使われます。

糖尿病は閉塞性動脈硬化症のリスクファクターでもありますので、糖尿病をコントロールすることがもちろん大切です。

 しびれを感じたら、いつから、どのような種類で、どの場所に、どんな時におこるかなどの症状を正確に医師に伝えることが診断への近道です。

[特集] 2015 夏季号より引用

ストレッチの効果

 日頃から、運動や体操、ストレッチなどでからだを動かしている習慣がないと、年齢とともにからだの柔軟性はなくなってしまいます。

 ストレッチは1960年代に考案され1980年代に一般に広まりました。ストレッチは筋肉を意識的に伸ばすことによって、筋肉の柔軟性や敏捷性、関節の可動域を改善させる効果があります。運動前後の準備運動や整理運動としても行われます。

 またストレッチは、美しい姿勢の保持や気分をスッキリさせるリラクゼーション効果、血流を良くするための動脈硬化防止効果もあると言われています。

 基本的なやり方の注意点としては、痛みを感じない程度に、呼吸を止めないで、反動をつけずに行うことです。伸びている筋肉に意識を集中して、15秒から30秒間位かけて行いましょう。

 実際のストレッチの方法は、写真やイラストなどわかりやすく解説してある本や実際に普段から行っている人に聞いたり、理学療法士に相談するといいでしょう。

 ストレッチは道具もいらず、いつでもどこでもできますが、熱が出ていたり、食直前後、飲酒後、疲労している時は避けましょう。また、骨や筋肉、関節の病気を持っていたり、病気をしたばかりの方は無理をしないで主治医と相談してください。

 老若男女を問わず、誰でもできるストレッチ、楽しく、笑顔で継続して行うことが大切です。

[特集] 2015 春季号より引用

首のエクササイズ

 慢性的に首の痛みを感じている人の中には、背中を丸めて首と頭を前方に突き出した“猫背”の姿勢をとっている場合が多いようです。長時間悪い姿勢を続けていると、首に負担がかかり、筋肉の疲労から痛みにつながりやすいのです。このほか目の疲れやストレスがあると、交感神経が興奮し、筋肉が緊張して血流が悪くなって首に痛みが起こりやすくなります。

 日常生活の中で首に負担のかかることを見直し、改善しましょう。まず悪い姿勢をとらないよう気をつけるとともに、同じ姿勢を長く続けないことです。また血流をよくするために過度な運動、入浴して体を温める、蒸しタオルで首を温めることも効果的です。

 悪い姿勢によっておこる首の痛みは、首の筋肉を鍛えるエクササイズで改善できる場合があります。しかし、首の痛みの原因となる病気には変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなど、さまざまな病気があり、エクササイズをしても痛みがとれない場合には、かかりつけの医師に相談しましょう。

首の筋肉を鍛えるエクササイズの一例

1 おでこに片方のこぶしを当てて、これを軽く押し返すように首に力を入れて5秒間

2 同様に後頭部にこぶしを当てて5秒間

3 頭の右側面に手のひらを当てて右に首をかしげて5秒間

4 左も同様に5秒間

これらを1セットとして、たとえば1日10セットくらい行えば十分でしょう。実際には首を動かさず、手を軽く押し返すように首に力を入れるのがポイントです。

[特集] 2014 秋季号より引用

足のむくみ(浮腫)

 足のむくみを気にされて外来をおとずれる方は多くみられますが、「むくみ(浮腫)とはどのような原因でおこり、何か心配しなくてはいけない事があるのか?」について今日はご一緒に考えてみたいと思います。

<太ったの?むくんだの?>

 太って皮下脂肪が増えたのと、むくみとはどのように異なり、区別がつくのでしょうか?

 浮腫とは「皮下組織に余分な水分が貯留したためにおこる一時的に腫れた状態」と言いかえられると思います。一番簡単な鑑別点は指で押した時に脂肪の貯留の場合は弾力がありすぐにもとに戻りますが、浮腫の場合は数秒から数分ひっこんだ跡が残ります。また靴下の跡がへこんだまま戻らないのも特徴です。

 浮腫は女性や高齢者に多く見られ、一日中立ちっぱなしの仕事やデスクワークでも動かないで足を下げて座っていたりすると、夕方になって靴がきつく感じたり足がパンパンになり指で押すとその跡がくっきりと残った経験は多くの方があると思います。

 浮腫は血液の循環と深いかかわりがあります。心臓のポンプの働きにより私達の体内では動脈を血液が流れ水分や栄養分そして酸素を抹消の細胞に供給する役目を果たしています。一方それと同時に細胞内で不要となった水分は静脈やリンパ管に戻り再び体内を循環し心臓そして腎臓に運ばれ処理されます。抹消でこのシステムが効率良く働かず水分がスムーズに静脈やリンパ管に戻れないため、組織の間に戻るべき水分が溜ってしまった状態が浮腫の本態と言えるでしょう。

<むくみを引き起こす原因>

 浮腫の原因としては、これらの水分循環にかかわる多くのトラブルの可能性が考えられます。心配のいらない一過性のものもあれば、血管や肝臓、または心臓の障害などの重大なトラブルの危険サインの場合もあります。

①長時間の起立状態

 人間は重力のある地球上で二足歩行をしており、立位では足は一番下に位置し心臓は、はるかに高い場所にあります。井戸のように効率よく足の水分を心臓に戻すためには、静脈には逆流防止のための弁がついています。しかしながら長時間にわたり立っている姿勢が続きかつ筋肉の動きが無い状態では、静脈の圧が高くなり戻ろうとする水分を受け入れる事が困難となり重力に負けて水分は足に溜ってしまいます。このような理由では長時間の立ち仕事の方は夕方になると足にむくみがでる事が多いのです。

②運動不足による冷え性や血行不良

 足の筋肉が収縮する事により、血液を循環させるポンプの補助的な役目を担っていますが、運動不足により足の筋肉が衰えたり、同じ姿勢で筋肉を使わないで立っていると足がむくみやすくなります。

③下肢静脈瘤

 前述したように静脈には血液の逆流を防ぎ効率良く水分を心臓に戻すために静脈弁が存在しますが、この静脈弁が破壊されると静脈が蛇行拡張し特に立位で目立つようになります。足の膝の裏やふくらはぎなどの目立つところに好発し下肢静脈瘤と呼ばれます。女性ではスカートをはいた時などに目立つため美容的に気にされて外来におとずれる方が多く見られます。下肢静脈瘤のある方はやはり血液が足に貯留するため浮腫の原因ともなり、悪化すると肌の黒ずみや湿疹やかゆみ、血流障害による皮膚潰瘍などのトラブルの原因ともなります。

④甲状腺機能低下症

 橋本病という名称でも知られる病気で、甲状腺で充分な量の甲状腺ホルモンが産生されないために全身にさまざまな症状をもたらします。その一部として顔やまぶたのむくみや下肢の浮腫がおこる事があります。

⑤心不全(うっ血性心不全)

 心筋梗塞後や心筋炎などで、心臓のポンプとしての能力が低下すると戻ってきた血液を充分循環し処理できないために浮腫の原因となります。

⑥肝臓の病気

 血液の中の大事な成分としてタンパク質の一種であるアルブミンがありますが、栄養としてだけでなく血管内に水分を保持する重要な役割を担っています。

 アルブミンは肝臓で作られるため、肝硬変や劇症肝炎などで肝臓の機能が低下するとアルブミンの産生低下から低アルブミン血症におちいり、血管内の水分が血管外に逃げるため浮腫の原因となります。さらに漏れ出た水分がお腹の中にたまると腹水が貯留する異常な状況となります。

⑦腎臓の病気

 腎臓は体内の老廃物や余分な水分をろ過して尿として体外に排泄する重要な役割をもっています。この機能が阻害される(腎不全)と全身の浮腫が出現します。またネフローゼ症候群と言う病気を耳にしたことがあると思いますが腎臓のトラブルで血流中のアルブミンをどんどん尿中に排泄してしまう状況では低アルブミン血症から強い浮腫をおこす事があります。

<浮腫が気になったら>

 多くの場合は抹消の血液循環やリンパ液の循環に起因した心配の必要の無い浮腫ですが、中には心臓や腎臓、肝臓の大きなトラブルが原因の可能性があり、医療機関を受診し、血液検査や尿検査、心電図や胸部レントゲンなどで精査を行います。

 特に慢性的な浮腫が1週間以上持続したり、急激な体重の増加(溜っている水による)や息苦しさや動悸を感じる場合は要注意です。

 塩分は体内に水分をため込む作用があり多くの日本人は明らかに過剰に塩分をとっているため、どの種類の浮腫でも塩分制限が重要になってきます。

<心配無い浮腫への対応>

 抹消の血液の循環の問題と安心できたなら、セルフケアとして、血液の循環を促すマッサージや足の屈伸運動、青竹踏み、足枕、足湯などの方法があげられます。

 また静脈弁ストッキングの破壊などの問題がある場合は男性(医療用ストッキング)も有効です。

[特集] 2014 秋季号より引用

足腰の衰え

~ロコチェック~

 加齢とともに運動器(骨・関節・筋肉)の障害のために介護が必要になったり、寝たきりになったりする危険性が高い状態を「ロコモティブシンドローム」、略して「ロコモ」と呼ばれています。

 足腰が衰えて「ロコモ」が心配な方は、是非「ロコチェック」をしてみましょう。

 「ロコチェック」とは、身体を移動させる能力の低下具合を7つの項目で確かめる方法です。

①片脚立ちで靴下がはけない。

②家の中でつまづいたり滑ったりする。

③階段を上るのに手すりが必要である。

④横断歩道を青信号で渡りきれない。

⑤15分くらい続けて歩けない。

⑥2Kg程度(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である。

⑦家のやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろしなど)が困難である。

 「ロコチェック」で、一つでも日常的に当てはまれば「ロコモ」の可能性があります。

 思い当たることがありましたら、今からロコモーショントレーニング(ロコトレ)をはじめましょう。具体的には、開眼片脚立ち、スクワット、ストレッチ、ラジオ体操、ウォーキング、スイミング、座っての関節の曲げ伸ばしなどがありますが、自分にあった安全な方法で行いましょう。よくわからない方は、主治医の先生と相談してみてください。

[特集] 2014 夏季号より引用

ぎっくり腰

~対処の仕方と再発予防~

 皆様の中にも繰り返す「ぎっくり腰」で悩んでいらっしゃる方も多いと思います。

 いわゆる「ぎっくり腰」は重たいものを持った時や腰をねじった時などの過度の動作以外でも、咳やくしゃみをしたり、顔を洗ったり床のごみを拾おうと前屈みになった時などの軽微な動作でも起こる場合があります。

 前触れもなく「ある瞬間に突然ぎっくり」と強い痛みに襲われると言ったいやな病気ですがこのような急激な腰の痛みの総称として使われ、正式には「急性腰椎症」と言います。ドイツでは「魔女の一撃」と言う呪われたニックネームがついています。

 痛みの生じるメカニズムには、色々な原因や病態が含まれますが、多くは証明不能です。原因として頻度の高そうなものは腰椎椎間関節の捻挫や椎間関節の関節包のねじれやゆがみによるもの、腰背骨の筋膜損傷(肉離れ)や腰椎椎間板ヘルニアなどではないかと予想されています。

〈症状〉

 突然おとずれた強い腰痛のため歩行困難となり、力を入れる事ができず、動作が制限されます。全くその場から動けなくなる人から、へっぴり腰になり杖を使ったり物につかまったりすればなんとか歩ける人もいて、その症状や程度にはかなりの個人差があります。可能ならすぐに横になるのが好ましいのですが、姿勢としては「膝を軽く曲げてエビのように横向きで寝る」「あおむけに寝て膝の下にクッションを入れる」「低めの台や布団に足を乗せて横になる」と痛みが軽くなる人が多いようです。

〈原因の検査〉

 ほとんどが原因疾患の証明が困難と言われ、頻度的には前述した筋膜性腰痛や椎間関節性腰痛などが根底になっていると考えられます。これらの変化を画像診断で証明する事は困難ですが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄、重度の脊椎すべり症、骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折など他の腰痛の原因の有無を確認するため整形外科を受診し腰椎のレントゲンやMRIを行う場合があります。

〈痛みが起こったら〉

 楽な姿勢で安静にしていることで多くの場合は自然に回復していきます。つらい場合は対処的に痛み止めの飲み薬や座薬、湿布などを使う事はさしつかえありません。痛みの強い時期は無理をしない方が無難ですが、ほとんどの場合2~3日で痛みは軽くなっていきますので、いつまでも安眠臥床を続ける必要はなく無理をしない範囲で日常生活にもどっていきましょう。特に高齢の方の場合は長期間の安静は筋力の低下をまねき、逆に回復が遅れることがあります。

 一方じっと横になっていても強い痛みが続いたり、日を追うごとに痛みが増強する場合や、脚のしびれや排尿障害を伴う場合は別の病気が原因で腰痛を起こしている可能性があり、整形外科を受診し精査が必要です。

〈薬物療法〉

 痛みに対しては痛みを抑える非ステロイド系消炎鎮痛薬の内服や座薬、湿布が処方されます。腰背筋の筋膜損傷(肉離れ)の場合には筋肉の緊張をやわらげるために筋弛緩剤を用いる場合があります。また抗不安薬や抗うつ薬を併用する場合もあります。

 一時的に腰への重力負荷を減らし安静を保つためにコルセットやテーピングを用いたり、痛みが強く日常生活にひどく差し支えのある場合はブロック注射を行う事もあります。

〈予防〉

 ぎっくり腰を繰り返す方をしばしば見受けますが、統計では1年以内に約1/4の方が再発すると言われています。これは過去に傷めた腰の関節や筋膜が、加齢や老化により緩みやすくなっているためだと考えられます。予防のためには腰の骨を支えている筋肉や靭帯を鍛える事が効果的です。腰痛体操の基本は腹筋と背筋の筋力強化と腰と下半身の柔軟性を高めるストレッチングです。自分にあった体操で日頃から筋力を強く保つ習慣をこころがけましょう。また「腰への負担を軽減するために体重を減らす」などの努力も効果的です。日常生活の注意としては腰が沈み込むような柔らかいマットレスで寝たり、踵の高い靴を長時間履くなどの腰に負担をかける習慣は控えましょう。

 引き金となる動作については必ずしも負荷の大小とは相関しませんが、ある一定の動作や状況に思い当たる節のある方も多いと思います。重いものを持ちあげる必要のある時は前屈姿勢や中腰はさけて、重量挙げの要領で脚を開いて腰を落としゆっくりと持ち上げるようにしましょう。急に腰をひねったり伸ばしたり、床のごみを拾おうとしたり歯磨きや靴を履く時などの前屈みの姿勢での動作は避けるようにします。また激しい運動や腰に負担がかかるような無理な姿勢はとらないように気をつけます。また急激な温度変化や体の冷えも要注意です。長時間の同じ姿勢、不自然な姿勢での動作なども筋肉が硬くなり発作の引き金になるため、デスクワークや車の運転の際には一定時間に一度はストレッチをしたり動いたりするのも効果的です。

[特集] 2014 夏季号より引用

夏かぜ(ヘルパンギーナ)

 ヘルパンギーナは、乳幼児を中心としておこる夏に流行するウィルス感染症の一つです。症状は、突然の高熱とのどの痛みです。のどの奥に水泡ができてえ、それが破れて潰瘍ができます。痛みで食べ物を飲み込むのがつらくなります。

 エンテロウィルス属のコクサッキーA群ウィルスが主な原因ですが、いろいろ亜型のウィルスがあるために何回もかかることがあります。

 発熱は1~3日、のどの痛みは3~5日続きます。合併症として、まれですが無菌性髄膜炎と心筋炎が起こることがあります。

 このウィルスに効く薬はありません。対症療法が中心となります。高熱と咽頭痛、頭痛、吐き気などから十分な食事がとれないと脱水症状を起こします。水分や栄養の管理が重要です。刺激の少ない、硬くないもの(お粥、プリン、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、豆乳、麦茶、イオン飲料など)をとってください。

 また、高熱には解熱剤を使用しますが、使いすぎないよう注意しましょう。熱性けいれんにも注意が必要です。今まで起こした人は予防的に抗けいれん罪を使用してください。

 症状がおさまって、普通に食事がとれるようになれば、登園、登校はできます。

 ウィルスは2~3週間、糞便中に排出されますので、手洗いや糞便の処理などに注意して感染予防につとめましょう。

[特集] 2014 春季号より引用

筋肉痛の正体

 筋肉痛は「筋肉の微細損傷」が主な原因であるといわれています。筋肉線維が損傷を受けると、損傷部分が炎症を起こし、浮腫が生じます。この炎症と浮腫が筋肉痛の正体と考えられています。

 一方、運動直後に筋肉に痛みを感じる場合もあります。これは急激な運動中に、筋肉で大量のエネルギーが燃やされ、その燃えカスともいうべき老廃物である「乳酸」が大量に作られ、それが筋肉にたまって痛みや炎症を引き起こすことも考えられています。

 運動後、まだ痛みが出ていないときは、お風呂に入って温めたり、軽いマッサージ、軽い運動をするなどして筋肉中の血液循環を促しましょう。しかし、強い痛みが発生(激しく炎症)した場合は、アイスパックなどで冷やし、炎症を抑え、痛みを一時的にでも軽くした方がよいでしょう。このようなケアをすることによって、筋肉痛が早く和らぐでしょう。

 筋肉痛を予防するには、運動の前に必ずウォーミングアップをすることが大切です。次に、気持ちいいと感じる程度にストレッチングをして手足やからだを良く伸ばしておきましょう。少しずつ伸ばしていき徐々に負担を大きくしていくことが大切です。

[特集] 2014 春季号より引用

骨粗鬆症と生活習慣病

 「骨粗鬆症」は、骨の郷土が弱くなって骨折しやすくなる病気です。高齢化に伴って急速に増加していて、日本には約1,000万人以上の患者さんがいると言われています。骨折を機会に寝たきりになったりして、自立した生活に支障をきたすケースも少なくありません。

 一方、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった「生活習慣病」は、動脈硬化を引き起こし、その結果、脳卒中や心臓病などを発症することによって、活動の制限が生まれてきます。
「生活習慣病」もまた骨折のリスクファクターといわれています。

 骨は常に一つの臓器でそのまま変わりなく存在すると思いがちですが、骨も常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨に入れ替わる(骨形成)新陳代謝が行われています。骨の強度は、骨密度(骨量)と骨質も大事な要素です。骨量はカルシウムやミネラルが、骨室はタンパク質から得られるコラーゲンが大事な成分です。

■「骨粗鬆症」の特徴■

(1)カルシウムを中心とした骨吸収と骨形成とのバランスが崩れた状態が持続するため、少し悪い表現ですが、いわゆる”骨がスカスカ”になってしまいます。

(2)必要以上のカルシウムが血液中に溶け出すことによって、血管の細胞に沈着すると血管は硬くなり”動脈硬化”を起こしてきます。

(3)圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多く、その理由として女性ホルモンの減少と加齢が関係していると考えられます。

■骨折がよく起こる場所■

①大腿骨頸部骨折(太ももの付け根):手術が通常必要で、寝たきりの原因となります。

②橈骨遠位端骨折:転んだ時に手を付いた時によく起こる手首の骨折で、しばらくのあいだ固定とリハビリが必要です。

③脊椎圧迫骨折:背骨の骨折です。コルセットなどによる安静が必要です。

 ところで「生活習慣病」のリスクファクターとして、喫煙や肥満、過度の飲酒、運動不足、偏食などがあげられます。

 最近注目されている「慢性腎臓病」や喫煙の影響が強い「慢性閉塞性肺疾患」も生活習慣病といわれています。「骨粗鬆症」も悪い生活習慣から発症しやすくなります。

■骨粗鬆症と糖尿病■

 生活習慣病の中で、最も「骨粗鬆症」と関係する病気は、「糖尿病」で、同じ骨密度であっても1型糖尿病で約7倍、2型糖尿病で約2倍「骨折リスク」が高いという報告があります。

 糖尿病は、インスリンの分泌低下と作用不足から起こります。

そのため

①インスリンの骨芽細胞増殖作用の低下によって骨形成が低下します。

②インスリンの作用不足によって、血糖が上昇するため尿量が増加し体内のカルシウムが 減り、同時にマグネシウムも減り副甲状腺ホルモンの分泌低下によるカルシウム排泄作用によってさらなるカルシウム不足となります。

③カルシウムを腸から吸収するために必要な活性型ビタミンDはインスリンの働きによって腎臓で作られますが、その作用が低下して活性化ビタミンD不足になります。

④高血糖のために、骨の柔軟性を保つ正常なコラーゲンが減ってしまいます。

 以上のような要因で骨折が起こりやすくなります。

 「骨粗鬆症」を予防するには、”カルシウムを十分とること””ビタミンD、K、リン、マグネシウムをとること””カルシウムの吸収を抑える喫煙をやめ、アルコールは控えめにすること””適度なタンパク質をとること””適度な運動を心がけること””ビタミンDを合成するために日光浴をすること”などがあげられます。

 年齢とともに低下する骨密度。特に女性ではそのスピードが早いので、少なくとも数年に一度は検査しておくことをお勧めします。そして、その成績によってはかかりつけの先生に相談して下さい。

[特集] 2013 春季号より引用

五十肩(肩関節周囲炎)

 五十肩は、肩の痛みと肩関節の運動障害や運動制限を主訴とする病気です。40代、50代を中心に起こるため、四十肩、五十肩と呼ばれていますが、正式には肩関節を覆っている関節包の炎症で、「肩関節周囲炎」といいます。実際には30歳から70歳代と幅広い年代で起こります。

 発症してから約3ヶ月の急性期は、痛みの激しい時期ですので、安静にして消炎鎮痛剤の飲み薬や湿布による対症療法が中心となります。時には、局所麻酔薬やステロイドホルモン剤、ヒアルロン酸などを肩関節に注射することがあります。

 急性期を過ぎて、痛みが少しおさまってきたら、状態に応じた薬物療法に加えて運動療法を開始します。

 五十肩は、炎症が軽ければ放置しても自然に症状がよくなることがありますが、炎症が強い人では、組織の癒着により最終的に肩関節の動きが制限されることがありますので注意が必要です。

 動かしにくくなっている肩関節の動きをよくするような運動を、適度な強度で無理なく長く続けるようにします。

 一年以上経ちますと痛みはほとんどなくなり、回復期に入ります。運動療法を積極的に行うことが大切です。このように、五十肩は約2年ととても長い経過をたどるのが特徴です。

[特集] 2013 新春号より引用

肩こりの原因と姿勢チェック

 日常生活の何気ない姿勢にも肩こりの原因が潜んでいます。こりや痛みは、悪い姿勢によって、首から肩、背中にかけての筋肉の血行が悪くなり、硬くなることで起こります。解消するには日ごろから正しい姿勢をとることが大切です。

 立っているときの姿勢は、壁を背にしてふだん通りに立ってチェックします。かかとを壁から5㎝ほど離して立ち、「頭が壁につく」「あごをひく」「肩を壁につける」「おなかをへこませる」のがよい姿勢です。

 座るときの姿勢は、膝頭と股関節が同じ高さになるように調節したいすに深めに座り、おなかに軽く力を入れ、あごを軽く引きます。頭をまっすぐ上につられているような感じで力を抜くとリラックスできます。

■肩こり解消体操■

 こりによっていかり肩になっている場合は、まず両肩を軽く上げ、リラックスしてストンと落とします、手をお尻の後ろ側で組んで、肩をさらに肩甲骨ごと下げます。このときおなかが出ないように注意しましょう。

 なで肩になっている場合は、腕を横に開いてひじを曲げ、肩より高い位置にし、肩甲骨ごとぐっと持ち上げ、そのまま力を入れて5秒ぐらい止めます。このとき、肘を伸ばすのではなく、肩甲骨から上げることがポイントです。

 それぞれ10~20回ずつ、気づいたときに行いましょう。

[特集] 2013 新春号より引用

どう違う? インフルエンザとかぜ

 インフルエンザやかぜが流行する季節となりました。どちらも、のどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳といったような上気道の症状と発熱がみられる似たような病気ですが、インフルエンザとふつうのかぜはどう違うのでしょか?

 通常のかぜは、上気道の症状からはじまり、発熱も全身症状もそれほどではなく重症化することはほとんどありません。

 一方、インフルエンザは感染力が強く、いきなりの高熱(38℃から40℃以上)と全身症状(関節痛)、頭痛、筋肉痛など)からはじまります。特に、高齢者や呼吸器や心臓病などの慢性の病気がある人では気管支炎や肺炎を併発し、時に命取りとなります。また小児では肺炎以外にも中耳炎や熱性けいれん、時には脳症を合併することがあり注意が必要です。

●インフルエンザとかぜ●

 
症状の出方
進行
発熱
寒気
せき
頭痛
筋肉・関節痛
合併症
インフルエンザ
全身に出る
急激
38度~40度の高熱
強い
たくさん出る
痛みが強い
痛みが強い
気管支炎・肺炎など
かぜ
のどや鼻
ゆるやか
微熱
軽くある
軽く出る
痛みが軽い
痛みが軽い
少ない

 インフルエンザの診断は、最近では簡易検査キットが普及し、100%ではありませんが鑑別が容易になっています。また、発症48時間以内に薬物治療を開始すると、ウィルスの増殖を抑えて早く回復するようになりました。

 しかし、逆に早く症状がおさまるので、まだ感染する可能性がある時期に登校や出勤するようになったことも問題となり、平成24年4月の学校保険法改正で出席停止期間が延長になりました。

 また、インフルエンザではワクチンも有効で、発症そのものや重症化を抑制する効果があるといわれています。

[特集] 2012 秋季号より引用

【口唇ヘルペス】

 口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウィルスの感染症で、唇に小さな水ぶくれができる病気です。俗に「熱のハナ」とも呼ばれ、風邪などで熱が出た後にできることがあります。

 皮疹が出る前にかゆみや軽い痛みがあり、その後に唇に小さな水ぶくれが5~6個集まってできます。放置していても1~2週間でかさぶたとなって治ることが多いのですが、再発を繰り返すことがあります。

 口唇ヘルペスは、20歳頃までにほとんどの人がかかっています。そしてこのウィルスは人の神経節にずっといて人間と共存しています。いつもはじっとしているのですが、日光に当たり過ぎたり、冷たい風に当たったり、疲れていたり、ストレスがたまったりしたときなどに発症します。

 口唇ヘルペスを繰り返す人は、強い日光を避けたり、過労にならないようにして再発を予防することが大切です。

 現在、ヘルペスウィルスを抑える薬がありますので、症状のひどい場合や早く治したいときは、かかりつけの医者に相談してください。

[特集] 2012 春季号より引用

気になる手のしびれ

~種類も原因もさまざま~

 手がしびれた経験は何度かあると思います。「手のしびれ」と一口に言ってもその種類は色々あり、また原因も様々です。程度が軽ければ一見軽視しがちですが、しびれ自体が不快で困る場合もあれば「もしかしたら重大な病気が原因では?」と不安に思う事も多いと思います。

「しびれ」の局所的な原因としてはまず神経の圧迫があげられます。頚部の脊髄神経根から手までの間には3本の末梢神経(正中神経、尺骨神経、橈骨神経)があり、これらの神経はいくつかの狭い隙間を通っているため、通り道のどこかで骨や筋肉、靱帯などで神経が圧迫されるとしびれや運動障害を生じます。それ以外の原因としては局所の血流の障害や他の全身疾患やまた脳や脊髄の病気でもおこる場合もあります。

【手根幹症候群】

 手が単独でしびれる場合に最も頻度が高いのは「手根幹(しゅこんかん)症候群」と呼ばれる病気です。手のひらの付け根には手首の骨と靱帯で囲まれた手根幹とよばれるトンネルがあり内部を複数の腱とともに正中神経が走っています。この部分で正中神経が圧迫されるために、手のひら側の親指、人差し指、中指、薬指の中指側半分のしびれを生じます。

 女性に多く、フライパンを使った料理などの手根幹を圧迫する動作で症状が現れやすい特徴があります。指のしびれを放置すると指先の感覚が鈍くなり、親指と他の指を向かいあわせる動作が難しくなるため物がもちづらくなると言う症状があらわれてきます。病気が進むと親指の付け根の部分の筋肉がやせてしまう場合もあります。

 治療は手首の安静のために装具を使用したり、局所にステロイド注射を行うなどの治療法が一般的ですが、再発を繰り返す場合は手術で圧迫をとりのぞく場合もあります。

【頸椎症】

 男性に多い原因としては「頸椎症」があげられます。これは神経が頸椎の出口の部分で圧迫されるためにおこります。多くは頸から片側の腕にかけてしびれが生じ、足のしびれを伴う場合もあります。頸をゆっくりと後ろへ傾かせる時にしびれが強くなると言った特徴があります。

【肘部管症候群】

 肘の内側で尺骨神経が圧迫され起こります。小指と薬指の小指側半分のしびれが特徴的で手のひらと手甲の両方におき、男性に多く利き手側におこりやすい特徴があります。

【胸郭出口症候群】

 鎖骨のすぐ下の隙間で神経が圧迫されおこり、手のしびれ以外に頸や肩の痛みやこりを伴う場合があります。なで肩の若い女性や腕をよく上げる職業の人に多いと言われています。

【局所の圧迫が原因の場合の検査や治療】

 これらの末梢神経の局部的な圧迫によるしびれの場合は診察と検査(必要なら頸椎のMRIなど)のうえ、圧迫部位を同定し、圧迫を解除するために安静や姿勢の工夫、局所への注射、消炎剤やビタミン剤の内服などをおこない、程度と原因によっては手術にて圧迫をとりのぞく場合もあります。

【末梢神経炎や糖尿病性末梢神経障害】

 ビタミン欠乏や多発性神経炎、糖尿病などの全身疾患で末梢神経障害がおこるとしびれを生じる場合があります。走行距離が長い神経から先に症状がでてくるため、手だけでなく、足先のしびれも伴う事が多く、また前述のような局所の原因によるしびれと違い左右両側にでてくる事が多い特徴があります。

【危険な手のしびれ】

 手局所のしびれ以外に麻酔や他の部位の症状を伴う場合は要注意です。手のしびれと甘くみていると実は脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)が原因の場合があります。

 危険な症状としては急にきた片方の手のしびれだけでなく、麻痺を伴う場合や口の中や唇などにもしびれやろれつが回らないなどの随伴症状がある場合は要注意です。

【最後に】

 手のしびれは原因にもよりますが、圧迫によるしびれは軽度のうちならば手術以外の治療で良くなる場合が多いようです。放置しておくと筋力低下や知覚障害などの後遺症が残る場合もあり、また全身の病気が原因であったり命にかかわる病気が隠れている可能性もあり早期に受診し正しい原因と対策を知る事が重要です。

 受診の際には「いつからしびれが始まったのか?」「どの箇所なのか?どのくらいの時間持続するか?」「どのような体勢でしびれが生じるか?また楽になるか?」などを医師に伝えることが診断の大きな助けとなります。

[特集] 2012 新春号より引用

【骨量の減少に注意】

~骨粗鬆症の検査のおすすめ~

 日常の生活の中で御家族や御友人の妙齢の女性が骨粗鬆症と言われ薬を飲んでいると言った話を頻繁に聞く事があると思います。しかし男性では年をとっても骨粗鬆症の治療を受けている方は非常にまれです。

 骨粗鬆症を一言で表すと「骨の強度を保つために重要な成分が溶け出し、骨がスカスカになりもろくなり、折れやすくなる事(骨量の減少と骨組織の微細構造の異常)」と言えます。

 特に問題となるのは、転倒などにより、大腿骨頸部骨折(足の付け根)や胸椎や腰椎の圧迫骨折が起こりやすくなる事です。これは腰痛の原因として重要なだけでは無く、日本人女性の寝たきりの原因の多くを占めます。現在日本には骨粗鬆症の方の数は女性が800万人、男性が200万人とあわせて1000万人を突破したと言われ大きな社会問題となっています。

<なぜ女性に多いか?>

 骨粗鬆症は女性に多く、閉経後の60-70歳の女性の半分はすでに骨粗鬆症が始まっていると言われ、年齢を重ねるごとにその頻度が上がっていきます。女性はもともと骨量が男性に比較して少ない傾向にありますが、妊娠+出産+授乳でカルシウムを消費してしまう事、また閉経以後はホルモンの変化によりさらに極端に骨量が減少していく傾向が顕著になります。これは女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっている事と関係があります。

 正常な骨では古い骨を溶かす働き(骨吸収)と新しい骨をつくる働き(骨形成)のバランスが維持されていますが、骨粗鬆症では骨吸収が骨形成を上回るため骨量が段々減少していきます。

<検査方法>

 骨折してから初めて慌てる方も多いようですが、骨密度はレントゲンや超音波を用いた骨密度検査で、また骨の状況はレントゲン検査で骨代謝マーカーは血液検査や尿検査で苦痛を伴う事なく簡単に知る事ができます。

 骨密度の測定で若年成人(20-44歳)平均値(YAM)の70%未満が骨粗鬆症、70-80%を骨量減少、80%以上が正常と判断されます。

<治療>

 軽度の骨量減少に対しては、食事や運動、日光浴などの生活習慣の改善で対応しますが、骨密度の低下が進んだには薬物療法を用います。

 薬物療法は大きくわけて、骨の破壊と吸収を抑制する薬物、骨の新生を補助する薬物に分けられます。ビスフォスフォネート製剤、塩素ラロキシフェン(SERM)、カルシトニン製剤、ビタミンK製剤、ビタミンD製剤などがあります。また脊椎圧迫骨折などによる腰痛部痛がある場合は、カルシトニン製剤の注射も有効です。

<予防>

 特に閉経後はホルモンの影響で急激に骨密度の低下が始まるので注意が必要ですが、若い方や一般的な予防対策法としては、食生活の見直し+適度な運動+日光浴がポイントです。

 特に若いうちに過度なダイエット、運動不足、喫煙、多量の飲酒などをしている方は将来骨粗鬆症が早く進むリスクが増加します。

 毎日の食生活の中で乳製品を中心としたバランスの良い食事を摂取しカルシウムを意識的に多く摂取するように心がけ、またビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果が、ビタミンKは骨を作るのを助ける効果が、さらにタンパク質やミネラルなど様々な栄養素を摂取する事も大切です。体を動かす事で筋力と骨量は増加し、また日光にあたる事で骨形成に重要なビタミンDの活性化が促進されるため、特に屋外歩行をおすすめします。

<最後に>

 40歳を過ぎたら、特に50歳を過ぎた閉経後の女性は定期的に骨量の測定検査を受けるようにし、将来の骨粗鬆症を予防し骨折をしづらい身体を維持していく対策をたてたいものです。

[特集] 2012 新春号より引用

【外反母趾の正体】

 外反母趾とは足の親指(母趾)が、小指側に変形して「くの字」に曲がって痛みが起こる状態をいいます。

 進行してゆくと、親指の曲がりが強くなって、ほかの指に重なったまま戻らなくなり、さらに他の指も跳ね上がって固まってしまうことがあります。

 外反母趾の原因としては、遺伝や扁平足といった先天的なものや、ハイヒールのようなかかとの高い靴を履く習慣、筋力や靱帯の弱さ、関節リウマチのような病気などがあり、これらの要素が重なって変形を引き起こすと考えられています。

 外反母趾の治療法は進行度合いによって異なります。痛みと腫れが外反母趾の具体的な症状ですが、痛みは必ずしみ変形と比例しないようです。痛くないからといって放置しておくと悪化して最終的には手術を考えなければいけない場合もあります。変形があるなと思ったらストレッチや外反母趾の矯正グッズを利用するなど、セルフケアも大切です。

 また、外反母趾を悪化させない靴を履くことも大切で。つま先の幅が広くかかとが低いものがよく、初期であれば運動靴でも効果があります。

[特集] 2011 秋季号より引用

【身近な健康食材】

~いわし~

 いわしには、かたくちいわし、うるめいわしなど数種類ありますが、通常いわしといえば、まいわしのことを指します。

 いわしには、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった不飽和脂肪酸がたっぷりと含まれています。これらは、動脈硬化や血栓症予防、脳や目の機能を高めるのに有効です。

 さらに、歯や骨を強化するカルシウムが豊富で、そのカルシウムの吸収を助けるビタミンDも含まれています。ビタミンDのおかげで吸収力がアップすることからも成長期の子どもや中高年の方におすすめです。

 いわしを購入する際は鮮やかな青でうろこがはがれていないもの、そして目が澄んでいるものを選ぶとよいでしょう。ただし、EPAやDHAなどの脂肪酸は非常に酸化しやすく、酸化が進むといわしの鮮度と味が落ちますので注意しましょう。

[特集] 2010 秋季号より引用

ランニングと膝の痛み

~走る前後に十分なケアを~

 市民参加のマラソン大会の人気や健康志向の高まりで最近、ランニングに励む人が増えてきました。ランニングは比較的手軽に始められるスポーツですが、経験の少ない人の中には膝を痛めてしまうケースも少なくありません。ランニングによる膝の障害を予防するためには、走る前の準備や運動後のケアを十分に行うことが大切です。

 ランニングを始めたばかりの人の中には基礎体力や脚の筋力が十分備わっていないうちに、すぐに速いペースで走り出してしまう人がいます。これが腰を痛めてしまう大きな原因となります。

 まずはウォーキングから始めてみるとよいでしょう。最初は走ることはせず、ウォーキングを数十分行って終了します。それを何日か何週間か続けてからランニングに移行するようにします。

 ランニングも最初のうちは無理をせず、短めの時間・距離で行い、徐々に走る時間・距離を伸ばすようにしましょう。

 ランニング前の準備も大切です。いきなり走り始めるのではなく、汗ばむ程度の準備を心がけましょう。最初に5~10分のウォーキングやゆっくりしたジョギングを取り入れ、ストレッチで筋を伸ばしておくことも大切です。

■走った後のケア■

 一般にランニングでは自分の体重の3倍の負荷が膝に掛かるといわれ、スピードを 上げるとさらに強まります。走った後に氷や保冷剤をタオルで巻いたもので5分~15分冷やせば、痛みだけでなく翌日の筋肉の張りなどを抑える効果があります。また、走った後、軽くマッサージを行うことによって血行をよくし、疲労がとれやすくなります。

■予防のために■

 最低限のウォーミングアップやアイシングなど、走る前後のケアは大切ですが、初心者ランナーには日頃からの筋力トレーニングやストレッチも有効です。太ももの筋力アップや膝の痛みの原因となるケースが多い太ももの外側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)のストレッチなどを心がけましょう。

 また着地時に膝が伸びたままの走り方だと膝への衝撃が大きいので、歩幅が広いストライド走法よりピッチ走法のほうが負担を軽減できます。

 またクッション性のランニングシューズを選び、磨り減った靴は使用しないようにしましょう。

 あくまで楽なペースで続けることが大切ですが、痛みが3~4日安静にしても続くようでしたら受診したほうがよいでしょう。

[特集] 2010 秋季号より引用

「ぎっくり腰」になったら

 からだを急に動かした時におこる腰の激痛が、「ぎっくり腰」です。

 「ぎっくり腰」は、必ずしも不自然な姿勢で重いものを持ち上げようとした時におこるとは限りません。逆に、おおくは〈ちょっとしたはずみ〉でおこります。朝起き上がろうとした時や咳やくしゃみをしたとき、落とし物を取ろうとして中腰になったときなどにおこりやすく、若い男性におこりやすい特徴があります。

 「ぎっくり腰」は、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、腰の筋肉が肉離れを起こしたり、腰椎の関節部分が、ずれたりしたことが原因といわれています。

 「ぎっくり腰」になったら、まず楽な姿勢で安静になることが大切です。横向きでひざと腰を曲げて寝ると腰への負担が軽く楽になります。2、3日は安静が必要ですが、通常は一週間程度で軽快します。長引く場合は、若い人では椎間板ヘルニアを、中高年の場合は圧迫骨折なども考慮する必要があります。

 治療は、消炎鎮痛剤や筋肉弛緩薬、湿布などが用いられますが、ひどい時はブロック注射をすることがあります。また、コルセットを利用すると腰への負担が軽くなります。

 「ぎっくり腰」を予防するには、①腹筋運動や背筋運動、骨盤回しなどの腰痛体操をする、②ものを持ち上げる時には、両足に同じように重心をかけ、腰を落としてゆっくり持ち上げる、③中腰の姿勢を長く続けることは避ける-などをお勧めします。

[特集] 2010 夏季号より引用

女性に多い「冷房病」

~外気との温度差と湿度に注意~

 暑さの厳しい日が続いています。暑い夏を快適に過ごすためのクーラーですが、冷やしすぎると、体調を崩す原因にもなりかねません。特に女性はこの時期、冷房によって生理不順、体がだるい、足腰が冷える、頭痛がする-などといった症状で悩む人が多いようです。いわゆる「冷房病」を予防し、元気に夏を乗り切りましょう。

 冷房病の原因は、エアコンによる体の冷えすぎと、冷房の効いた室内と暑い戸外との温度差に体がついていけなくなることがあげられます。冷房病は主にこの2つによって起こる自律神経失調症の一種であると考えられています。

 私達の体は、寒くなると皮膚の血管を収縮させて、体内の熱を逃がさないようにし、暑くなると血管を拡張させて熱を体外に逃がしたりして、体温を一定に保っています。この体温調節をしているのが自律神経ですが、自律神経が対応できるのは、温度差5度C以内くらいまでといわれています。それ以上の激しい温度変化にさらされていると、体温調節がうまくいかなくなり、自律神経も乱れやすくなって、さまざまな体の不調があらわれます。

 温度差と湿度がともに高ければ「不快指数」も高くなります。室温が26度Cであっても湿度が50%であれば不快さの少ない状態(不快指数75)であるといわれています。冷房中の室内は外気温より5~7度Cぐらい低く設定し、同時に除湿をすれば体感温度を適度に保つことができます。不快でない程度に外気に近い状態の室内が体にとってはよい環境で、冷房病の予防に役立ちます。

●冷房病5つの対策●

・冷房から身を守るスカーフなどを用意

 通勤電車の中や外出先での冷房対策用にスカーフやカーディガンなどを持ち歩く。職場ではひざかけ、厚手の靴下などを用意し、冷風を直接体にあてないように、また、体を締めつける服や靴は血行を妨げるので避けましょう。

・体を動かして血行を促す

 長い時間同じ姿勢で仕事をしていると、血行が悪くなり、冷房病にかかりやすくなります。ときおり軽くストレッチをして、体の血行を促しましょう。汗をかくのは体温調節機能を正常に保つのに効果があるためウォーキングなど、軽く汗をかく運動もお勧めです。

・入浴して体を温める

 夏はついシャワーだけですませてしまいがちですが、できれば湯船につかり、体の内側から暖めましょう。温めのお湯でゆっくり半身浴をすると冷えて収縮した血管が広がり、体が温まります。足湯も効果があります。

・温かく栄養バランスのよい食事をとる

 冷たい食べ物や飲み物で胃腸を冷やすと、消化力が衰えて体力が落ち、体調が崩れやすくなります。温かくて栄養バランスのよい食事を心がけましょう。

・適度な冷房で快眠を

 あらかじめ寝室の温度をエアコンで下げておき、寝る前にスイッチを切ったり、タイマーを利用して2時間程度で冷房を切るようにしましょう。
 寝るときには、冷房の風邪が直接当たらないように注意しましょう。特にお腹などの大幹部、足元はできるだけ冷やさないように寝冷え対策をしっかり行いましょう。

[特集] 2010 夏季号より引用

熱中症、高齢者は要注意

-予防のポイント

 厳しい暑さが続く夏の季節となりました。夏といえば、熱中症に十分な注意が必要です。特に高齢者はかかりやすいといわれています。

 そのわけは、①体温を調節する機能が弱ってきていること②体内の水分量が若い人に比べて少ないため、脱水の影響を受けやすいこと③のどが乾く感覚が鈍ってきていること④いろいろな持病があって、いろいろな薬をのんでいることが多いこと-などがあげられます。また、熱中症は屋内で日常生活をおくっている時にも多く発生しています。

予防のポイント

 A.暑さを避け、涼しい環境を作ること:天候や温度、湿度を常に気にして、外出時は日なたを避け、室内では扇風機やクーラーをうまく使いましょう。

 B.水分をこまめにとること:トイレが近くなるからといって、水分補給をいやがらない。水だけでなく、時にはスポーツ飲料などの電解質の含まれる飲み物を取りましょう。また、寝ていても水分は失われます。寝る前にもコップ一杯くらいは水分を補給しましょう。

 C.前触れを逃さないこと:熱中症軽度(Ⅰ度)の症状として「めまい」「立ちくらみ」「こむら返り」などがおこることが多いので、これらを見逃さないようにしましょう。
 熱中症中程度、重度になると、救急車や入院が必要となってきますので、高齢者や小さいお子さんのいる家庭や環境では、周囲の人の観察や気配りが大切です。

[特集] 2010 春季号より引用

腰痛予防のために

~かんたん腰痛体操~

 腰痛の予防には、日頃から腰に負担をかけないような生活を心がけ、腰痛体操を行って腹筋や背筋を鍛えることが効果的です。

 また、急性腰痛で痛みがひどい場合や、慢性腰痛の場合には、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

■腰痛には急性と慢性のものがあります

 急性腰痛:ちょっとした動作で腰の筋肉や靱帯の一部が壊れて、腰痛が起こることがあります。このような急性の腰痛を一般的に「ぎっくり腰」と呼んでいます。急性腰痛は安静を心がけ、痛みが治まるまでは冷湿布などで患部を冷やします。痛みが和らぎ急性期が過ぎたら、入浴などによって患部を暖め、血行をよくするようにします。なかなか痛みが治まらない場合には、整形外科を受診しましょう。

 慢性腰痛:急性腰痛が慢性化したり、「椎間板ヘルニア」などの病気が原因で腰痛を繰り返すような場合を慢性腰痛といいます。慢性腰痛の場合は、まず整形外科へ行って原因を調べる必要があります。

■腰に負担がかからないようにする日常の注意点

 腰痛の予防には「いつも姿勢を良くしている」ことが大切です。そして、デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢を続ける場合は、たびたび姿勢を変えるようにしましょう。また、腰に負担がかからないよう、日頃から次のような点に注意しましょう。

 寝る時:膝の下に枕を入れるなどして、膝を高くして寝る。敷布団やマットは腰が沈んで腰に負担がかからないように、硬めのものを選ぶ。

 起き上がる時:横向きになり、腕で上体を支えて起き上がる。

 座る時:イスは背もたれと肘掛けのついたものを選び、深めに腰をかける。

 重い物を持ち上げる時:しゃがみこんでから、体を物に近づけて脚の力で立ち上がる。

■「かんたん腰痛体操」で腹筋と背筋を鍛えましょう

 腰痛の予防には腹筋や背筋を鍛える「腰痛体操」が効果的です。腰に痛みのないときや、痛みが和らいだときに行いましょう。毎日それぞれ10回ずつくらい繰り返すと効果的です。

 膝抱え体操:あおむけに寝て両脚を抱える。膝を胸につけるように力を入れて引き寄せ、5秒間停止する。

 起き上がり体操:仰向けに寝て、膝を立てる。首が前に動くのを防ぐためには手は耳の後ろに添える。上半身をゆっくり起こし、途中で止め5秒間停止する。

 おじぎ体操:姿勢よく脚を肩幅ぐらいに広げて立つ。背筋を伸ばすように意識して、上半身を前に倒す。背筋を使って上半身をゆっくり起こす。

[特集] 2010 春季号より引用

歩いて血圧を下げよう 「ウォーキングの目安と注意」

 ウォーキングなどの有酸素運動(たくさんの酸素を取り入れながら行う運動)が、高血圧などの生活習慣病の改善に有効であることはあきらかです。

 適度な運動を続けることが、①心臓や肺、血管などの働きが強化され、②肥満の解消や防止に有効であり、③善玉のコレステロールを増やすので動脈硬化を防止し、④精神的ストレスの発散にもつながります。

 もちろん、年齢や健康状態に応じて運動量や時間を調整する必要はありますが、一般的めやすとしては、①一日40~60分の運動(8000~10000歩)を週4~5回、合計200分程度行う。一日朝、夕の2回に分けても有効です。②軽く汗をかく程度の運動。③適度な運動のめやすとしては、脈拍(心拍数)を測ることが有用です。適度な運動の脈拍数は、年齢によってきまっている最大心拍数(220-年齢)の50~70%です。60歳の方ですと、80~120/分となります。普段から、脈拍をとる練習をしておきましょう。

 ウォーキングをする場合には、あごを引き、目はやや遠くをみて、腕を意識的に大きく振って、つま先を上げてかかとから地面に着くようにしましょう。

 膝や腰の痛みなどで、ウォーキングが困難の場合は負担の少ない水中ウォーキングやサイクリング(自転車こぎ)なども有効です。体調の様子で無理をせず、また血圧は非常に高かったり、膝や腰の関節の病気や心臓、呼吸器などの内臓疾患がある人は必ず医師に相談してください。

[特集] 2009 夏季号より引用

骨折時の応急処置 「患部を動かさず固定する」

 骨折は、気づかずに放置しておくと、悪化させてしまったり、治癒を遅らせてしまうことになります。ねんざだと思って安心していたら骨折だったというケースも多く見られ、特に子供さんや高齢者の場合は注意が必要です。骨折に対する正しい知識と応急処置方法を知っておきましょう。

骨折している場合の特徴は?

 骨折している場合は、以下のような症状があります。

  • 痛みが激しく、冷や汗がでたり、ちょっと触れても飛び上がるほど痛い
  • まわりが出血して腫れている
  • 手足が動かせない
  • 触ると骨がくずれていることがわかることがある
  • 折れた骨がすれてコツコツ音がすることがある
  • 変形したり、くぼんだり、大腿骨や股関節(股のつけ根)の骨折では左右の足の長さが違うこともある

●骨折した時の応急処置は?

骨折した場合には、無理に動かさず、その場で応急処置を行うようにしましょう。板や傘など、副木になるものを探して、骨折した箇所が動かないように、上下の関節までをしっかり固定します。

<応急処置の手順>

  • 骨折した部分を動かさないようにして、患者を安全な場所に移動させる。
  • 傷があれば、先に傷の応急処置をする。
  • 板や傘、雑誌、毛布、定規など、副木に使えそうなものを探す。
  • 骨折部の上下の関節を含めて副木で固定する。

 包帯は副木が動かない程度に、きつすぎず、ゆるすぎず巻くのがコツです。

●高齢者に多い骨折

 高齢者は骨が弱っている場合も多く、転倒だけでなく、ちょっと手をついただけで骨折するケースも少なくありません。骨折の多い部位としては、股の付け根(股関節)、手首、肩のつけ根、背骨などがあげられます。特に股関節や背骨は骨折していてもわからない場合が多いので、高齢者が転倒して起き上がれない場合などは、骨折を疑ってみるようにします。痛がるので、安静にして寝かせておこうと考えると、治療を遅らせるばかりでなく、寝たきりの原因となることもあります。

 強い痛みを訴える場合には、骨折を疑い、速やかに整形外科を受診するようにしましょう。

医学コーナー

[医学コーナー] 2022年 春季号より引用

手首と手指の痛み
「ドケルバン病」と「ばね指」

 皆さんの中にも最近「指や手首の関節がこわばる、指を伸ばしづらくなった、ものをつかもうとした時に痛みが走る」などの不都合を感じている方もいらっしゃると思います。全身の関節の中でも特に手首と手指は日常的に使う頻度も重要性も高く、痛みや運動制限などの症状がでると日常生活に大きな支障が生じます。
<腱鞘炎とは>関節をスムーズに動かすために、可動部を牽引する腱(筋肉と骨をつなぐ)と呼ばれる紐状の部分が腱鞘と言うホルダー(腱を包み、滑らかに腱が動くように潤滑油を塗った滑車のような働きをする)の中で骨から離れないで動くような構造になっています。過度の負荷がかかり腱と腱鞘がこすれて炎症(腱鞘炎)を起こすと、可動制限や痛みなどのトラブルにつながります。もともと手首や手指を酷使する職業(運動選手や美容師、音楽家、文字を書いたり帳簿つけをする人、家事で手を酷使する主婦など)に多くみられました。最近になり年齢にかかわらず(片手の親指で操作する)スマートフォンの利用や長時間のパソコンのキーボード操作などにより発症する人が増加傾向にあります。

 症状としては主に指の付け根などに痛みや腫れが生じます。放置して症状が進行すると痛みが強くなり関節が固まって可動制限が生じるため注意が必要です。名前のついている代表的なものとしては、親指の使い過ぎで起こる手首の腱鞘炎「ドケルバン病」(狭窄性腱鞘炎)と、指の曲げ伸ばしの際に引っかかりが起こる「ばね指」(弾発指)があげられます。
<手首の腱鞘炎:ドケルバン病>手の甲をみながら親指を開いていくと、手首の近くに2本の太い筋が浮かび上がります。これが手首の腱です。テニスや野球の選手など手首を酷使し強い負担がかかる人に好発する腱鞘炎です。近年パソコンのキーボードを打つ事(手首が少し反った状態で毎日長い時間操作をする)により蓄積した負担で手首や肘の関節が炎症を起こすケースも増加しています。

 自分でわかる簡単な検査として、親指を内側に入れて軽くゲンコツを作り、左右にゆっくり回転させてみましょう。手首のあたりに違和感や痛み、ひっかかる感じがある場合は要注意です。

 専門的には親指と手首を一緒に小指側に曲げた時の痛みの変化をみて診断する「フィンケルシュタインテスト」(アイヒホッフテスト)を行います。また、レントゲン検査にて他の疾患との鑑別を行う場合があります。

 治療は軽度の場合、保存療法(シップ、鎮痛消炎剤の外用剤や超音波療法・温熱療法)で炎症の改善を試みます。それでも改善がみられない場合や症状が強い場合は腱鞘内に注射(局所麻酔とステロイド剤)を行います。数回注射しても症状の改善がみられない場合には、腱鞘内の圧迫をとるための減圧手術を検討します。
<ばね指>指を伸ばすときに、ある瞬間からばねのように勢いよく動くことからこの名称がつきました。はじめは関節部分にこわばった感じがあり、やがて曲げ伸ばしのたびに痛みを感じるようになります。指を曲げるときの痛み、指が伸ばしにくい、動かしたときに引っかかるといった症状が現れます。

 自分で簡単にできるチェック方法として、手のひら側の指の付け根に小さな膨らみがありますが、この部分を軽く押しながら指の曲げ伸ばしをしてみましょう。指の動きが硬くてぎこちない場合や少し痛みを感じるようだとばね指になりかかっている可能性があります。

 どの指にも起こり得ますが、親指、中指、薬指に起こるケースがよくみられます。放置していると、関節が固く動かしにくくなる「拘縮」が起こります。拘縮を起こすと、治療は困難になりますので、そうなる前に治療を行うことが大切です。治療に関しては前述のドケルバン病とほぼ同じです。
<腱鞘炎の予防>腱鞘炎は手や指の使い過ぎが原因なので局所の安静が最も重要です。使い過ぎになるような環境では休憩を挟み、違和感などが出てきたら消炎鎮痛剤を含んだ貼付剤などを早めに使用すると良いでしょう。使い過ぎた時には痛くなる前にアイシングするのも効果的です。

 楽器の演奏にしてもキーボード操作にしても、特定の関節に負担がかからないような工夫(フォームの改良や手台などの補助具の使用)が有用です。どのような動作が増えてから症状が悪化したかをよく振り返ると原因となる動作が見えてきます。

 スマートフォンの場合は片手で持って操作すると、手首を曲げたまま親指を動かすことになりやすいので、両手で持って操作するように変更するのも効果的です。

 また長時間の作業は過度な負担を関節にかける事になりますので、1時間に1度程度は休憩し指や手を休ませる体操を心がけましょう。(両手を高くあげて、ゆっくり揺すると血行の改善に効果的です。次に手をだらりとさげて軽く揺すり手の力を抜くようにします)。また無意味にキーボードを強く叩く習慣のある方をみかけますが、これも指や手首の関節に負担をかけることになります。

 「痛みが強い」「長引く」「繰り返す」といった場合は、積極的に整形外科を受診することをお勧めします。

「ドケルバン病」チェック

手首の親指側に痛みや腫れがあり、親指と一緒に手首を小指側に曲げる、あるいは手首を直角に曲げて親指を伸ばしたときに痛みが強くなれば、「ドケルバン病」の疑いがあります。

「ばね指」チェック

「ばね指」では、指の付け根が腫れて動かしにくく、一定以上に伸ばそうとするとばねがはじけるように指が急に伸びる「ばね現象」があります。
指が動きにくい
伸ばそうとすると
突然伸びる

[医学コーナー] 2021 新春号より引用

骨粗鬆症と転倒予防

 骨粗鬆症は、骨がもろくなって軽い衝撃でも骨折を起こしやすくなる病気です。特有の症状はほとんどありませんが骨折に伴って背骨の変形や腰痛が起こり寝たきりの原因にもなります。寝たきりを防ぐためには骨粗鬆症の予防と治療が必要です。特に女性は閉経後ホルモンバランスの影響で骨密度が低下し続けるため、薬物療法をしないと将来ほぼ骨粗鬆症になる運命があり病気と呼ぶのが適当か疑問に感じています。

 現在、わが国には男性300万人、女性980万人の骨粗鬆症の患者さんがいると推計されています。今後高齢化が進むにつれさらに増えていくと考えられます。

 骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気です。女性では閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では2人に1人、70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症と言われています。これは女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっているためです。その他年齢や遺伝的な体質、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣なども骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の骨粗鬆症も問題になっています。

《診断》

 骨粗鬆症の診断は骨折の有無と骨密度の値により行います。具体的には、①脆弱性骨折がある ②脆弱性骨折はないが、骨密度が若い人の平均値の70%未満 ③脊椎X線検査で骨粗鬆症化が認められる場合の3ケースです。脆弱性骨折とは、「低骨量」が原因で、転倒などの軽い衝撃で起こった骨折をいいます。

《治療》

 骨粗鬆症の治療の目的は骨量を減らさずに骨質を良くして骨折しないようにすることです。治療には食事、運動、薬物療法があり、とくに食事と運動療法は予防の基本にもなります。

①食事療法

 骨粗鬆症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやタンパク質、骨のリモデリング(骨の代謝)に必要なビタミンD、ビタミンKなどです。骨粗鬆症の人が避けなくてはならない食品はありませんが、食塩、カフェイン、アルコールは取り過ぎないように心がけましょう。

②運動療法

 骨は運動をして負荷をかけることで丈夫になります。さらに筋肉を鍛えることで体をしっかりと支え、バランス感覚が向上しふらつきがなくなり、転倒を防ぐこともできるため、運動療法は骨粗鬆症の治療には不可欠です。激しい運動をする必要はありません。散歩などはできれば毎日あるいは週に数回でも十分ですのでとにかく長く続けてください。また背骨の骨折を防ぐためには背筋を鍛える運動が効果的です。骨代謝で重要な役目を果たすビタミンDは日光で活性化するため昼間の散歩や運動は大きな意味をもちます。

③薬物療法

 食事療法や運動療法を行うと同時に状態に応じて薬による治療も行います。

 骨が壊れるのを抑える薬(ビスホスホネート製剤、SERM製剤、デノスマブ)、骨の材料を補う薬(カルシウム製剤、ビタミンD製剤、ビタミンK製剤など)、骨を作る薬(PTH製剤「副甲状腺ホルモン」)製剤などが使われます。痛みがある時は、痛みを取る薬も使われます。薬物治療によって骨密度の値が改善されても、薬をやめると骨密度は再び低下してしまいます。きちんと治療を続けることが重要です。

《転倒予防》

 骨粗鬆症で最も心配なのは、転倒による骨折です。厚生労働省の調査では、寝たきり(要介護5)になる原因の1位は脳卒中、2位が認知症、転倒による骨折が3位です。骨粗鬆症の人は、筋力が衰え、運動機能も低下しているため、転倒しやすくなっている可能性があるので注意が必要です。

 骨粗鬆症によって骨折しやすい部位は、橈骨(とうこつ)(前腕の2本の長い骨のうちの1つ)、上腕骨、胸腰椎、大腿骨近位部(脚の付け根の骨)の4カ所であり、骨折後QOL(生活の質)が大きく低下する傾向があります。

 特に大腿骨を骨折するとしばらくは痛みで寝たきり状態となり、そのような状態が続くと筋力が落ちて歩行困難となりそのまま寝たきりになるケースも少なくありません。

 高齢者の転倒事故は屋外ばかりでなく自宅でも転倒する人のほとんどが、布団から立ち上がろうとした時、トイレやお風呂の時など、ちょっとした段差や玄関にて転倒しています。こうした転倒を予防するためにベッドを使うようにしたり、トイレ、廊下、お風呂や玄関に手すりをつけたり、段差をなくすような工夫をしたりすることが必要になってきます。

 もちろん転倒しないように気をつけ、筋力維持、平行バランス、感覚維持に努めることも大事ですが、住まいや身につけるものなど、さまざまな工夫を生活に取り入れる工夫も効果的です。

《最後に》

 若い頃には日光にあたり運動をする事が骨密度を上げるために効果的です。前述したように女性の場合閉経後は運命として高齢化にともない骨粗鬆症がすすみます。圧迫骨折により背中や腰が曲がり腰痛の原因となったり大腿骨頸部骨折により緊急手術が必要になったり、骨折が原因で寝たきりになったりと生活の質に大きな悪影響を与えます。

 現在は適切な薬物治療で骨粗鬆症の進行を緩徐にする事が可能になっており、一定の年齢になったらその点を意識し、骨密度検査と予防的な骨粗鬆症治療の開始をお勧めします。

[医学コーナー] 2017 夏季号より引用

座骨神経痛

 「坐骨神経痛」は多くの方が頻繁に耳にする名称だと思います。症状の特徴は「お尻から足の後ろ側にかけての痛みやしびれ、麻痺などの症状」と漠然としています。坐骨神経痛を病名と思われている方も多いと思いますが、頭痛や腹痛と同じ症状を表す言葉です。

 つまり坐骨神経痛を起こす原因は多くあり、ある原因によって坐骨神経が圧迫されたり刺激を受けることで「坐骨神経痛」が起こります。内臓疾患や腰痛が原因となっている場合もあり、我慢していないで早急な整形外科受診をお勧めします。

【坐骨神経痛の症状】

 腰痛は多くの人が経験があると思いますが、お尻や大腿の裏、スネなどに鋭いしびれ、張り、冷感や灼熱感、締め付け感が走ったり筋力低下を伴う場合は、坐骨神経痛を疑います。特に突然足に力が入らなくなり歩行困難になった時、排尿や排便の障害も伴う時、横になって休んでいても下肢の痛みが強まる時は要注意です。代表的な場所は、お尻、太ももの後ろ側・ふくらはぎで、一部分だけに強く感じることもあれば、下肢全体に強く感じる場合もあります。多くは片側性です。

【坐骨神経痛を発症する原因】

 腰から足先までわたる坐骨神経に痛みやしびれが起きる坐骨神経痛は、さまざまな病気が原因となって起こります。どのような原因があるか、頻度の高い疾患をいくつかあげて見ましょう。

①腰椎の椎間板ヘルニア

 腰椎の椎間板ヘルニアの症状は、腰痛だけではありません。太ももやひざ、足首、つま先にまで激しい痛みが伴う坐骨神経痛を合併しやすいのが特徴です。ヘルニアの合併による坐骨神経痛では、くしゃみや咳、排便時など力んだ際にも痛みを伴う場合があります。

②脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

 首から尾骨まで続く骨を脊椎(いわゆる背骨)と言いますが、その中には管状の空間があります。これを「脊柱管」といいます。なにかしらの原因により脊柱管が狭くなってしまうと、脊髄や馬尾神経、血管にそこから伸びている末梢神経の根本(神経根)が圧迫されてしまいます。これにより、さまざまな症状が現れる疾患が「腰部脊柱管狭窄症」です。特に高齢者に起こりやすいという特徴があります。

③筋肉による圧迫が原因となる場合

 坐骨神経は、人体のなかでも一番長い神経で、お尻から足の指先にまで及びます。そのため、ケガをしたり、スポーツをすることなどによって、周囲の筋肉と坐骨神経が圧迫されると下半身の広い範囲で神経痛を引き起こすことがあります。このような状態を「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」と呼びます。梨状筋はお尻にある筋肉で打撲やスポーツで梨状筋を使い過ぎることにより下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが起こります。

④その他の病気が原因となる場合

 ヘルニアほど多くはありませんが、坐骨神経痛を招く原因には、糖尿病や帯状疱疹、脊髄や骨盤内にできる腫瘍、アルコール依存症など、意外な病気によって引き起こされる場合もあります。

【坐骨神経痛の診断と治療】

 坐骨神経痛は病名ではなく症状ですから、上記の病気をそれぞれ診断していく必要があります。

 医療機関受診の際に正確な診断の助けとなる情報として重要なことは「いつからどのような症状が始まったか?」「痛みやしびれのある部位は?また症状が悪化する動作や姿勢に特徴があるか?」「時間帯により症状に変化があるか?」「症状が出たきっかけに心当たりがあるか?」「過去にも同じような症状がでた事があるか?」「以前の病気や治療中の疾患、服薬している薬は?」などがあり、メモをとり医師に的確に伝える事は有用です。

 整形外科ではまず詳細な問診を行い、診察では歩行や姿勢、動作の確認、触診や体位変換で起こる症状の変化や力の入り具合などを診察します。

 さらに原因を確かめるためには腰椎レントゲンやMRI、CTなどを行います。

 坐骨神経痛の治療は、原因の病気に関わらず、まずは症状を和らげる保存的な対処療法が主体となります。手術以外の治療(保存的療法)を開始し、それらを十分に行っても痛みが良くならない場合や尿や排便などの障害があらわれた場合には手術が検討されます。

 補助的に温熱療法やマイクロウェーブ、マッサージなどで血流の改善や筋肉の緊張を和らげる理学療法もしばしば用いられ、原因によっては牽引療法やコルセットなどの装具療法を併用する場合もあります。ある程度症状が軽くなってからは体操やストレッチなどで筋肉や靭帯の緊張をほぐすと、関節の可動域や筋力の向上に有用です。

 薬物療法は消炎鎮痛剤や筋緊張弛緩薬、抹消循環改善薬などを症状と原因にあわせて使用します。また理学療法や薬物療法で効果がみられず痛みが強い場合は神経ブロック療法も行われる場合があります。

 保存療法と薬物療法を3ヶ月程度続けてもあまり改善がない場合は、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど局所の神経への物理的圧迫の原因が明白な場合は手術も検討されます。

【坐骨神経痛の予防】

 坐骨神経痛は、軽度のうちなら体操などによって自分でも予防したり改善したりすることができます。ただし、強い痛みがあったり歩きにくい場合には自己流でやると悪化させてしまうことがあるので、かならず受診して医師の指導を受けてください。

 坐骨神経痛の予防や改善には、ストレッチと筋肉運動が効果的です。ストレッチは背骨や筋肉などをゆっくり伸ばし、緊張をほぐすことで、椎間板や脊柱管への負担を軽減する運動です。デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けることが多い人は、ときどきストレッチをしましょう。

[医学コーナー] 2017 夏季号より引用

脊椎圧迫骨折

 年を取るとなぜ背中が曲がるのでしょうか?その一つの原因として脊椎圧迫骨折があげられます。人間の背骨(脊椎)は頸椎ー胸椎ー腰椎の順で24個の小さな骨で構成され直立歩行の際の体の重みをバランスよく支えています。この脊椎が押しつぶされて変形する種類の骨折で、高齢化(骨粗しょう症)と大きく関係しています。

〈背景〉

 高齢になればなるほど骨がもろくなる「骨粗しょう症」の人が増えます。特に女性は男性と比べホルモン的に骨粗しょう症になりやすい運命にあります。

 骨粗しょう症による骨折は、転倒や尻もちをついた時に起こるのが一般的ですが、時には原因もわからず骨折が生じている場合もあります。

 また骨のもろい人では弱い衝撃(くしゃみをしたり、物を持ち上げただけ)で骨折するケースもあります。知らないうちに背骨のつぶれが進行し背が低くなり背骨が丸くなってしまうことが多く、特に高齢の女性で目立ちます。身長が昔と比較して数cm単位で低くなった方は要注意です。

 骨折する部位は腰椎や胸椎ならどこでも起こりえますが、もっとも多い部位は胸椎と腰椎の移行部(みぞおちの後方)です。この部位の骨折では痛みを骨盤付近の腰部に感じ、痛みの特徴として寝返りをしたり寝ている姿勢から起き上がる瞬間が最も痛く、一度起き上がった後は痛みは少し楽になり歩行もなんとか可能な場合が多く「体動時腰痛」と呼ばれます。思い当たる原因がないのに頑固な背中の痛みに悩まされている場合は、脊椎圧迫骨折の可能性があると考え一度主治医に相談しましょう。

〈症状〉

 骨折直後の急性期には寝返りをしたり前にかがむこともできないほどの強い痛みを訴えます。特に圧迫骨折を起こした時期から1週間ぐらいが強い痛みを感じることが多いようです。また骨折を起こした部位に突起が飛び出したようになりそこを叩くと痛みを増強する場合もあります。一方、中には骨折をしても痛みを感じない方もいますがそのまま放置すると、さらに脊椎の他の部分も破損する可能性が高くなるので早めの診断と処置が必要です。

〈診断〉

 背骨の変形や背中の痛みでレントゲン検査を行い発見される場合が多いようですが、時にはレントゲンでは所見がはっきりしない場合もあります。圧迫骨折といっても起こった直後の時点では骨自体を見てすぐ分かるほどに変形していない場合もあります。痛みが続く場合にはCTやMRI検査で詳細な確認をします。必要に応じて血液検査も行い、他の病気が隠れていないかもチェックします。

 骨折による変形は椎体の前の部分がつぶれる場合が多く背中が曲がる原因となります。

 中央部のみがつぶれた時はあまり痛くなく気付かない間に治癒している場合もあります。

 椎体の後方部まで全体がつぶれて変形が高度になりますと痛みが強く神経が圧迫され足のしびれや運動障害、排尿や排便の障害がでる場合もあります。

〈治療〉

 治療としては薬物療法、運動療法、装具やギブスによる固定などの保存療法が主とされていますが、必要に応じて手術も行われます。

①『保存的療法』

 受傷後1ヶ月くらいは骨折部が不安定で容易に変形しますので特に注意が必要です。コルセットやギブスを装着し固定したり、ベッドの上で安静にしたりします。また痛み止めや骨粗しょう症の薬剤も使用します。コルセットを巻いたまま生活する必要があるため日常の活動が制限され長期の入院が必要になることもあります。長期間、ベッドの上で安静を保っていると御高齢の方では著しい筋力低下が発生することもありますので、痛みが軽減してきたらベッド上で起き上がる訓練からリハビリを開始します。早い人で受傷後2週間、多くの人で3ー4週から脊椎の骨折は後ろの方から治りはじめますが、背骨の前の部分が治るまでは変形は進行しますので治療を継続することが大切です。

②『外的療法』

a.固定手術

 手術によって骨を移植したり、金属製のねじや棒で骨を固定します。この方法には大きく分けて、背骨の後ろ側の背中を切開して神経をよけて骨折部位を固定する方法と、体の脇側を切開して臓器をよけて骨折部分を固定する方法があります。手術方法によって切開や治療をする範囲や固定する力が違いますので、骨折にあった方法が選択されます。

b.椎体形成術

 椎体形成術は、骨折した椎体にHAブロック(ハイドロキシアバタイトブロック)、CPC(リン酸カルシウム)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などのセメントのような固定剤を充填し、つぶれた骨を安定化させ痛みを低減させる手術です。手術の方法は様々で、また固定術と組み合わせて行う場合もあります。

〈リハビリと予防〉

 骨折が治り体動時腰痛が軽快しても、安静と固定で背中の筋肉が弱っており疲れやすくなっています。徐々に身体を慣らして動かすようにして筋力の回復を図ることが重要です。特に背筋を中心に腹筋も鍛え、転倒しないようにバランスの訓練を行う事は効果的です。

〈最後に〉

 脊椎圧迫骨折は一度起こると連鎖的に次から次へと発生することがしばしば見られます。したがって定期的に骨の状態をチェックし骨密度が低ければ骨折を予防するために骨粗しょう症の治療を受けることが必要です。またバランスのよい食生活や日光浴も骨粗しょう症の進行予防として大切です。さらには、転倒などの事故を防ぐため日常的に適度な運動を行い全身の筋肉を鍛えるように心がけましょう。

[医学コーナー] 2017 新春号より引用

座骨神経痛

 「坐骨神経痛」は多くの方が頻繁に耳にする名称だと思います。症状の特徴は「お尻から足の後ろ側にかけての痛みやしびれ、麻痺などの症状」と漠然としています。坐骨神経痛を病名と思われている方も多いと思いますが、頭痛や腹痛と同じ症状を表す言葉です。

 つまり坐骨神経痛を起こす原因は多くあり、ある原因によって坐骨神経が圧迫されたり刺激を受けることで「坐骨神経痛」が起こります。内臓疾患や腰痛が原因となっている場合もあり、我慢していないで早急な整形外科受診をお勧めします。

【坐骨神経痛の症状】

 腰痛は多くの人が経験があると思いますが、お尻や大腿の裏、スネなどに鋭いしびれ、張り、冷感や灼熱感、締め付け感が走ったり筋力低下を伴う場合は、坐骨神経痛を疑います。特に突然足に力が入らなくなり歩行困難になった時、排尿や排便の障害も伴う時、横になって休んでいても下肢の痛みが強まる時は要注意です。代表的な場所は、お尻、太ももの後ろ側・ふくらはぎで、一部分だけに強く感じることもあれば、下肢全体に強く感じる場合もあります。多くは片側性です。

【坐骨神経痛を発症する原因】

 腰から足先までわたる坐骨神経に痛みやしびれが起きる坐骨神経痛は、さまざまな病気が原因となって起こります。どのような原因があるか、頻度の高い疾患をいくつかあげて見ましょう。

①腰椎の椎間板ヘルニア

 腰椎の椎間板ヘルニアの症状は、腰痛だけではありません。太ももやひざ、足首、つま先にまで激しい痛みが伴う坐骨神経痛を合併しやすいのが特徴です。ヘルニアの合併による坐骨神経痛では、くしゃみや咳、排便時など力んだ際にも痛みを伴う場合があります。

②脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

 首から尾骨まで続く骨を脊椎(いわゆる背骨)と言いますが、その中には管状の空間があります。これを「脊柱管」といいます。なにかしらの原因により脊柱管が狭くなってしまうと、脊髄や馬尾神経、血管にそこから伸びている末梢神経の根本(神経根)が圧迫されてしまいます。これにより、さまざまな症状が現れる疾患が「腰部脊柱管狭窄症」です。特に高齢者に起こりやすいという特徴があります。

③筋肉による圧迫が原因となる場合

 坐骨神経は、人体のなかでも一番長い神経で、お尻から足の指先にまで及びます。そのため、ケガをしたり、スポーツをすることなどによって、周囲の筋肉と坐骨神経が圧迫されると下半身の広い範囲で神経痛を引き起こすことがあります。このような状態を「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」と呼びます。梨状筋はお尻にある筋肉で打撲やスポーツで梨状筋を使い過ぎることにより下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが起こります。

④その他の病気が原因となる場合

 ヘルニアほど多くはありませんが、坐骨神経痛を招く原因には、糖尿病や帯状疱疹、脊髄や骨盤内にできる腫瘍、アルコール依存症など、意外な病気によって引き起こされる場合もあります。

【坐骨神経痛の診断と治療】

 坐骨神経痛は病名ではなく症状ですから、上記の病気をそれぞれ診断していく必要があります。

 医療機関受診の際に正確な診断の助けとなる情報として重要なことは「いつからどのような症状が始まったか?」「痛みやしびれのある部位は?また症状が悪化する動作や姿勢に特徴があるか?」「時間帯により症状に変化があるか?」「症状が出たきっかけに心当たりがあるか?」「過去にも同じような症状がでた事があるか?」「以前の病気や治療中の疾患、服薬している薬は?」などがあり、メモをとり医師に的確に伝える事は有用です。

 整形外科ではまず詳細な問診を行い、診察では歩行や姿勢、動作の確認、触診や体位変換で起こる症状の変化や力の入り具合などを診察します。

 さらに原因を確かめるためには腰椎レントゲンやMRI、CTなどを行います。

 坐骨神経痛の治療は、原因の病気に関わらず、まずは症状を和らげる保存的な対処療法が主体となります。手術以外の治療(保存的療法)を開始し、それらを十分に行っても痛みが良くならない場合や尿や排便などの障害があらわれた場合には手術が検討されます。

 補助的に温熱療法やマイクロウェーブ、マッサージなどで血流の改善や筋肉の緊張を和らげる理学療法もしばしば用いられ、原因によっては牽引療法やコルセットなどの装具療法を併用する場合もあります。ある程度症状が軽くなってからは体操やストレッチなどで筋肉や靭帯の緊張をほぐすと、関節の可動域や筋力の向上に有用です。

 薬物療法は消炎鎮痛剤や筋緊張弛緩薬、抹消循環改善薬などを症状と原因にあわせて使用します。また理学療法や薬物療法で効果がみられず痛みが強い場合は神経ブロック療法も行われる場合があります。

 保存療法と薬物療法を3ヶ月程度続けてもあまり改善がない場合は、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど局所の神経への物理的圧迫の原因が明白な場合は手術も検討されます。

【坐骨神経痛の予防】

 坐骨神経痛は、軽度のうちなら体操などによって自分でも予防したり改善したりすることができます。ただし、強い痛みがあったり歩きにくい場合には自己流でやると悪化させてしまうことがあるので、かならず受診して医師の指導を受けてください。

 坐骨神経痛の予防や改善には、ストレッチと筋肉運動が効果的です。ストレッチは背骨や筋肉などをゆっくり伸ばし、緊張をほぐすことで、椎間板や脊柱管への負担を軽減する運動です。デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けることが多い人は、ときどきストレッチをしましょう。

[医学コーナー] 2016 秋季号より引用

スマホネグレクトにご注意を!

~気づかぬうちに育児放棄~

 今や誰でもスマートフォンを持つ時代です。一方、スマホに夢中になりすぎて、赤ちゃんの世話がおろそかになる、子どもに話しかけられても生返事をするといった「スマホネグレクト」が問題になっています。「ネグレクト」とは、育児放棄の育児怠慢という意味です。近年、このスマホネグレクトが子どもの発育に好ましくない影響を与えることが指摘されています。

サイレントベビーになる危険も

 言葉が話せない赤ちゃんは泣いたり、笑ったりすることで自分の気持ちを伝え、その都度、親がきちんと応えることによって愛着形成が進んでいきます。

 しかし、赤ちゃんが泣いたりした時、スマホから目を離さず、赤ちゃんと向き合わないことが続くとどうなるのでしょうか?スマホに夢中の親に無視し続けられた赤ちゃんは、「自分が泣いても反応してくれない」と繰り返し学習することで、感情表現が少なくなったり、いずれ泣くことすらしなくなる「サイレントベビー」になってしまう恐れがあるといいます。

 さらに、親との愛着形成がうまくできなかった子どもは、成長しても他の人との距離の取り方や人間関係の築き方が分からず、社会生活に支障が出てしまう可能性もあります。

 スマホネグレクトの恐いところは、目の前のスマホに熱中するあまり、いつの間にか自分が子どもに対して無関心になっている、無視している状態になっていると気づきにくいところです。「ついついスマホに手が伸びてしまう」ことに心当たりのある親御さんは、子育て中のスマホ依存によるリスクを十分に理解し、スマホより子どもに目を向ける時間を増やすことが大切です。

【スマホネグレクトの防止策】

◆授乳中は赤ちゃんの目を見る

◆おんぶやだっこ中のスマホは禁止

◆赤ちゃんが遊んでいる時は言葉をかけながら一緒に遊び、共感する

◆子どもの前でスマホを使用しない

◆スマホを見た時間の2倍、3倍、子どもと触れ合う心掛けを

[医学コーナー] 2016 新春号より引用

関節リウマチの初期症状を見逃さない

 リウマチと言う病名はかなり有名であり、膝や腰、手指が痛いと「私はリウマチでは?」と心配されて外来を訪れる方が多くいらっしゃいます。

 慢性関節リウマチは普通の関節炎と比較すると、微熱やだるさ、食欲不振など他の全身の症状に悩まされる点や、慢性炎症が持続すると関節の骨や軟骨が破壊され、関節変形により機能が荒廃し日常生活に支障を与える程度が強い点が問題となるいやな病気です。

【原因、本態、頻度】

 何らかの原因で本来自分を防御するための自己免疫のシステムが暴走し自分を攻撃する物質(自己抗体)を作り自分の関節を攻撃するため関節の炎症が起こります。腫れや痛みだけではなく最終的には関節の破壊につながり生活の質に大きな影響がでる事が問題です。頻度は日本全国で70-100万人と多く、男女比は1対4と圧倒的に女性に多く働き盛りの30-50歳代の罹患率が高いため、患者さんご本人のみならずご家族に与える影響も多い辛い病気です。

 以前は痛み止めと抗炎症薬をつかい症状と関節機能の荒廃を少しでも送らせるといったお茶を濁すような消極的な治療法しかありませんでしたが、最近になり次々と病気の本態である免疫の異常を抑制する新しい薬が開発され、関節リウマチの治療は大きな進歩と変化をとげています。それだけに発症早期に的確な診断をおこない、関節の破壊が少ない段階で治療を始める意義が大きくなったと言えるでしょう。

【初期の症状】

 膝や腰のトラブルをかかえ痛みに悩んでいる方も多いと思いますが、普通の関節痛では作業を行っている最中や仕事後の夕方になってから痛みが増強する傾向が多いのですが、関節リウマチの場合は朝起きた時に手の指や足の指、膝などの関節が腫れぼったくこわばり動かしづらい特徴があり「朝のこわばり」と呼ばれます。手指がこわばるため朝に洋服を着るときにスムーズに指が動かない、歯ブラシや箸がうまくつかえないと言った不具合がでます。

 関節以外の全身症状(疲労感や倦怠感、食欲不振、体重減少)を伴う事も特徴の一つです。関節痛の腫れは多くの場合、指の第2・3関節から始まり、足の指、足首、膝、肘肩などと拡大していきます。

 また関節や軟骨の破壊がすすむと関節の変形が高度になることも特徴的です。

【診断基準】

 ①1時間以上続く朝のこわばり
 ②3つ以上の関節に炎症による腫れが見られる
 ③手首や手指の付け根の関節、手指の第2関節に炎症による腫れが見
  られる
 ④持続する対称性関節腫脹
 ⑤皮下結節(リウマトイド結節)が肘や膝に見られる
 ⑥血液検査でリウマトイド因子が陽性
 ⑦X線検査で手の関節に骨の委縮などの変化がみられる

 (①-④までの症状は6週間以上持続)上記7項目のうち4項目以上に当てはまる場合は慢性関節リウマチの可能性が高いと言えます。

【診断のための検査】

 早期の段階での確定診断が意外に難しい病気です。その理由として「この症状があれば診断確定」「血液検査や画像診断でこの変化があれば確定」と言ったきめ手が無い点です。血液検査からは赤沈やCRP、MMP-3などの炎症反応、リウマトイド因子や抗CCP抗体、抗核抗体、補体などを測定しリウマチを含めた膠原病の可能性を疑いますが、確定的な事は血液検査単独では困難です。レントゲン検査でわかる関節の破壊の状況や程度も参考にして、自覚症状や他の検査や病気の経過を見ながら総合的に診断を進めます。

【治療】

 治療の主体は薬物療法です。ひと昔前まではステロイド薬や非ステロイド系の消炎鎮痛剤で関節の痛みや腫れを抑える対症療法が治療の中心でした。

 最近になり根本の原因となっている自己免疫の異常を抑制したり、関節の破壊を遅らせる特効薬が開発され治療に大きな変化と飛躍的な進歩をもたらしました。

 抗リウマチ薬などの免疫抑制剤に続き、抗TNFアルファ抗体などの生物学的製剤の出現(2003年)は大きな福音をもたらしました。最近ではこれらの治療をうまく併用し、「寛解」(症状兆候がほぼ消滅した状態)の維持から緩解(臨床的にコントロールされた状態)にまで回復する患者さんが増えています。

 また関節の変形や腫脹が高度になった方には、人工関節手術や関節形成術、骨膜切除術などの手術療法で関節の可動域の改善をはかります。またリハビリテーション療法も進歩をとげており個々の方の状況や症状に合わせて適切な治療を選択できるようになりました。

【他の関節痛】

 前述したように関節リウマチは自己免疫の異常で起こる関節の炎症ですが、他にも関節痛や関節の腫脹を起こす病気は200種類以上あり、経験を積んだ医師でさえも早期の段階で見分けるのが難しい場合があります。

 ①他の膠原病:全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群、混合性結合組織病、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、ベーチェット病などの他の膠原病でも関節炎を伴う場合が見られます。

 ②変形性関節症:指の関節炎や変形の原因として頻度的に一番高い病気です。痛みは指の第1関節(先端)に出ることが多く、腫脹や変形を起こすとへバーデン結節と呼ばれる変形と腫脹を起こしますが、関節リウマチの場合は指の第1関節の変形はむしろまれです。

 ②変形性関節症:指の関節炎や変形の原因として頻度的に一番高い病気です。痛みは指の第1関節(先端)に出ることが多く、腫脹や変形を起こすとへバーデン結節と呼ばれる変形と腫脹を起こしますが、関節リウマチの場合は指の第1関節の変形はむしろまれです。

[医学コーナー] 2015 春季号より引用

痛風のサイン

~初期症状を見逃さない~

 痛風というと貴族のかかる贅沢病、暴飲暴食のなれの果てと言うイメージがありますが、その正体はあまりきちんと理解されていないようです。

 症状としては「痛風関節炎」とか「痛風発作」と呼ばれる関節の痛みの発作が有名です。初期症状で最も頻度の高いのは足の親指の付け根の関節炎です。赤く腫れて強い痛みのため歩けなくなる事もしばしばです。名前の謂れとなった「あまりの痛みのために、風が吹いても痛い」場合はお気の毒ですが、初期には「足のつま先に違和感がある」「足の指が熱っぽく感じる」などの軽い症状の場合も多いようです。

 このような症状はずっと持続する訳ではなくやがて楽になっていくため忘れて放置しがちです。しかしコントロールの悪い生活習慣を続けるとやがて強い発作を繰り返すようになり痛みの程度も発作の頻度も増えていきます。

<痛風の正体>

 人間の血液中には尿酸と呼ばれる物質が存在しますが、その尿酸が高くなり血液中に溶けきれない値まであがると(高尿酸血症)、その尿酸の結晶が関節の中にたまりそれが起爆剤となり関節炎をおこし腫れや痛みが出現します。しかししばらくして炎症が治まると痛みは消えるため高尿酸血症については気にかけなくなる方が多いのですが、痛みの無い血症は増加していくため悪い将来を呼び込む結果になります。

<高尿酸血症>

 高尿酸血症自体はあまり自覚症状がないため、健康診断や偶然血液検査で指摘されてはじめて気づく方が多いようです。

 尿酸の処理能力には遺伝や持って生まれた体質により個人差がありますが、贅沢病と呼ばれるように高脂肪、高糖質の食生活や大量の飲酒、運動不足などの現代的な生活スタイルや環境が大きく影響しており一種の現代病と言えるでしょう。

 放置して高尿酸血症が持続すると痛風関節炎以外にも尿路結石や痛風腎と呼ばれる腎機能障害を起こす場合もあり、また生活パターンから高血圧や脂質異常症との合併が多い事も知られています。

<治療>

 生活習慣の改善と薬物治療が主となります。血清の尿酸値を7.0mg/dl以下の正常範囲に保つ事が重要です。治療薬としては尿酸産生抑制薬と、腎臓からの尿酸排泄促進剤を状況に応じて使っていきます。痛風発作を繰り返すようになってからあわてて血液中の尿酸濃度をさげてもなかなか発作の頻度や程度を軽くするのは難しいため、初期の軽い発作のサインを見逃さず、また高尿酸血症のある方は将来の発作予防のためにも治療をおすすめします。

 薬物療法以外に重要な生活改善のポイントとしてはアルコール摂取や高プリン体食の制限、適度な運動と充分な水分摂取、ストレスの解消などがあげられます。

[医学コーナー] 2014 春季号より引用

女性と男性の更年期障害

~ストレス多い世代のために~

 以前より「女性の更年期障害」については話題にのぼる機会も多かったと思います。しかしながら「男性の更年期障害」についても、最近では新聞やテレビなどでも取り上げられ目にした方も多いと思います。漠然とした話で分かりづらい部分も多い病気ですが、今回は女性と男性にわけてお話してみたいと思います。

〈更年期障害とは〉

 女性も男性も40代から50代になると、身体機能の衰えを自覚するのに加えて体や心にさまざまな不具合を感じる頻度が増加してきます。たしかに社会的にも家庭的にもストレスが多く無理がたたってくる世代と言えるでしょう。

 漠然とした症状ですが、のぼせやほてり、発汗、動悸などの「自律神経失調症」と不安、抑うつ、気力減退、不眠、疲労感、だるさなどの「精神神経症状」、他には頭痛や肩こり、腰痛、関節痛、性欲の減退などの身体症状が出現し、他に明らかな原因は見当たらずその原因が性ホルモンの変化によると考えられる場合に更年期障害を疑います。

■女性の更年期障害■

 女性の場合は性ホルモンの分泌の指標として生理があり、40代後半から50代前半の時期に閉経を迎える方が多く、その前後5年間前後の時期に上にあげたような症状が出現し心身とも不快な症状が出て困る方が多いようです。

 女性ホルモン(エストロゲン)の量は20代後半をピークにその後徐々に低下し40歳を過ぎると急激に減少します。この時期にホルモンのバランスが崩れるため自律神経の調節がうまくいかなくなり、めまいやイライラ、のぼせ、ほてりなどの不快な症状が出てくるものと考えられています。漠然とした自覚症状で外からみるとわかりづらいものですが、日常生活に支障をきたすようになった場合には治療が必要です。ホルモン補充療法や漢方薬、症状によっては鎮痛剤や向精神薬を用いた対処療法、心理療法、食事や運動療法などを組み合併せて個人個人の症状にあった治療法を選択します。一般的には婦人科で治療を受けられる方が多いようです。

■男性の更年期障害■

 上述のように以前には更年期障害は女性だけに特有のものと考えられていましたが、最近では男性にも女性同様にホルモン環境の変化があり同様に様々な症状が出てくると考えられるようになってきました。「LOH(ロウ)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」という名前で呼ばれることもあります。

 男性には女性のようにはっきりした目安がないため認識しづらい傾向がありますが、やはり加齢により精巣機脳は低下して男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少する事により女性の更年期障害と同じようなホルモンバランスの乱れとそれに基く症状が出現すると最近では考えられるようになりました。また過剰なストレスや運動不足も男性ホルモンの低下に関係すると言われております。早い人では40歳前後からお困りの方が見受けられますが、多くは45歳くらいから65歳前後の方で動悸、肩こり、のぼせ、顔のほてり、手足のしびれ、頭痛、発汗、冷え性などの身体的な不定愁訴や、性機能症状(性欲の低下、勃起障害ED、早朝勃起の回数の減少)、また精神面では倦怠感、無気力、不眠、うつ傾向などの精神症状が出てくる可能性があります。

 男性の更年期障害は女性と比較して個人差があり大きくばらつき、ホルモンの低下も穏やかで閉経などのはっきりとした体の変化が表れず社会的要因に左右されるため症状にや、気がつきにくい点が特徴です。治療としては女性と同じようにほるもん補充療法や、漢方薬、精神面では精神安定剤や入眠導入剤などを用います。また勃起不全(ED)に対しては最近では特効薬が特効薬が普及しているため安全を確認しながら処方を受ける方もいらっしゃいます。

 男性の更年期障害の場合に何科を受診したら良いのか迷う事も多いと思いますし、そもそも病院に行くのが恥ずかしく心理的に低k峰を覚える方も多いようです。最近ではさまざまな大学病院の泌尿器科などの先生が中心になって「メンズヘルス外来」と名打って相談やホルモンの検査を受けやすくなるように努力されています。

〈最後に〉

 注意していただきたいのはこの年代にはほかの原因でも様々な不都合な症状がでてくる可能性も高くなってきます。「更年期だから」と自分で納得して一言で片付けてしまいがちですが、実際には甲状腺疾患や高血圧、糖尿病、うつ病などが隠れている場合もあります。

 男女ともにこの年代はさまざまな人生のストレスを抱え込みやすい危険な時期と言えるでしょう。仕事上の重責や、経済的な不安、リストラの心配、将来や老後への不安が、また家庭では子供達の独立による寂しさやむなしさ、夫婦間のすれ違いや年老いた両親の介護問題などが大きく心にも体にものしかかっている方も多いと思います。とくにうつ病などの精神的な不具合は辛いものがあります。大切なのは我慢しないことです。働き盛りの更年期を、適切な診断や治療のもとで乗り切って、人生の後半を快適に過ごしていただきたいと切に願っております。

[医学コーナー] 2013 秋季号より引用

高齢者に多い骨折

転倒予防で寝たきり防止

 皆様の周囲にも骨折が原因で寝たきりになった方がいらっしゃると思います。高齢になると転倒した時に骨折する事が多くなりますが、骨折の予防は脳卒中や認知症と同様健康で生き生きした生活を送る上で重要な問題です。

【高齢者の骨折の特徴】

 高齢になると骨折をしやすくなる大きな原因として①骨粗しょう症で骨がもろくなっている事②日常生活の中で転倒する機会が増加する事があげられます。

【転倒に注意】

 足の筋肉の力が衰えたり、平衡バランス感覚が悪くなりふらついたり、目が悪くなり足もあがらなくなるために家の中のちょっとした段差でもつまずき易くなります。たとえば布団やマットレスでひっかかったり滑ったり、気が焦って体だけ前のめりになり転倒したりと思い当たる点も多いと思います。また血圧の変動や耳からくるめまいやふらつきが原因で倒れたりする場合もあり、日常生活の中で骨折の危険が増加します。

 また若い頃と比べると骨粗しょう症で骨の強度が落ちていたり、反射神経や筋力の低下もありうまく受け身がとれなかったりと、ちょっとした衝撃で思わぬ骨折につながる可能性が増えます。高齢者の場合一度骨折すると治るまで時間がかかり、安静にしている時間が長いため、その間に筋力が衰え寝たきりになったり、生活の質が大きく低下してしまうことが多いのが現状です。

【高齢者に多い骨折部位】

 高齢者の骨折で多くみられる骨折部位は①上腕骨頸部骨折(腕の付け根)②橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折(手首)③脊椎圧迫骨折(背骨)④大腿骨頸部骨折(腿の付け根)です。

 女性では骨粗しょう症の方が多いため、転倒により大腿骨頸部骨折を起こす方が多く、骨折後に歩行能力が著しく低下し寝たきりにつながる危険性があります。

【治療の特徴】

 転倒は一瞬の出来事です。手をつく、肘や肩をうつ、尻もちをつく、足をひねるなどの動作が骨折の引き金になります。

 いずれも骨の転位(ずれ)の有無や程度によって治療法は異なりますが、若い人の場合と違って、高齢者ではギブスや装具などの外固定のみでは無く、「なるべく安静に寝ている期間を短くして筋力の低下を防ぎ、寝ている間の認知機能の低下を最小限にとどめる」ために積極的に手術で骨を固定して、早期にリハビリを開始する傾向にあります。

【転倒と骨折の予防】

 女性の方は運命的に骨粗しょう症が生理終了後から進行していくため、早い時期からあらかじめ骨粗しょう症に対する薬物療法を開始継続し骨の強度の低下を防ぐ事をお勧めします。

 生活面では筋力とくに足の筋力や柔軟性を保つことが転倒の予防には大切であり、運動教室や体操、ストレッチなどの努力が重要です。日常の動作は慌てたり焦ったりしないで、ゆっくり動く事を心がけ、服装はひっかからず動きやすくゆったりとした服が適しています。

 またわずかな段差でつまずいて転倒する事が多いため、バリアフリーの住宅も魅力的ですが、普段から自分の歩く場所にマットや座布団などの危険な障害物を置かないように意識して、つまずいたり滑ったりしないように気をつけて歩きましょう。

 転倒は屋外や外出時よりもむしろ自宅で気を抜いている時に多い傾向があり、廊下や浴室やトイレに手すりをつけ、床の段差をなすくなどの建築的な配慮も効果的です。

[医学コーナー] 2009 夏季号より引用

「子どもにも脱メタボ指導」

~6年生の10%が肥満傾向児に~

 子供の肥満増加傾向を受けて、メタボリック(内臓脂肪)症候群を予防するための取り組みが盛んになっています。各自治体などが小学生向けの健康講座を開催したり、食事の改善指導を行ったりしているようです。

 例えば、財団法人児童育成協会では、肥満度20%以上の子どもを対象に「健康スポーツ教室」を開き、体力づくりや食事に関する指導を続けています。約20年程前から始めたものですが、近年は20人の定員に毎回40 - 60人の応募があるようです。

 子どもの肥満は成人後の生活習慣病につながる可能性が高いとされています。このことからも、子供の時期から食事や運動の重要性の意識を持たせる対策が必要になります。

 自治体の取り組みに限らず、ご家庭でも「おやつを食べすぎていないか」「運動不足気味になっていないか」などのチェックを日頃からするとよいでしょう。

 文部科学省の2008年度「学校保健統計調査」によると、小学1年生の約4.6%、小学6年生の約10.5%が「肥満度20%以上」の肥満傾向児という結果になっています。これは30年前に比べてそれぞれ1.9ポイント、3.9ポイント増加していることになります。

 07年には厚生労働省研究班が小児期メタボリック症候群の診断基準を作成しました。それによると、腹囲が小学生は75cm、中学生80cm以上または、腹囲を身長で割った値が0.5以上で、 ①中性脂肪またはHDLコレステロール ②空腹時の血糖値 ③血圧 の3項目のうち2つ以上が基準より悪化しているケースを「メタボリック症候群と診断する」としています。

 メタボリック症候群は大人だけの病気と思い込まずに、日頃から子どもの生活環境に目を向けることが大切です。

健康相談室

[健康相談室] 2022年 春季号より引用

急な運動で足の裏に痛み
「足底腱膜炎」の疑い

質問

 運動不足が気になりジョギングを始めました。先日、ジョギング中に足の裏に激痛が起こり、途中で走るのをやめて帰りました。
 その後も、急に走ったり、歩き出す時に足の裏に痛みが生じます。どのような原因で痛みが出るのでしょうか? (55歳・男性)

回答

ご質問のケースのように、急な運動をした後に足の裏が痛むといった場合は「足底腱膜炎」(そくていけんまくえん)が疑われます。健康のために始めたジョギングでも、頑張り過ぎると歩くのさえ困難になることがありますので注意が必要です。

■急な運動・過剰な負荷がきっかけに

 足の裏には、かかとから足先にかけて「足底腱膜」という繊維の束が扇状に広がっています。足底腱膜は、足への衝撃を吸収し、その吸収した力を蹴り出しのエネルギーとして活用する役割を担っています。

 しかし、継続的な激しい運動、長時間の歩行、地面からの衝撃が直接伝わる靴の着用などによって足底腱膜が損傷すると、足の裏やかかとの部分に痛みが生じることになります。

 一般的な症状は「朝起きて最初の一歩が痛む」、「急に歩き出すと痛む」などで、軽症の場合は歩いているうちに痛みが和らぐといった特徴があります。

■足裏ストレッチと運動量の調整で再発防止

 軽症であれば、まずは安静にして、無理のない範囲で足の指を反らして足裏を伸ばすストレッチを行うことで痛みが緩和されるのが一般的です。

 それでも痛みが軽減しない場合には、医療機関での治療が必要になります。治療は、消炎鎮痛剤の薬物療法、装具療法(インソール)、ステロイド注射などの処置が行われます。なお、これらの処置を続けても症状が改善しない場合には難治性足底腱膜炎と診断され、その際には、衝撃波を患部に照射する「体外衝撃波治療」を行うこともあります。

 また、足底腱膜炎はいったん痛みが引いても再発しやすいのが特徴の一つです。運動前と運動後には足裏ストレッチの励行、急な激しい運動は控えるといった心掛けで再発防止に務めましょう。

[健康相談室] 2019 新春号より引用

寄生虫による食中毒「アニサキス症」とは?

質問

 先日、海釣りで釣ったサバを刺身で食べた後、激しい胃の痛みとともに吐いてしまいました。病院の内視鏡で診てもらったところ、アニサキスが見つかったため、取り出して症状は治まりました。  あの痛みはもう二度と経験したくありません。注意すべき事を教えて下さい。(30歳・男性)

回答

 アニサキスは寄生虫の一種で、その幼虫は長さ2~3cmほどの白い糸状の形をしています。サバやイカ、サケ、サンマなどの魚介類の内臓に寄生し、魚介類が死ぬと内臓から筋肉内へ移動します。アニサキスが寄生している魚を生または生に近い状態で食べると、アニサキスが胃壁や腸壁に侵入し胃腸炎を起こす「アニサキス症」の原因となります。

 胃壁に虫体が侵入する胃アニサキス症が一般的で、食後数時間~数十時間後に、激しい胃部の痛みや吐き気、嘔吐などを引き起こします。激しい痛みは、虫体が胃壁に食いついた際の刺激と従来解釈されていましたが、現在では胃の粘膜に侵入した際に虫体が出す分泌物に対するアレルギー反応によるものと考えられています。

 胃アニサキス症の治療では、胃内視鏡検査により虫体を見つけ出し、内視鏡の先に装着された鉗子で摘出することで痛みが緩和されるのが一般的です。また虫体が腸壁まで到達する腸アニサキス症では、対処療法が試みられ、腸閉塞などが引き起こされて重症化した場合には外科的処置が行われます。

■アニサキスの特徴を理解する

 予防対策には魚の生食の回避が一番ですが、生食文化のある日本で徹底することは困難です。そこで、①調理レベルの過度の酢、しょう油、わさび等では死滅しない、②冷凍処理(マイナス20℃以下で24時間以上)で死滅する、③魚介類の死滅とともに内臓から筋肉に移動するといったアニサキスの特徴を理解した上で、鮮度の良い魚を選び直ちに内臓は除去して冷凍保存する、切り身に白い虫体を見つけたら除去する、切り身は薄く切るといった方法でアニサキス症を予防しましょう。

[健康相談室] 2018 春季号より引用

肉離れの応急処置
回復までの時間に影響も

質問

 昨年、駅の階段を一段飛ばしで下りたところ、ふくらはぎに激痛が走り、肉離れを起こしてしまいました。特に応急処置をすることなく2日ほど経ってから病院へ行きましたが、回復までに思ったより時間がかかってしまいました。
 どのような応急処置が必要だったのでしょうか? (30歳・男性)

回答

 急激な運動をした時や、瞬間的に強い力がかかった時に筋肉を形成する筋線維の一部が切れたり、筋肉を覆っている筋膜が破れたりします。これがいわゆる肉離れで、正式には受傷の程度により「筋挫傷」や「筋断裂」といいます。

 典型的なものは、スポーツをしている時、ふくらはぎや太ももの後面に強い痛みが起こり、肉離れを起こした瞬間に「パンッ」という断裂音が起こる場合もあります。痛みで力が入らず、損傷箇所には筋肉の連続性が失われて凹みが生じ、肉離れを起こしてから数時間から数日後に腫れや内出血がみられます。

■直後の応急処置が大切

 肉離れを起こした直後は、安静にして(Rest)、患部を冷やし(Ice)、弾性包帯やパッドで圧迫し(Compression)、腫れや内出血を抑えるため患部を心臓より高い位置に挙上(Elevation)します。これらの頭文字をとって「RICE」処置といいますが、整形外科等の医療機関に行くまでの間にこの適切な応急処置をするかしないかの違いで、回復にかかる時間に差が出てしまいますので要注意です。

 通院により炎症や内出血が治まってきたら、今後は一転して患部を温めて血流を促す温熱療法やマッサージ療法を行います。その後は回復度に合わせて軽いストレッチや歩行などで徐々に負荷をかけるリハビリを行い、完治を目指す治療法が一般的です。

 また、肉離れは再発しやすいのも特徴です。復帰を急ぐあまり、急に激しい運動をする、痛みが引いたからといって通院を途中で止めるといったことは禁物です。筋肉が再組織化され、元のしなやかさを取り戻すまで、しっかりと治療しましょう。

[健康相談室] 2015 夏季号より引用

長引く「慢性腰痛」
心理的要因の可能性も

質問

 長引く腰痛に悩まされています。ギックリ腰や激しい運動をしたわけでもなく、また、人間ドックの数値も特に異常はありません。
 最近、職場で責任ある立場になり、腰の痛みで業務にも支障が出てしまい困っています。
どのような原因が考えられるのでしょうか?(45歳・男性)

回答

 腰痛で悩んでいる方は非常に多く、厚生労働省の「国民生活基準調査」によると、男性の自覚症状の第1位、女性も肩凝りに次いで第2位という結果が出ています。一般的に3カ月以上続く腰痛を「慢性腰痛」と呼びます。慢性腰痛を引き起こす要因は一つではなく、骨や筋肉の障害、神経の障害、内臓疾患によるものなど様々なものがあります。

 実際の腰痛の事例においては、原因がはっきりとしていて、椎間板ヘルニアなどの病名で診断されるケースは実は思いのほか少なく、検査をしても腰痛の直接の原因が特定できないものが多くあります。

 このような原因不明の腰痛の多くに、ストレスや不安、鬱といった心理的要因が深く関わっていることが明らかになっています。近年解明されてきたのが、痛みをコントロールする「ドーパミン」という脳内物質との関係です。ドーパミンは、痛いはずの状況にあってもその痛みを抑制する働きがあり、もともと脳に備わっている機能です。

 しかし、日常的にストレスを受け続けていると、脳内物質のバランスが崩れ、ドーパミンの分泌が減り、ますます痛みを感じることになります。その上、その痛み自体がストレスとなってドーパミンの分泌がさらに減少し、痛みが慢性化するという悪循環になってしまいます。

 ご質問のケースでは、明らかな原因がなく腰痛が慢性化していること、職場では重責を担っていることなどから、心理的要因による腰痛の可能性も考えられます。日頃からストレスを上手に解消し、整形外科や内科のほかにも、診療内科などの受診も有効でしょう。

[健康相談室] 2014 秋季号より引用

指の第一関節が変形
ヘバテージ結節の疑い?

質問

3年程前から右手の人差し指の第一関節が曲がり始め、次第に親指の方向に変形して曲がってしまいました。そのため、字を書いたり、箸を持つときに不自由を感じています。 どのような原因が考えられるのでしょうか?(60歳・女性)

回答

 ご高齢の方の中には、指などの関節が変形する症状が現れることは多くみられます。ご質問のような、手の指の第一関節が変形して曲がる症状からヘバテージ結節が疑われます。

 ヘバテージ結節とは、手の指の第一関節が赤く腫れたり曲がったりするのが主な症状で、痛みを伴うこともあります。原因はよく分かっていませんが、発症年齢はおおよそ40歳代以降の方(特に女性)で、手を良く使う人はなりやすい傾向があります。遺伝性は証明されていませんが、母娘、姉妹間では高率に認められるのも特徴です。

 診断は、第一関節の変形、突出、疼痛があり、X線写真で関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨棘(こっきょく)があれば、ヘバテージ結節と診断されます。

 保存的療法としては、局所の安静(固定も含む)や投薬、テーピングなどがあります。保存的療法で痛みが改善しないときや変形がひどくなり日常生活に支障を来す場合は、コブ結節を切除したり、関節を固定する手術が行われることもありますが、ほとんどが手術療法には至らないようです。

 予防法は、第一関節が痛むときは安静にしましょう。痛くても使わなくてはならないときは、テーピングがお勧めです。また、母や祖母などがヘバテージ結節になっている人は、体質が似ていることを考慮し、指に過度な負担をかけないようにしましょう。

 ただし、指関節の変形には関節リウマチなどの他の病気が疑われることもありますので、まずは医療機関で適切な診断を受けましょう。

[健康相談室] 2011 秋季号より引用

子どもの靴選び
~健康は足元から~

 秋は運動の季節。子ども達が外で走り回る機会が増えて来ます。そこで気をつけたいのが靴です。足に合わない靴を履き続けると、足の骨が変形したり、全体のバランスが崩れてしまうなどの悪影響が出てしまいます。  「子どもはすぐに大きくなるから」と、大人の理由で大きめの靴などを選んでいませんか?子どもの健やかな成長を考えるには、正しい靴選びが大変重要であることをしっかりと認識しましょう。

 足の骨格が完成するのは12歳頃までといわれています。それまでの成長過程にある子どもの足は、骨が柔らかく未完成状態です。この時期に小さめの合わない靴を履いていると、足の親指が変形する「外反母趾」などになってしまいます。

 一方、大きめの靴では、中で指が泳いでしまうことでバランスのよい姿勢を保てなくなり「腰痛」などの原因にもなります。

 加えて、健康上の問題だけでなく、成長過程期に足の自然な動きが制限されることで、以後の運動能力全般にも悪影響が出てしまいます。

 痛みや違和感があっても特に小さな子どもは上手に伝えられません。成長期には1年に平均1cmも大きくなる子どもの足。定期的に足と靴のサイズをチェックし、足に合った靴を選ぶようにしましょう。

〈子どもの靴の選び方〉

【指先】
 ・0.5~1cmの余裕があること
 ・全ての指が自由に動くこと
 ・靴先から1/3の部分が適度に曲がる

【足の甲】
 ・圧迫感がないこと

【かかと】
 ・かかとを覆う部分がしっかりしている
 ・かかとのカーブラインが足のラインに合っている

[健康相談室] 2011 春季号より引用

中年期の肩の痛み
五十肩の疑い?

質問

 ひと月ほど前から、腕を上げると肩に激痛が走るようになりました。
動かし方によっては、痛みの出ない方向もありますが、毎日、恐る恐る腕を動かしている状況で日々の生活に支障が生じています。
痛みを緩和する方法がありましたら教えてください。(45歳・男性)

回答

 ある一定方向に肩関節を動かすと痛みが起こることがあります。このような肩関節の運動が制限される病気を肩関節周囲炎と呼びます。
 40歳以上、特に50歳代に多く発祥することから五十肩とも呼ばれています。ご質問のケースも症状と年齢から、この五十肩と思われます。

 五十肩の主な症状としては、これといった原因もなく肩関節に不快感や痛みが起こり、徐々に肩関節が思うように動かせなくなります。痛みを恐れて動かさずにいると、しだいに肩関節を動かせる範囲が狭くなり、衣服の着脱など日常の生活動作にも支障が出てきます。また、夜に肩の痛みで目が覚めて安眠できないこともあります。

 原因としては、肩関節周辺の筋肉やじん帯、腱などの柔らかい組織が、加齢とともに変性し、炎症を起こすものです。炎症によって関節に拘縮(関節を動かせる範囲が狭くなる状態)が起こり、腕の動きが制限されるようになります。睡眠時に痛むのは、無意識のうちに可動域を超えた動作をしてしまうためと考えられます。

 一般に、数ヶ月から1年ほどで自然に症状が消え、治ると再発しないのが五十肩の特徴です。ただし、症状が長引くなどの場合には、肩の筋肉が骨に密着する部分(腱板)に石灰が沈着したり、断裂を起こしていることもあるので、医療機関で正しい診断をしてもらいましょう。

 症状の緩和策としては、痛む肩をかばって全く動かさないのは誤りで、入浴などで幹部を温めて痛みを和らげながら、動かせる範囲内で徐々に動かしていくことが効果的とされています。

知っ得!健康講座

[知っ得!健康講座] 2022年 春季号より引用

糖尿病とフットケア

 糖尿病の方は、しばしば足のトラブルが発生します。糖尿病患者さんの足に生じたトラブルを「糖尿病性足病変」といいます。

 糖尿病性足病変には、足に起こる水虫や細菌感染、足の変形やタコ、ひび割れや傷、靴擦れなどがありますが、ひどくなると潰瘍ができて足の組織が死んでしまい、足の壊疽が起こってきます。壊疽まで進行すると治癒は難しく、足や下肢の切断が避けられない場合が少なくありません。

 糖尿病で足の病変が起こる要因として、①血管の動脈硬化が進んで血管が細くなり血流障害を起こしやすいこと、②糖尿病による神経障害のため足の感覚が鈍くなること、③からだ全体の免疫機能が低下して感染が起こりやすくなっていること、④足は常に体重がかかっていて安静にすることが難しいこと―などがあげられます。

 糖尿病性足病変は早期発見、早期治療、そして予防が重要です。

 足病変の診断には、足の状態の観察(視診・触診)、足の抹消動脈を調べる検査、エコーやMRI、CT、血管造影などの血管の状態検査、神経障害を調べる検査などがあります。

■予防のために■

糖尿病性足病変の予防のためのフットケアは、以下のようなことに注意しましょう。

・毎日足をよく観察する。見えにくい場合は鏡や、家族にお願いする。
・足を毎日、指の間まできれいに洗う。その時は強く擦りすぎない。
・保湿クリームをうまく使う。
・爪を深く切りすぎない。
・自分の足に合った靴を履く。
・素足を避け、靴下を履く。
・低温やけどに注意する。
・タコやうおのめ、水虫ができた時は早く医師に相談する。

[知っ得!健康講座] 2018 春季号より引用

通勤しながらエクササイズ

 メタボ解消や健康維持のためには運動が良いと分かっていても、仕事が忙しかったり、  休日は休息したいという理由で運動する時間を確保できない方も多いことでしょう。そんな方にオススメなのが「通勤しながらのエクササイズ」です。

 例えば、電車やバスでの通勤時には次のような工夫を取り入れることで、より高い運動効果を得ることができます。

【立ち姿のとき】

 つり革をつかむ際、二の腕に力を入れて下に引っ張るようにしてみましょう。普段、腕の筋肉を使っていない方は、その効果が実感できるでしょう。

 また、車内でつり革に頼ることなく体幹(胴体部分)を鍛えましょう。つま先をやや外側に開いて立ち、体には余計な力を入れずに膝と腰でバランスを取ります。急な揺れで倒れないように、周りには十分注意し、つり革や手すりをそっと握るなど、無理のない範囲で行いましょう。

【座っているとき】

 膝とかかとを揃えて座り、両足一緒に数センチ上げます。そのまま10秒程度キープして下ろすを繰り返すことで、太ももや腹筋を鍛えることができます。

【一駅前で降りて歩いてみる】

 帰宅時には、一駅前で降りて、家まで歩いて帰るのも良いでしょう。一駅が遠い場合には、少し遠回りして帰るなどの工夫をして活動量を増やしましょう。

 ただし、これら通勤・帰宅時の運動については、持病のある方、通院中の方は医師と十分に相談してから行って下さい。

[知っ得!健康講座] 2013 春季号より引用

朝食欠食率

 朝食欠食率とは、朝食を摂る習慣のない人の割合のことを言います。ここで言う「欠食」とは、「菓子、果物などのみ」 「錠剤、栄養ドリンクなどのみ」 「何も食べない」に該当するケースを指します。
 厚労省の「平成22年度国民健康・栄養調査」によると、男女ともに20-30歳代の朝食欠食率は高く、とりわけ20歳代では男性で29.7%、女性では28.6%となっています。

 朝食を摂ることのメリットは、就寝時に低下した体温を上昇させて体を活動状態にする、脳へのエネルギー補給で勉強や仕事の能率が上がるなどがあります。

 一方、朝食を欠食して一日の食事回数が減ると、肝臓での中性脂肪やコレステロール合成が増大し、肥満や脂質異常症の原因になることもあるとされています。

 また過度のダイエット志向を持つ女性では、極端な食事制限で骨密度の低下、無月経などの悪影響も考えられます。

 特に若い世代では、少し早起きをして食べる時間を作る、手軽に食べられるものを準備しておくなどの工夫をするとよいでしょう。